第一章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
どうやらここには風呂もあるらしいが、自分の事情を知っているのがどれだけいるのか知らないし、誰かとと鉢合わせするのが怖くて避けていた。これまでは身体を拭いたり朝いち井戸の水をかぶるくらいに留めていたが、限界だ。
先輩との体術はやはり本気を出させるまではいけずに、結局自分がバテて終わった。その後、池で寝るかと言われたが、それはさすがに遠慮したのだった。今日は何がなんでも風呂に入りたい。
夜も遅いし、潮江先輩は池だし、今時間は大丈夫だろうとこっそりと行くことにした。
荘助が寝巻きと手拭いを持って風呂場に向かっていると、向かいから灯りを持った人が来るのが見えた。
「あ、兵助…」
「……なに、今から風呂?」
「そう。この時間なら他にいないと思って」
「……案内する。こっち」
歩き出した兵助の背を見ながら荘助は声をかけた。
「兵助は夜中に何してたの」
「自主練して風呂入ったとこ」
「この時間に入る人いるんだ」
「まぁ、たまにいる。とりあえず案内するけど、今後は先生に話通して、教職員用の使わせてもらったら?その方が気楽だと思う」
「そんなのあるんだ。明日聞いてみる」
荘助は意外にも兵助と話せることに驚いた。
少しの間沈黙があり、兵助が立ち止まる。
「ここ」
「ありがとう。正直、暗くて迷ってたから助かった。じゃ、おやすみ」
「……今日は俺が見張っとく」
兵助の意外な言葉に目を見張る。
「それは、悪いからいい」
「この時間、俺みたいな自主練帰りいるから。会ったらお互いまずいだろ」
「……ありがとう。すぐ済ませる」
*****
「お待たせ。助かった」
荘助の声を聞いて振り返った兵助は一瞬固まり、目を背けた。
夜着を着て髪の湿った荘助は妙に色香を感じ、やはりここにいるのは女なのだと自覚させられるには十分だった。
「……さらしくらい巻いとけよ」
「え、あぁ。確かに事情知らない人が見たら驚くな、気を付ける」
そう言って荘助は脇に抱えていた荷物を胸元に抱え直した。
「兵助、色々ありがとう。私が同じ組で迷惑かもしれないが、これからもよろしく」
「別に迷惑じゃない。君が才だけじゃなく努力してるのは知ってる」
ちらりと兵助の横顔を見やると、持っている灯りのせい頬が朱に染まっているような気がした。
「俺は、なんであいつらが初対面から平気な顔してつるんでいられるのかが分からない。忍たまの中にたったひとりの女だぞ?気まずいのは当たり前だろ」
言われてみればその通りで、荘助は思わず笑った。
「なに笑ってんだよ」
「はは、兵助の言う通りだよ。兵助の反応が普通だ。でも…」
と言ってから荘助が一度口をつぐむと、兵助は荘助に顔を向けた。
「なに」
「私は、女だからと男に引けを取るつもりはないし」
「それは、見てればわかる」
「だから、今みたいに気軽に接してくれると嬉しい」
兵助は荘助から目線を外さないまま少し口ごもったが、
「…努力するよ」
と答えた。
それを聞いた荘助は兵助にこりと笑いかけ、「ありがとう」とだけ言って部屋へ戻った。
↓↓↓おまけ
[文次郎と荘助の体術稽古翌日]
ほぼ会話
ーーーーーーーー
「文次郎、例の編入生はどうだった?」
荘助との稽古翌朝、同室の立花仙蔵が声をかけてきた。
「そうだな。初心者ではなかった」
「…それだけか?」
「なんというか、捉えにくい」
「ふぅーん。文次郎ともあろうものが苦戦したのか?」
「そんなわけあるか!全体的に軽くてあいつの攻撃はほとんどもらってない。ただ…さっきもとにかく言ったが捉えにくいんだ。力で押せはするのだが…」
「それは興味深いな」
「才がある。あいつに学ぶべきところも多いし、鍛えがいもある。強くなりそうだ」
「…そのうち抜かれたりしてな」
「それはない、俺も強くなるからな」
