第三章
夢小説設定
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来た…………
梅の香姫の居室にいると、静かに足音が聞こえてきた。
「姫様、影丸殿が火急の用とのこと。よろしいでしょうか」
姫付きの侍女が部屋の外から声をかける。わずかに声が震えたのを荘助は聞き逃さなかった。
間違いない。雑渡の読み通り、今日だった。
侍女側近には今回入れ替りの件を話していない。内通者、裏切り者がどこまでいるかわからなかったからだ。
荘助が思うにこの侍女は脅されているか買収されているか、どちらかだろう。忍隊幹部とはいえ、城主直属の側近も通さず、案内がスムーズすぎる。
「……わかりました。通して」
スーと戸が開き、"影丸"と呼ばれた人が入ってきた。体格、顔を見るに荘助の知っている父だった。心が揺れた。もし、本物の父であったならば、私はどうしたら良い?
「影丸殿、あなたがここに来るとは珍しい。余程のことがあったのですか」
「はっ。ドクタケに放った斥候の報告によれば、こちらとの戦仕度が整い、向かっているとのこと。始まる前に姫様を逃がせとのお父上からのお達しです」
膝を付き、発する声すら荘助の記憶の中のそれだ。しかし……
「それが本当だとしても、私は参りません」
荘助は座ったまま動かなかった。
「何を悠長なことを。お父上の命ですぞ」
気がつくと"影丸"は荘助のすぐ目の前にきており、手首を掴んだ。
「!!!」
*****
一方、タソガレドキ忍隊は最少人数で突入の機会をうかがっていた。
「組頭……我々の他にも忍術学園の者たちが来ているようです」
高坂陣内左衛門が昆奈門に耳打ちする。
やっぱりか、と昆奈門は思った。
あのじいさんめ。
昆奈門は忍術学園の学園長を思い浮かべた。大方タソガレドキと梅の香の均衡を崩させまいと寄越してきたのだろう。
こちらとしては、梅の香に恩を売り後々領地を獲りやすくするつもりだったが、忍術学園がこうも大胆に介入してくるとこちらの手柄が半減してしまう。
「追い返しますか」
「……伊作くんは来てる?」
「はい、いました。立花仙蔵は姫を連れているのでいませんが、他にも五六年生の忍たまが数人」
はーーっと昆奈門は長い溜め息をついた。
「忍術学園を敵に回すわけにはいかない。協力してもらおう。それに、あちらの五六年生はとても優秀だしね」
「承知しました」
昆奈門は陣内左衛門を忍たまの所へ向かわせると、荘助がいるであろう姫の居室のある方向へと目を向けた。