スパイクタウン…ヴィジュアル系シンガーソングライターのネズと妹マリィがジムリーダーであるパンク系の街。いま、この街は発展途上真っ最中である。一年前、ユウリが冒険をしていた時よりも少しずつだが街中が栄えてきており、ゲーセンや、カラオケと言った娯楽施設が出来始めて、ブティックなどの服屋も進展しはじめた。

その服屋のイメージとしては、パンク系スタイルを売りにしているもので、マリィやネズ御用達の服屋となっていた。そんなスパイクタウンにユウリがガラルクイーンとして、PRをする仕事で赴いていたところだったのだ。

『ネズさん！ネズさん！！！』

『ああ、ユウリですか。相変わらず元気そうですね』

スパイクタウンのネズといえば、ユウリが敬愛し推している相手である。そんなネズと会えることはファンにとって幸せこの上ないのではないのだろうか？スパイクジムはライブ会場としても設備がとても発展してきており、ファン同士の交流の場としてバーもできている。下手をすればガラル全域で一番発展し始めた街だろう。そんな街をPRできることの幸せは、ユウリの仕事としても好ましく楽しみにしていたものだった。ネズは次のライブの打ち合わせで一度離席しなくてはいけないらしく、そこで一旦別れることになったが、そのあとすぐにマリィがやってきてユウリの後ろから顔をヒョコッと出してニッと愛らしい笑顔を浮かべた。

『ユウリ、こっち来て。スパイクタウンの新しく出来た服屋はここ。』

マリィが口を開くと、新しく出来たパンク系ファッションのブティックを紹介するなり瞳を輝かせていたのだ。そんなマリィもあの一年前から打って変わって、たくさん笑顔を見せてくれるようになった。お兄ちゃん……マサルの力もあるのかなとか、勝手な考察をするが、それを除いても純粋に可愛いなあと思いながら、服屋のPRも考える事にする。


『うーん、色々言いたいことあって纏まらないなあ。』

PRのコメントを考えているが、頭をひねっても思いつかないので、とりあえず街中を色々見て回ったりと素直にショッピングを楽しむことから手をつけるところは、ユウリらしい。

『あーぁあ！！ネズさんのブロマイド…！しかもこれ、デビューの時！？買おうかな！』

『相変わらずユウリはアニキのこと好きやね』

『てへへ〜ファンクラブNo.001ですから！えっへん。』

たとえばこんなヲタクな一面もあったりして、ネズのファンクラブNo.1の座にいることに誇り高々と腰に手を当て、得意げにするのも普通の女の子と言っても過言ではない。ネズオフィシャルストアの前でグッズを物色していると、後ろから声をかけてきたのは、どうやら次のライブセッティングを考えて戻ってきたネズである。

『ユウリは…ファンクラブが出来ると、その情報をいち早く掴んで……ファンクラブNo.001になるため前日から寝ずにいたぐらいですからね…やれやれ。』

表情こそ笑っていないが、どこか嬉しそうにも聞こえるその口調は喜んでいるのだとすぐ解るぐらいにネズの思考を読み取るユウリのファン力には、マリィも驚くほどだ。

『そのファン力、いっそ引くよ。』

『ああ、マリィいじわる〜』

そんなやりとりをしながらも、街中の散策を楽しんでいた。