第三章
夢小説設定
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「ふむ、父譲りの筋の良さだな。やはりお前、俺と真の親子にならないか」
先ほどからカスリもしない。向こうは戯言を言う余裕が見て取れた。それでもたまに来る一撃をかわせているのはタソガレドキでの稽古のおかげか。なにか違う一手を入れたい。荘助は懐から棒手裏剣を取りだし、剣の隙間から投げた。わずかだが、"影丸"との距離がひらく。
「おっと、今のはおどろいたな。忍者らしいものを使うじゃないか」
その間に、居室にあった長槍に持ち変えた。
「お、長物か。良い構えをする。こちらは刀ひとつ。使えるならば相当にやりにくい」
荘助は自分でも驚いた。扱えている。しっかりと手に馴染む。昆奈門が向いているだろうと言っていたのが自分でもわかった。
「これは、面白い」
"影丸"は長槍に対しそのまま刀で応戦し、愉快そうに笑った。
「命のやり取りは心踊るものだな。そうは思わぬか、荘助とやら」
"影丸"の言葉に同意するわけではないが、荘助はこの命のやり取りの中で確かに生きているという実感があった。頭が冴え、身体が動く。父の血が騒ぎ立てているのだろうか。
しばらくいなし、いなされ、どちらもまだ傷も負わぬままときは流れた。
そのときふと、どこかで軽い爆発音がした。
来た…………
"影丸"はふと動きを止める。だが変わらず付け入る隙はない。
「……桂川荘助、お前の相手をするのは楽しいが時間がない。本当に殺すのが惜しいなぁ……」
「!!!」
"影丸"が刀を棄て、姿を消したように見えた。
*****
梅の香姫の居室の戸がバンッと音を立てて勢いよく開いた。
"影丸"が振り向く。
「お前は……タソガレドキの」
"影丸"が昆奈門に目線を移し、顔をしかめた。
昆奈門の視界には自分の知っている人物ではない影丸と、両手にクナイが突き立てられ身動きの取れない志乃が目に入っていた。
昆奈門は目線を離さずに傍にいるふたりに指示を出した。
「尊奈門、伊作くん呼んで」
尊奈門は短く返事をするとすぐ来た道を戻った。
「陣左は志乃を頼む」
陣内左衛門は一瞬聞いたことのない名に戸惑ったが、すぐに荘助のことだと気付き、
「承知」
とだけ答えた。
「雑渡昆奈門、タソガレドキは盟を破る気か?」
「何を言ってる。私たちは盟の為、ここに来ているんだよ。梅の香城主も承知の上」
昆奈門が駆け出すと、"影丸"も動き出す。
陣内左衛門は"影丸"が荘助から離れると、直ぐ様近くに寄った。
「荘助、生きてるか」
「高坂さ、ん、すみません……」
「いや、よく持ちこたえた。上出来だ。すぐ善法寺伊作が来るが……こいつだけ先になんとかするぞ」
荘助はゆっくり頷くと、陣内左衛門は慎重に荘助の手を塞いでいるクナイに手をかけた。
昆奈門と"影丸"は何度かぶつかり合いながら距離を保っている。
「あの娘はお前の差し金か、雑渡」
「…………」
「なら、遊ばずにさっさと殺しておくべきだったか」
「……ふ、筋が良いだろう。あの子はホンモノだ。それでつい楽しくなって相手をしてしまったのだろう?才は父親以上だよ。だから、ニセモノのお前には無理だ」
昆奈門がニタリと煽るような気味の悪い笑顔を見せた。
その瞬間……
タソガレドキ忍隊、忍術学園五六年生、"影丸"の息がかかっていない梅の香忍隊が、裏切り者たちを捕らえた知らせと共に集結したのだった。
昆奈門が"影丸"の動きを封じたのとほぼ同時だった。