第二章
夢小説設定
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昆奈門は学園の門前で待っていた。
「別れの挨拶は済んだかな」
「はい」
「うんうん、若いって良いねぇ。まあ一生の別れにはしないから安心して」
昆奈門は子どもを安心させるかのように穏やかな笑みを見せてから、笠を深々と被った。
荘助はそれをじっと見つめていた。
この人が何者なのか、全く分からない。分かるのはタソガレドキ忍隊の組頭であるということと、雑渡昆奈門という名前だけだ。
しかし、自らを"曲者"と言うこの人に恐怖を感じたのは最初だけだった。まだ数回しか会ったのとがないものの、荘助を見るその目はいつも穏やかだ。昔、父から向けられた目に似ていると思った。
あれ、それと、もうひとり……誰かいたような……
「荘助くん?行くよ」
その声で荘助は思考が断ち切られ、歩き出した昆奈門の後を慌てて追った。
*****
荘助の不在を三郎が知ったのは武闘大会が終わった後だった。
「兵助、お前なにか知ってるのか」
三郎が探るような目で兵助の顔を覗き込む。
「いや、しばらく離れるとしか聞いてない」
「試合の合間に荘助に会えたのか」
「会えた、というか向こうから来た」
「そうか……兵助、それ私はなんか悔しいぞ」
「は?試合は三郎が勝っただろ」
「いや、それじゃないよ、わかるだろー。……なぁ、急に現れた荘助がまた急にいなくなってさ、いつ戻るかも分からない。兵助は気持ちのやり場がなくないか」
兵助が首をかしげると、三郎は呆れた顔をした。
「俺の気持ち?」
「うわ、気付いてないのかよ!」
「……俺の気持ち、かぁ……」
兵助は普段に似合わない気の抜けた声を出して、秋色に染まる空を仰いだ。
*****
荘助がタソガレドキ城に入ったときには、既に日が暮れていた。
「さて、今後のことだが……」
昆奈門が荘助の顔に触れた。
「顔色が悪いな。大丈夫?」
「え?あぁ、はい大丈夫です」
荘助は掠れた声で答えた。
「さすがに疲れが出たかな。試合直後に連れ出して悪かったね。とりあえず、今日は休もうか。部屋を用意させているから…あぁ、そうだ、ここでは君が女であることを周知させてあるから、無理に振る舞うことはしなくて良い」
そう言うと荘助はじっと昆奈門の顔を見た。
「………あの、教えてくれませんか」
その表情は珍しく不安気だ。
「なぜ、私が無理をしていると?」
「うん。私には分かるんだよ」
昆奈門は迷いなくハッキリと答えた。そして、荘助両手を荘助の肩に置いて言った。
「学園長殿にも言ったが、しばらく君のことは私に任せてもらえないか。君の知りたいこと、私の知っていることも、いずれ話そう」
話を聞く荘助の手は固く握りしめられていた。