第二章 接近する
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「あっ、兄上……!!」
「よぉ、茶々子。久しいな」
裏山から戻ってきてまだ気持ちが動転している中、一番に会う客がこの人だとは思わなかった。今伊作くんが傍にいなくて本当に良かった。
「勝手に出ていって、久しいなではありませんよ!それに、なぜ兄上が忍術学園にいらしたんです?」
「実家に顔を出したら茶々子は婿探しに行っているというので来てみたんだ」
誰が言ったのか知らないが、"婿探し"とは語弊があるようなないような……
「で?候補はどいつだ?私が検分してやろう」
「勝手なことをしないでくださいっ!」
「あれ、茶々子さん。この方は……?」
この人はどうしてこういう間で現れるのか。
「土井先生……」
「どうも妹がお世話になってます。私は茶々子の兄です」
兄が愛想良く挨拶をすると、半助もにこりと笑って返した。
「忍術学園で教師をしております、土井半助です」
「ふむ……」
兄が顎に手を当てて半助を上から下まで見る。
「茶々子、この方はどうだ。男前だし年齢も似合いではないか」
「兄上っ!勝手なことを言わないでください!」
「いったいなんのことです??」
「いや、茶々子の婿にと……」
「兄上っ!!」
茶々子がすごい剣幕で兄を制する。
「出ていってください。兄上は家を出た身でしょう?家のことに首を突っ込まないで」
「そうはいかない。茶々子はもう二十歳だろう。それに我が妹ながらお前は可愛すぎるから心配なんだ。ね、先生もそう思うでしょう?」
「そうですね」
「ど、土井先生っ」
「それに私は少しの間実家に戻るから、口を挟ませてもらうぞ」
「家に戻っているなら兄上が家を継げば良いではありませんか」
「いや、跡継ぎはお前だよ。お爺様の技術を引き継げるのは茶々子だけだ」
思いもかけぬ言葉に茶々子がたじろぐと、兄は優しく笑った。
「そういうわけで土井先生、茶々子をよろしくお願いします。茶々子、一月後待ってるぞ」
言いたいことだけ言って、兄はすぐに帰って行った。
「この浪人風情のクソ兄貴……」
ぼそっと茶々子が悪態を付くと、半助は驚いた顔で彼女を見た。
三章に続く
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