第三章 選択する
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「茶々子さん……あの、今朝はすみませんでしたっ!」
昼休憩中に庭先でぼんやりとしていると、伊作が駆け寄ってきてがばっと頭を下げた。
「茶々子さんの気持ちも考えず突っ走ってしまって…あんなの僕の自己満足に過ぎなくて」
「伊作くん、頭上げて。あの、私も返事ができなくてごめんなさい。あんな風に思ってくれててありがとう。ただ、私……五つも年上だし、それに……」
「年は関係ないです。茶々子さんに既に決まった人がいるなら諦めます。でもそうじゃないなら、好きでいることは許してください」
伊作は意外にも頑固というか、全く引かないので茶々子は困惑した。
「決まった人がいるわけじゃなくて…その……」
婿を取らなきゃならない事情を話すべきか、迷った。
最高学年とはいえ彼はまだ学びの最中で、この先進路のこともあるだろう。もしかしたらもうすでに行き先が決まっているかもしれない。さすがに女ひとりの事情で進路を変えることはないだろうが、こんなにも真剣に想ってくれている彼を惑わしてしまうのではと考えてしまうのは思い上がりだろうか。
でも……
「伊作くんあのね...私、婿取らなきゃいけないの」
正直に話さないといけない気がして、事情を話した。
伊作は驚きもせずただ真剣に聞いていた。
そして聞き終わると静かに口を開いた。
「それは、現時点で茶々子さんに許嫁がいるというわけではないですよね」
「うん」
「では、僕も真剣に考えます」
「えっ!?」
それは、婿入りを考えるということだろうか...
思いもよらぬ返答になんと言って良いか迷っていると、伊作が話し出した。
「さすがにお婿さんに立候補します、というわけでないですよ」
思っていたことを言い当てられ、茶々子はかぁぁと顔に熱が昇る。
「そんなことしたら茶々子さんが気にしちゃうでしょう?それに、一応僕もこの学園の最高学年ですし、先のことはちゃんと考えてます」
「そ、そうだよね」
「はい。だから、どうしたらこの先茶々子さんと恋仲になれるか考えます」
「え……えぇっ!?」
茶々子は訳がわからず目を白黒させた。
「茶々子さんのおうちの事情は分かりました。でもそれは茶々子さんが望んでいることではないでしょう?先ほど来たとおっしゃったお兄さんというのも気になりますし……皆が納得できる方法を考えてみませんか?」
茶々子は、普段不運を嘆いている伊作がこんなにも前向きなことに驚いた。
それに、家を継ぐにあたって婿を取ることは避けられないことと言われていたし、そう思い込んでいた。打開策など考えようとも思わなかったのだ。
「伊作くん、なんでそこまで…」
「僕は貴女の役に立ちたいし、できるなら貴女に想われたいんです」
伊作は続けて
「茶々子さんと恋仲になりたいと言ったでしょう?」
と言ってにこりと笑った。
(第四章伊作ルートへ続く)