それを聞いた仙蔵はふと口角をあげて
「そうか」
と言うと文次郎に手をさしのべた。
「それより、そろそろ池から出たらどうだ。朝食に遅れるぞ」
ーーーーーーーー終
先輩との体術はやはり本気を出させるまではいけずに、結局自分がバテて終わった。その後、池で寝るかと言われたが、それはさすがに遠慮したのだった。今日は何がなんでも風呂に入りたい。
夜も遅いし、潮江先輩は池だし、今時間は大丈夫だろうとこっそりと行くことにした。
荘助が寝巻きと手拭いを持って風呂場に向かっていると、向かいから灯りを持った人が来るのが見えた。
「あ、兵助…」
「……なに、今から風呂?」
「そう。この時間なら他にいないと思って」
「……案内する。こっち」
歩き出した兵助の背を見ながら荘助は声をかけた。
「兵助は夜中に何してたの」
「自主練して風呂入ったとこ」
「この時間に入る人いるんだ」
「まぁ、たまにいる。とりあえず案内するけど、今後は先生に話通して、教職員用の使わせてもらったら?その方が気楽だと思う」
「そんなのあるんだ。明日聞いてみる」
荘助は意外にも兵助と話せることに驚いた。
少しの間沈黙があり、兵助が立ち止まる。
「ここ」
「ありがとう。正直、暗くて迷ってたから助かった。じゃ、おやすみ」
「……今日は俺が見張っとく」
兵助の意外な言葉に目を見張る。
「それは、悪いからいい」
「この時間、俺みたいな自主練帰りいるから。会ったらお互いまずいだろ」
「……ありがとう。すぐ済ませる」
*****
「お待たせ。助かった」
荘助の声を聞いて振り返った兵助は一瞬固まり、目を背けた。
夜着を着て髪の湿った荘助は妙に色香を感じ、やはりここにいるのは女なのだと自覚させられるには十分だった。
「……さらしくらい巻いとけよ」
「え、あぁ。確かに事情知らない人が見たら驚くな、気を付ける」
そう言って荘助は脇に抱えていた荷物を胸元に抱え直した。
「兵助、色々ありがとう。私が同じ組で迷惑かもしれないが、これからもよろしく」
「別に迷惑じゃない。君が才だけじゃなく努力してるのは知ってる」
ちらりと兵助の横顔を見やると、持っている灯りのせい頬が朱に染まっているような気がした。
「俺は、なんであいつらが初対面から平気な顔してつるんでいられるのかが分からない。忍たまの中にたったひとりの女だぞ?気まずいのは当たり前だろ」
言われてみればその通りで、荘助は思わず笑った。
「なに笑ってんだよ」
「はは、兵助の言う通りだよ。兵助の反応が普通だ。でも…」
と言ってから荘助が一度口をつぐむと、兵助は荘助に顔を向けた。
「なに」
「私は、女だからと男に引けを取るつもりはないし」
「それは、見てればわかる」
「だから、今みたいに気軽に接してくれると嬉しい」
兵助は荘助から目線を外さないまま少し口ごもったが、
「…努力するよ」
と答えた。
それを聞いた荘助は兵助にこりと笑いかけ、「ありがとう」とだけ言って部屋へ戻った。
↓↓↓おまけ
[文次郎と荘助の体術稽古翌日]
ほぼ会話
ーーーーーーーー
「文次郎、例の編入生はどうだった?」
荘助との稽古翌朝、同室の立花仙蔵が声をかけてきた。
「そうだな。初心者ではなかった」
「…それだけか?」
「なんというか、捉えにくい」
「ふぅーん。文次郎ともあろうものが苦戦したのか?」
「そんなわけあるか!全体的に軽くてあいつの攻撃はほとんどもらってない。ただ…さっきもとにかく言ったが捉えにくいんだ。力で押せはするのだが…」
「それは興味深いな」
「才がある。あいつに学ぶべきところも多いし、鍛えがいもある。強くなりそうだ」
「…そのうち抜かれたりしてな」
「それはない、俺も強くなるからな」
それを聞いた仙蔵はふと口角をあげて
「そうか」
と言うと文次郎に手をさしのべた。
「それより、そろそろ池から出たらどうだ。朝食に遅れるぞ」
ーーーーーーーー終