ガヤガヤと賑わう街。エール団のメンバーも相変わらず元気そうに生活している中で、不意に一角だけ賑わいとは別に、騒然（そうぜん）とした喧騒（けんそう）が聞こえてきた。


『また…ですか』

そう呟くのはネズである、ユウリ自身はスパイクタウンに久しぶりにやってきたのだから、この街中の状況は理解できていないのだが、ネズもマリィも、どこか深刻そうだ。

『おーい、ネズ』

新しく飾り付けられたスパイクタウンの入り口から、声が聞こえる。

『あ！ダンデさん！』

いち早く反応したのはユウリ。ホップの兄であるダンデ。マサルとユウリにとっても優しい幼馴染のお兄さんである。何故かダンデもやってきて、より一層賑わう街中だが、どうやら目的はあるようで

『あれか、スパイクタウンの最近の悩み。』

『そうですよ、最近のスパイクタウンは何故か住民の物が良く無くなる。それと同時にみんなが疑心暗鬼になってしまって…犯人も解らないまま。あまりいい状態とは言えないですよ…』

『悩み？…なんか、あまり良くなさそうな空気感ですね』

ネズとダンデが話しているのを聞いてユウリもやっと事の事情を把握した。話によれば、スパイクタウンはここ最近、たくさんの複合施設が出来て発展してきた代わりに、たびたび住人の私物がなくなったり、店のものがなくなったりするらしい。あげく怪しい影がチラホラ見えるとか……それが決まって真夜中から朝にかけてらしいが犯人は未だ解らず、なくなった物も出てこないだとか。それが合い重なって住人同士が喧嘩したりも多くなっていたらしい。ちょっとしたミステリー事情となっていた。


『それで、いま事件を調べてる途中なんよ。何が原因か解らんけんね。』

『なるほど…じゃあ私もそれに協力してもいいかな？』

不謹慎かもしれないが、少しだけワクワクしている自分がいて、もし、ゴースト系の何かの事件だとしたらパートナーポケモンにミミッキュが居ることで、なにか力になれるかもしれないという思いもあり申し出た。

『そうやね、ユウリはミミッキュ持っとったね。アニキ、協力してもらお。』


『そうですね…また借りを作るようでシャクですが…ユウリが居るのは心強い』


『がんばります！』

そうして、スパイクタウンのミステリー捜査隊が出来上がったのだった。