第三章
夢小説設定
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しばらく昆奈門の笑顔を眺めてから志乃は再び口を開いた。
「あの、気になることがあって……先程父は梅の香城主と瓜二つとおっしゃいましたよね。私、梅の香城主にお会いしてるんですが、今思い返しても父と似てるとはとても思えません」
「ん、あぁ、荘助殿は顔を変えていたからね。立場上、真の顔をさらすわけにはいかないから」
そうか、私は父の何も知らなかったんだ。
仕事も、顔すらも。覚えているのは真の姿ではない。志乃は心に空虚さを覚えた。
「志乃の武術の筋は、荘助殿譲りだ。一番大事なものは確かに受け継いでるから安心しなさい。荘助殿が教えたものは君を生かす術だよ」
昆奈門の言葉で志乃はハッとした。
"生かす術"
ここに来て何度聞いたか。
私はずっと誰かに生かされているのか。
昆奈門は志乃の表情の変化を見てから
「さて、本題はここからだ」
と話を切り出した。
「梅の香城主の弟、影丸は梅の香忍者隊に今もいる」
「!!」
「だが、荘助殿ではない。間違いなく別人だ。いつからかは分かないがなりすましている。恐らく内部の者、村を焼いた者と同じだと私は見ている」
「母上を殺した人……ですか」
「そして恐らく荘助殿も」
昆奈門はこの話をするのに気が引けたが、あえてはっきりと伝えた。志乃には受け入れて貰わねば先はない。
「……はい」
少し身体をこわばらせたが、志乃ははっきりと返事をした。どこか覚悟をしていたのだろうか。
「……そして、今の梅の香のドクタケとの緊張状態はそいつが糸を引いている可能性が高い。戦を起こし混乱を招いたのち、今度は城主となりかわるのではないかと踏んでいる」
「いつの間に、そんなこと調べていたんですか」
「これが忍の仕事だよ、荘助くん」
昆奈門はわざと男名で呼び、にやりと笑う。
「して、今度は我が殿がこれに乗じて梅の香を獲れとおおせでね。とはいえ、あちらとは盟もあるし、ここはまず恩を売っておこうということになった」
「反乱を止めるということですか」
「その通り。ドクタケと戦を起こす前にこちらから仕掛ける」
「そこで、荘助には梅の香姫を逃がすために入れ替わってもらいたい」
昆奈門はあえてそのまま志乃を"荘助"と呼んだ。
本音を言えば志乃の命を危険にさらすことはしたくない。もっと言えば忍などならずに暮らしてほしい。しかし、タソガレドキ忍隊組頭としては志乃の立場は都合が良かった。彼女をタソガレドキに連れてきたのはこの為だと言っても良い。自分はどこまでいっても忍なのだ。主の命には従わずにはおれない。
再び男名で呼ばれたことで察したか、志乃は疑問を投げ掛けることもなく顔を伏せ、
「承知しました」
と静かに答えた。