第一章 出逢う
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「ごめんください」
忍術学園の戸を叩く音がしたので、半助が小扉を開けると深々と頭を下げた小柄な女性が見えた。
「今日からお世話になります。臨時の事務員として参りました茶々子と申します」
そう言って顔を上げると、彼女は少し見上げてにこりと半助に微笑みかけてくる。
半助はその瞬間身体に電気が走ったような衝撃を受けた。
か、可愛い……
半助はいわゆる"可愛い女性"を見たのは久しぶりな気がした。
学園内にも女性はいるが、忍術の学校という特色柄、教師や生徒とも可愛さや美しさがあっても独特の妖しさや毒気を含んでいた。
茶々子のように、純粋な"可愛さ"を見ることは皆無と言って良いだろう。これは顔立ちうんぬんの話ではなく、仕草や表情の作り方、全体的な雰囲気の話だ。しかし茶々子は顔立ちすらも華やかで愛らしい。年も思ったより若く見える。十五、六くらいか。
「あの……?」
先ほどから固まっている半助を不思議そうに見ていた。
「あぁ、すみません。話は聞いています。紹介状はお持ちですか?」
「あ、ごめんなさい。それを先に出すべきでしたね」
茶々子は手荷物の中から"紹介状"と書かれた書を取り出すと、半助に手渡した。
「確かに。では、ご案内しますね。まずは学園長に挨拶されますか?」
「お願いします。えっと……」
「あぁ、私は土井半助です。ここの教師をしています」
「土井様……いや土井先生、とお呼びすれば良いですか?」
「はい、それで。ところで先ほどは失礼しました。思ったよりお若い方がいらしたので驚いてしまって」
さすがに可愛さに驚いて、とは言えないので、二つ目に受けた印象を言っておいた。
「あ、私身体が小さいのでよく誤解を受けるのですが、今年二十になります」
「えっ!!!」
「あと祖父や両親によく言われるのですが……私は子供の頃から研ぎばかりに夢中で、世間知らずだと。だから幼く見えてしまうのかもしれません。なにか至らぬところがあれば教えてくださると嬉しいです」
人は初対面の相手に対して多少なりとも身構えてしまうものかと思うが、彼女にはそれがない。素直な人だ。自分を隠したりごまかしたりしない。
「そんな。ではなにか困ったことがあれば相談してください。仕事のことは事務担当の吉野先生が教えてくれるでしょうが、ここは特殊な環境なのでいろいろと驚くこともあると思います。年もわりと近い方なので頼ってくださいね」
「ありがとうごさいます」
彼女はそう言って、花が綻ぶような笑顔を見せた。
この可愛すぎる彼女が学園内にいて、年頃の忍たまたちは大丈夫なのだろうか、と半助は心配になった。