第三章
夢小説設定
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「私、こなも…雑渡さんが忍であることを知りませんでした」
荘助は呼び方を改めると昆奈門は少し可笑しそうに笑った。
「昔の呼び方でも良いのに」
「いや、さすがにもう子どもではないですし。名をちゃんと呼ばないのは失礼かと」
「志乃」
急に自分の本当の名を呼ばれ、荘助もとい志乃は変に緊張した。
「は、はい」
「"雑渡さん"はよそよそしいな」
「あ……では、昆奈門さんと」
志乃は気恥ずかしさに下を向いたが、それが知られないようにと話を振った。
「えっと、先程の話なのですが、私は父に昆奈門さんは仕事仲間で年の離れた友人だと聞いていました。ということは、私の父も忍なのですか?」
「うん、そうだよ。桂川荘助。君が名乗っていたのは、父君の仮の名前だ。確か…梅の香城下の村で君の母君と暮らすときにつけたと聞いた。本当の名前はあったのだろうか……影丸と呼ばれていたな」
確かに自分は桂川荘助を父の名前だと思っているが、本当の名前があったかどうか、とは一体……?
「君の父は、今の梅の香城主に瓜二つの双子の弟。城主跡取りの影として育てられた忍だよ」
*****
雑渡昆奈門と志乃が初めて会ったのは、昆奈門18、志乃はまだ生まれたばかりの赤子のときだった。
梅の香の忍影丸(桂川荘助)とは何度か共同の仕事を通じて知り合った。歳は八つほど離れてはいたが馬が合い、彼が妻子を持ってからもたまに会っては共に武芸の稽古をしたり酒を飲んだりしていた。
「荘助殿、奥方、お久しぶりです」
「こなもんさん!」
家に入るなり、3つになる志乃が目の前に飛び込んできた。
「ははは、志乃はまた大きくなったね」
「志乃は本当に昆奈門に懐いてるなぁ」
「こなもんさん、きょうも"ぼう"、する?」
「いいよ、やろうか」
昆奈門は志乃を連れて外に出ると一緒に棒切れを振って稽古の真似事をした。
荘助も外に出てきてしばらく見ていたが、
「そろそろ本格的に稽古をつけるか」
と言い出した。
「えぇ?志乃にですか?女の子ですよ」
「親の贔屓目もあろうが、この子は筋が良いと思わないか?それに……最近妻の体調も優れぬしこの先、何が起こるともわからない。自分の身を守れる術を教えておきたい」
それから数日後だった。
志乃らの住む村が何者かによって焼かれてしまったのだ。村はほぼ壊滅、生き残ったものもわずかだった。
そのとき、荘助は忍務、志乃は昆奈門と共に薬草取りに行っていて村におらず、家に残された志乃の母は、亡き人となったのだった。