第三章
夢小説設定
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掴んだ手首の太さに違和感を覚えたか、"影丸"の動きが一瞬止まった。
その隙に荘助は手をほどき間を空ける。
「お前、姫ではないな。何者だ」
荘助は付け髪と打掛を取り、答えた。
「桂川荘助の名に聞き覚えは?」
「桂川?あぁ、忍術学園の者だな。なぜここにいる」
"影丸"はやはり父ではない。桂川荘助という昔の仮名を聞いて無反応はあり得ない。やはり、父はいないのだ。
「……私は梅の香城主と同日に生まれた弟、影丸の娘です。父の仮の名を知らないあなたこそ何者ですか」
「娘だと?」
"影丸"が初めて目を見開いた。
「…………ふん、娘が生き残っていたか。なんだ、仇討にでも来たのか?」
荘助は警戒を解かず、じりじりと距離を広げようとしたが、相手はまるでそれを気にしていない。捕らえようと思えばすぐできる、といった余裕ぶりだ。
"影丸"は正面に荘助を見据えて言った。
「ふふ……娘っ子よ、お前も父親同様腑抜けであるか?」
「何が言いたいのでしょう」
「お前の父は腕が立ち、戦上手。好戦的で先代城主そっくりであった。現当主よりはるかに主に相応しい器だったよ。あの女と過ごすようになるまではな」
「母上……?」
"影丸"は何かを思い出すようにふいと視線を変えた。
「そうよ、お前の母だな。あのような身体を売ることしか芸のない女を妻としてから腑抜けおって、当主の座を奪うことも簡単に手放した。だから邪魔な女を村ごと焼いてやったのよ。女さえいなければ元のあやつに戻るだろうと。しかし、変わらなかったな。それにしても子も死んだと思ったが、生き残ったとは。お前は運の強い娘だな」
"影丸"は遠くを見ていた目を急にまた荘助に戻し、距離を詰めてきた。
「娘よ、その運を生かす気はないか。お前の父は死を間近にしても"兄は殺せぬ"と言うばかりであった。お前はどうだ?真の敵を間違えておらぬか?お前の父は少し遅れて生まれたというだけで影として生きることを余儀なくされた。そのことに現城主は気がつきもしないのだぞ。のうのうと城主の座に付いた平和呆けした伯父を地に落としたくはないか」
荘助は目線を外さないまま、静かに答えた。
「……あなたのような人に梅の香城主は無理でしょう。成り代わったところで潰されるのが落ち。あなたと死ぬのはごめんです」
「言ってくれるな、小娘」
"影丸"は帯刀していた刀を抜いた。
「持っているなら抜いてみよ。お前の父は腕は良かったぞ。お前はどうだ。父母の仇が目の前におるぞ」
心臓がばくばくと音を立てた。
"影丸"と自分とでは経験の差が歴然だが、やらない選択肢はない。
荘助は刀を抜いた。