第三章 選択する
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数日、色んなことがありすぎた。
茶々子はこれからどうするか頭を抱えていたが、それはそれ。仕事はきちんとこなさなければならない。
今日は用具倉庫の在庫点検をする日だ。
倉庫内の備品の数、破損がないかなどを確認していく。珍しい武器などもだいぶ覚えた。
忍術学園の仕事は楽しかった。残り一ヶ月と思うと寂しい気もする。
そんなことを思いながら仕事をしていると、用具倉庫の入口に人の気配があった。
「茶々子さん」
留三郎がいつもと変わらぬ笑顔で入ってきた。
「点検、俺もやります」
「え、助かるけど…良いの?」
「むしろ量が多くて大変なのに手伝い俺だけですみません。後輩たちは別の作業やってもらっているので。じゃ、俺はこっちからやるので、さくっと終わらせましょう」
月見のできごとを気にしているのは自分だけなのか、もしくは気を遣わせまいとしてくれているのか…留三郎の態度は以前と全くと言って良いほど変わらない。
顔を合わせて話せば嬉しそうに笑い、料理をすれば大袈裟なくらい喜んでくれ、いつも優しい。その態度が安心できる反面、まるで自分ばかりが気にしているようで少し不満でもあった。
"特別ではないことは分かっている"と彼は言ったが、本当に特別ではないのだろうかと茶々子は自問自答することになってしまったのだ。
作業を続けつつ、留三郎を時折伺い見る。
てきぱきと仕事をこなす彼は格好良い。武闘派と言われつつも面倒見が良く、後輩にもよく慕われている。そんな人がなぜ、五つも年上の自分を好きになってくれたのだろうか。ここにはくのいち教室もあるし、女の子からも慕われているのではないかと思う。何度かくのたまとも関わったが、皆いい子で本当に可愛いかった。忍たまの中に好きな人がいるという子も何人かいた。
ふと、茶々子の視線に気がついた留三郎と目が合う。すると彼は照れたように笑い、再び作業に戻るかと思いきや、思い出したように言った。
「あ、茶々子さん。棚の上の方は無理せず俺に任せてくださいね」
「あ、ありがとう……」
茶々子は少し考えて
「……留三郎くん」
と言った。
すると留三郎は、一瞬目を見開いて固まったかと思うと顔を手で被った。
「茶々子さん……いきなりそれは反則です……」
よく見ると頬が赤くなっている。
「あっ、ごめんなさい。ちょっと呼んでみたくなって…」
「いや、嬉しいっす……正直、伊作が名で呼ばれているの聞いて羨ましかったので」
留三郎は顔から手を離すと茶々子を見た。
「でも、そんなことされると期待をしてしまいます。俺のこと意識してくれているんじゃないかって。茶々子さんがそれで構わないなら、俺は………」
「食満せんぱーい!!」
用具倉庫の外から彼を呼ぶ声がして、その先は聞けなかった。
(第四章留三郎ルートへ続く)