第二章
夢小説設定
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「やぁ、話は聞いてるよ。順調そうだね」
荘助が部屋に戻ったところで、昆奈門が天井裏から顔出した。荘助は、前にもこんな光景を見たなと思った。
「ありがとうございます、雑渡さん。みなさん親切に教えてくださって」
「ふふ、あんな厳しい稽古を親切だなんて言うのは君くらいだよ」
荘助は最近、良い顔をするようになった。
厳しい稽古には真面目に耐えるが、終わると周囲の人間と雑談もするようになり、感情表現が豊かになった。
直属の部下達だけでなく、くのいちの方にも預けてみて良かったと心から思った。
昆奈門はタソガレドキに連れてきたばかりの頃の荘助を思い出し、しみじみとした。
あの頃は女である自分の存在を否定して、ひたすら男になろうと躍起になっているようだった。身体を酷使し、心に蓋をして、このままでは自己防衛以前に自分で壊してしまう。昆奈門にはそんな状態に見えたのだ。
この子には何より、生き延びてもらいたい。
それは昆奈門の真の願いだった。
「雑渡さん、聞いても良いでしょうか」
「ん?」
「雑渡さんはなぜ、私に目をかけてくださったのでしょう?ドクタケに捕まったとき、私に興味があると言っていましたよね。それはいつからでしょうか。私には、貴方が以前から私のことを知っているというふうに感じます。貴方は……いったい何者なんですか?」
捲し立てるように言葉を繋げる荘助に、昆奈門は少し狼狽した。なんと答えようか。
「すみません…聞いてはいけないことだったでしょうか」
昆奈門は首を振った。
「いや、記憶を失った君が過去を気にするのは当然のことだ」
少し間を空けて、昆奈門は答えた。
「そう………私はね、こなもんさんだよ」
「それは、保健委員の伏木蔵が…」
荘助はそう言ったところで、昆奈門がなにも言わずただただこちらを見つめていることに気付いて考え直す。
こなもんさん……
これを聞いたのはもっと昔……?
こなもんさん……
「こなもんさんっ!?」
幼い頃、呼んでいた名。懐かしい名。
兄のような師のような、父の次に近しい人。
記憶の中のその人とは、様変わりしていても、
顔を覆う包帯があろうと、目は変わらない。
「うん、こなもんさんだよ」
昆奈門に優しく微笑まれ、荘助は塞き止められていたものが一気に溢れ出した。
第三章へ続く
荘助が部屋に戻ったところで、昆奈門が天井裏から顔出した。荘助は、前にもこんな光景を見たなと思った。
「ありがとうございます、雑渡さん。みなさん親切に教えてくださって」
「ふふ、あんな厳しい稽古を親切だなんて言うのは君くらいだよ」
荘助は最近、良い顔をするようになった。
厳しい稽古には真面目に耐えるが、終わると周囲の人間と雑談もするようになり、感情表現が豊かになった。
直属の部下達だけでなく、くのいちの方にも預けてみて良かったと心から思った。
昆奈門はタソガレドキに連れてきたばかりの頃の荘助を思い出し、しみじみとした。
あの頃は女である自分の存在を否定して、ひたすら男になろうと躍起になっているようだった。身体を酷使し、心に蓋をして、このままでは自己防衛以前に自分で壊してしまう。昆奈門にはそんな状態に見えたのだ。
この子には何より、生き延びてもらいたい。
それは昆奈門の真の願いだった。
「雑渡さん、聞いても良いでしょうか」
「ん?」
「雑渡さんはなぜ、私に目をかけてくださったのでしょう?ドクタケに捕まったとき、私に興味があると言っていましたよね。それはいつからでしょうか。私には、貴方が以前から私のことを知っているというふうに感じます。貴方は……いったい何者なんですか?」
捲し立てるように言葉を繋げる荘助に、昆奈門は少し狼狽した。なんと答えようか。
「すみません…聞いてはいけないことだったでしょうか」
昆奈門は首を振った。
「いや、記憶を失った君が過去を気にするのは当然のことだ」
少し間を空けて、昆奈門は答えた。
「そう………私はね、こなもんさんだよ」
「それは、保健委員の伏木蔵が…」
荘助はそう言ったところで、昆奈門がなにも言わずただただこちらを見つめていることに気付いて考え直す。
こなもんさん……
これを聞いたのはもっと昔……?
こなもんさん……
「こなもんさんっ!?」
幼い頃、呼んでいた名。懐かしい名。
兄のような師のような、父の次に近しい人。
記憶の中のその人とは、様変わりしていても、
顔を覆う包帯があろうと、目は変わらない。
「うん、こなもんさんだよ」
昆奈門に優しく微笑まれ、荘助は塞き止められていたものが一気に溢れ出した。
第三章へ続く