第二章
夢小説設定
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「最近、兵助と仲良いよな」
授業が終わった後、荘助がひとり部屋で復習をしていると三郎が訪ねてきてそう言った。
「なに、急に」
どうも最近、"仲が良い"という言葉を聞くが何故なのか荘助は甚だ疑問だった。
「いやさ、なんかずーっと一緒にいるよな?」
「あぁ、まぁ。予習復習付き合ってくれてるから。それを言うなら三郎だって雷蔵といつも一緒だよね?」
「あー、そういうのじゃなくて!」
三郎は部屋の中へと入り、荘助の隣に座り込み声を潜めて言った。
「正直、兵助のことどう思ってる?」
「どう…って」
荘助はそこでようやく筆を置いた。
「好きだよ」
あまりにも真面目な顔で言うので、三郎は面食らって言葉が出なかった。
「三郎も好きだよね」
「……は?」
「兵助のこと。よく気にかけてるし。そもそも五年生って組関係なく"仲が良い"よね。三郎もなんだかんだ面倒見がよくて」
「荘助」
荘助の言葉を三郎が遮る。
「荘助は、私のことも好きか?」
「好きだよ」
いつも飄々としている三郎が、珍しく顔を歪めた。
「なにその表情」
「荘助はさ、私の素顔見たいと思うか?」
唐突な話にも荘助は動じなかった。
「なに、急に。気にならないことはないけど、どうでも良いよ。三郎は三郎だから」
「…なんだよ、それ」
荘助は気がつくと天井を向いており三郎に見下ろされていた。完全に組み敷かれて身動きができない。
「鈍感なふりはやめろ。私は私だと?じゃあ荘助は私がお前をどう見てるのか言ってみろよ」
三郎が荘助の手に自分の手を重ねると、ずっと三郎を真っ直ぐに見ていた荘助が急に青ざめ、顔を背けた。
「やめ……」
震えだす荘助を見て三郎はハッとして退いた。荘助を起こそうとするが手を振り払われる。
「わ、悪かった」
荘助は自分で体を起こし、三郎と距離を取った。呼吸が荒く、視点が定まらない。
「いや……いい、大丈夫。大丈夫」
自分に言い聞かせるように呟き、呼吸を整えようとしていた。
「ごめ、ん、三郎……」
「いや、私の方が」
「少しひとりにさせて」
荘助は三郎の言葉を遮って完全に背を向けてしまった。
どうしようもないと察した三郎は静かに部屋を出ていった。
*****
三郎の言葉の意味がわからないほど荘助は鈍感ではなかった。気がつかないふりをしていた。だから三郎に謝ったのは本心だった。
しかし押し倒された瞬間、血の気が引いた。
あれは、なんだったのか。あのまま冗談だと、切り抜けることはできたはずなのに、恐怖が上回ってしまった。あの目が、自分を女として見る目が、たまらなく怖かった。
頭の中に笛の音が聞こえてくる………
袖を翻し、舞うのは自分…
自分を見る好奇の目…
今宵はこの中の誰かと床を共にする…
そうしなければ生きてはいけない……
荘助の記憶が繋がってくる。
そうだ、私は……旅をしながら笛や舞、身体を売って生きてきたのだ。
授業が終わった後、荘助がひとり部屋で復習をしていると三郎が訪ねてきてそう言った。
「なに、急に」
どうも最近、"仲が良い"という言葉を聞くが何故なのか荘助は甚だ疑問だった。
「いやさ、なんかずーっと一緒にいるよな?」
「あぁ、まぁ。予習復習付き合ってくれてるから。それを言うなら三郎だって雷蔵といつも一緒だよね?」
「あー、そういうのじゃなくて!」
三郎は部屋の中へと入り、荘助の隣に座り込み声を潜めて言った。
「正直、兵助のことどう思ってる?」
「どう…って」
荘助はそこでようやく筆を置いた。
「好きだよ」
あまりにも真面目な顔で言うので、三郎は面食らって言葉が出なかった。
「三郎も好きだよね」
「……は?」
「兵助のこと。よく気にかけてるし。そもそも五年生って組関係なく"仲が良い"よね。三郎もなんだかんだ面倒見がよくて」
「荘助」
荘助の言葉を三郎が遮る。
「荘助は、私のことも好きか?」
「好きだよ」
いつも飄々としている三郎が、珍しく顔を歪めた。
「なにその表情」
「荘助はさ、私の素顔見たいと思うか?」
唐突な話にも荘助は動じなかった。
「なに、急に。気にならないことはないけど、どうでも良いよ。三郎は三郎だから」
「…なんだよ、それ」
荘助は気がつくと天井を向いており三郎に見下ろされていた。完全に組み敷かれて身動きができない。
「鈍感なふりはやめろ。私は私だと?じゃあ荘助は私がお前をどう見てるのか言ってみろよ」
三郎が荘助の手に自分の手を重ねると、ずっと三郎を真っ直ぐに見ていた荘助が急に青ざめ、顔を背けた。
「やめ……」
震えだす荘助を見て三郎はハッとして退いた。荘助を起こそうとするが手を振り払われる。
「わ、悪かった」
荘助は自分で体を起こし、三郎と距離を取った。呼吸が荒く、視点が定まらない。
「いや……いい、大丈夫。大丈夫」
自分に言い聞かせるように呟き、呼吸を整えようとしていた。
「ごめ、ん、三郎……」
「いや、私の方が」
「少しひとりにさせて」
荘助は三郎の言葉を遮って完全に背を向けてしまった。
どうしようもないと察した三郎は静かに部屋を出ていった。
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三郎の言葉の意味がわからないほど荘助は鈍感ではなかった。気がつかないふりをしていた。だから三郎に謝ったのは本心だった。
しかし押し倒された瞬間、血の気が引いた。
あれは、なんだったのか。あのまま冗談だと、切り抜けることはできたはずなのに、恐怖が上回ってしまった。あの目が、自分を女として見る目が、たまらなく怖かった。
頭の中に笛の音が聞こえてくる………
袖を翻し、舞うのは自分…
自分を見る好奇の目…
今宵はこの中の誰かと床を共にする…
そうしなければ生きてはいけない……
荘助の記憶が繋がってくる。
そうだ、私は……旅をしながら笛や舞、身体を売って生きてきたのだ。