【番外編】男なんざ!
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「志乃、もしタソガレドキと梅の香とで戦が始まったらどうする?」
昆奈門が布団に転がりながら言った。
「そんな動きがあるのですか?」
仮にあったとしても絶対に口にしないであろうことは分かっていて志乃は聞き返す。
「いや、ないけど。もし、の話だよ。君は梅の香城主の姪で忍隊でもそこそこの立場。なおかつタソガレドキ忍隊組頭の妻でもある。どう考えているのか、参考までにね」
志乃は寝転がった昆奈門の隣に腰を下ろし、斜め上方向を向いて、うーん、と唸った。
「困りますね」
「ま、そうだよね」
「なにせ、大事なものが増えすぎてしまって」
「大事なもの」
「はい。以前ならばともかく、今は殿や姫様、城の仲間や村民、守るものが増えました」
「ここで村民が出てくるのが君の器の大きさだよ」
「そうですか?それに、タソガレドキのみなさんも。見知った仲ですし、なにより貴方が大切に思う方達ですから」
「そんな風に思ってくれてありがとう」
「だから、本当に困ってしまいます。けれど、そうならないようにするのが私の務めであり、貴方との結婚の意味だと思っています」
それを聞いて昆奈門は目を見張った。
思っていた以上に志乃は覚悟をもって自分との結婚に同意したのだ。昆奈門は結婚前、山本陣内に「彼女は自分の立場をわかっている」と言われたのを思い出した。
「ただ……うちの殿がタソガレドキとの戦を決意なさるのは余程のことです。決まってしまえば私に止めることは難しいかもしれませんね」
志乃は何を思ったのか遠くを見た。昆奈門は身体を起こし、志乃の髪に触れた。
「そうなれば、我々は敵同士だ。君と戦うのはできれば避けたいな」
「そうですね……でももしそうなってしまったときは……」
昆奈門は続きを待った。
彼女の性格を考えると、
自分に殺されるなら本望と言うだろうか……
それとも自ら命を絶つと言うだろうか……
もしくは私を殺すとのたまうか……
「私は、貴方に付いて行きます」
「え?」
意外な答えに昆奈門は目を丸くした。
「なんですか、その反応。私が自分の命を簡単に手放すとでも思いました?」
一本取ったとでも言わんばかりの顔で、志乃は髪に触れてくる昆奈門の手を取った。
「私が命を絶つのは、貴方が死んだときだけです。たとえ裏切り者の汚名を着ることとなっても、周囲にどんな目で見られようと、私は昆奈門さんの傍にいます」
志乃が愛おしそうに昆奈門の右手を両手で包み込む。昆奈門はその上から左手を重ねた。
「私は君を甘く見ていたのかな」
「そうですよ」
昆奈門は志乃を引き寄せ、抱き締めた。
「でも、私が死んでも後を追うのはやめてくれないか」
志乃は昆奈門の顔を見上げて、にこりと笑った。
「では、私より長生きしてくださいね」
「それは、諸々考えて難しいんじゃないか。それに、そのとき幼い子でもいたらどうするの」
「うーん……さすがに貴方の子を残しては死ねませんね」
「そうだろう?私は、君に生きていてもらいたい。あぁ、でも再婚はできたらしないで欲しいなぁ。君が私以外のものになるのは耐えがたい」
志乃は「それはわがままですよ」と昆奈門の胸を叩いた。
「はっは、なるべく長く生きられるように頑張るよ」
「そうしてください」
志乃はそう言うと昆奈門の首に両手を回して口づけをする。
「おや、今日は積極的だ。嬉しいねえ」
私は元より貴方以外に嫁ぐ気などない
死ぬまで貴方といたいから
どうか、この時が少しでも長く続きますように……
その想いを込めて志乃は再び口づけをした。
「寝物語には重すぎる」終
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【あとがき】
夢主の覚悟のおはなしでした。
けっこう夢主の愛も重め。