【番外編】男なんざ!
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「なんだか大袈裟になってしまいましたね」
志乃は昆奈門の顔に新しい包帯巻き付けながら言った。
「まあまあ、梅の香城主の姪ともなれば祝言はどうしても大きくなってしまうよ」
「私は姪といってもいちくのいちに過ぎないんですが」
タソガレドキ城忍者隊組頭・雑渡昆奈門と梅の香城主姪であり忍者隊のくのいち・志乃の祝言が先ほどまで盛大に行われていたのだった。
ふたりの新居は別にあるが、祝言はタソガレドキ城内で行われたため、今宵はそのまま城内の昆奈門の居室に泊まることとなった。
「皆、新郎新婦を差し置いて酔っぱらっちゃって…まさか酒かけられるとは思わなかったよ」
やれやれ、と昆奈門は苦笑いした。
「ふふ、そうですね。でも、タソガレドキの皆さん本当に嬉しそうでした。山本さんとか、泣いてましたもんね」
「はは、陣内はあれだよ、きっと父親みたいな心境なの。ところで志乃、包帯巻くのいつの間に上手くなったの?」
照れ隠しなのか、昆奈門が急に話題を変えたが、志乃は嬉しそうににこにこと答えた。
「実は、少し前から尊くんに教えてもらったんです」
「え?待って。尊くんって、尊奈門?いつの間にそんなに仲良くなったの」
昆奈門が後ろを振り向くと志乃は「前向いててください」と顔の位置を戻した。
「仲良いというか……歳変わらないですし、"尊奈門さん"は呼ばれ慣れないから嫌だと言われたんです。私がタソガレドキに匿ってもらっていたときからなので、だいぶ前からですよ」
「それは、知らなかった。しかし、結婚前にそんなに会っていたなんて妬けるなあ。こんな日に他の男の話なんて聞きたくなかった」
昆奈門は顔を覆って大袈裟に悔しがるふりをした。またも志乃に顔の位置を戻される。
「でも、これは花嫁修行ですよ?」
「そう言われちゃうと、何も言い返せないじゃないか」
「ふふっ、はい。お顔終わりです。次はお身体を……」
昆奈門が「はいはい」と夜着をはだけさせると志乃はどきりとした。火傷の痕は痛々しく複数の傷もみられるも、広くたくましい背中。志乃は今更ながら今宵が初夜だということを思いだし、赤面した。
「んー、ふふ。どうしたの可愛い奥さん」
後ろに目でも付いているのか、昆奈門はからかうような口ぶりで言った。
「い、いえ!なんでもないですっ!」
初夜と言ってもここはタソガレドキ城内。さすがに新居に移ってからだろう。
志乃はそう考えるようにして、次から次へと浮かんでくる雑念を消すように黙々と作業をした。
「うんうん、良い時間だなあ。これからうちに帰ると毎回君にこうやってもらえるの嬉しいね」
「え?毎回はできませんよ?私だって忍務で不在の日もあるでしょうし」
「えっ?仕事続けるの?」
昆奈門は寝耳に水を入れられたような顔をした。
「えぇ、まぁ。さすがに急には辞めにくいです。姫様への稽古もありますし」
志乃は手を止めずに答えた。
「えぇーっ、毎日帰ったら可愛い奥さんに出迎えられるのが憧れだったのにー」
「そんなこと言っても、昆奈門さんだって忍務で毎日帰れるわけじゃないでしょう?」
「そうだけどー、仕事ってご褒美あるから頑張れるじゃない?」
「そんなこと言って、今まではどうしていたんですか。タソガレドキ忍隊の士気が下がりますよ」
「やめて、陣内みたいなこと言わないで」
「だったら、私を遠ざけずに早々に娶ってしまえば良かったんです」
「う……痛いところをつくね」
昆奈門はわかりやすくしょんぼりとした。
志乃は、それを見て少し笑ったあと手を止めて静かに言う。
「……仕事は、子ができるまでは続けさせてもらいます」
「……ふぅーん」
「!!」
気がつくと志乃は昆奈門の膝の上で抱きかかえられていた。
「じゃぁ、早く子ども作ってしまおうか」
「えっ、待っ…」
胸を押し返そうとする志乃の手を昆奈門が取った。
「だって祝言も終えたし、今日が初夜じゃない」
「そうじゃなくて、手当てがまだ………終わってる…」
「手が止まってたからね。ほぼ終わってたし、後始末は自分でやったよ」
そう言って昆奈門は志乃を布団に寝かせ、白い首筋に唇を落とした。
「ひゃっ!」
志乃の声に昆奈門が驚いた顔をした。
「……随分、初な反応するね」
志乃の顔はすもものように赤く染め上がっている。
「あの、だって……長年の想い人と、なんて……経験ないので…」
昆奈門は志乃の辛い過去が一瞬頭を過ったが、彼女の顔を見るとそこに悲しみの色はなかった。ただただ、初恋の人を前にした少女のようだった。
ますます愛おしくなって彼女の頬に手を添える。頬から耳まで熱を持っている。
「ふふ、それは煽っているのかな」
「え、いやそんなこと…」
「なるべく優しくするから心配しないで」
「なるべくって……っ」
昆奈門は志乃の言葉を遮るように口づけをした。
「初夜」終
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【あとがき】
読んでいただき、ありがとうございます。
本編暗めだった分、幸せいちゃいちゃなふたりを書きたかったんです。ということで、結婚編1話目でした。
実は裏書いてみたかったのですが、ハードル高かった……そのうちこの話の続きを挑戦してみたいです。