ハロンタウンーー

『ユウリ、朝よ。起きなさい』

『ううん…』

ハロンタウン、ここは豊かな田園と自然から成る優しい町といわれている場所。そして、伝説のポケモン。ザシアンとザマゼンタが居る場所である。ガラル地方のチャンピオン、一年前。あのガラルキングであるダンテを倒し、初のガラルクイーンとなったユウリは、今日も母親に起こされていた。なぜこうも彼女が起きれないかというと、ガラルの朝は早く、現クイーンは、とある一つの夢を持っている。ポケモン達のお医者様と言ったらポケモンセンターにいる看護師というイメージが湧くだろうが、それとは違い、怪我や病気をする前にいち早く気づけるよう、それを防（ふせ）げるようにポケモン達のケアをしてあげる、いわゆるケアマネージャーの仕事をしたいという夢だった。そのため、連日ワイルドエリアのポケモン達の様子を見に行ったりガラルクイーンとして雑誌の取材を受けたり、果ては各ジムリーダーとの交流など様々な面で活躍しているところだった。そのため、眠りにつくのも遅くなったりしてしまう始末で、毎朝しんどい思いをしているのが現状だった。

『ふぁ、ぁあ。おはよう、お母さん、お兄ちゃん』

『おはよ、ユウリ昨日も大変だったみたいだね。』

そうやって返事をしてくれたのは兄であるマサルである。マサルはマサルで幼馴染のホップのポケモン博士という夢の手伝いをしており、日々、博士の研究所に出かけてる。ちょっとした小話をいうと、最近はマリィと仲が良く、二人でシュートシティに買い物……いわゆるデートをするという関係性になっていて、 ユウリからしてみたら、付き合うのも時間の問題だと思ってるらしい。
…あのガラルで冒険した日々から一年も経っているとなれば、それぞれの環境も少しずつ変わるもので…12、13程の少年少女だった皆も、14、15と思春期に差し掛かっている。

『あー…ビートくんに会いたい……』

そんなユウリ自身も、一年前とは大きく変わったことが一つあって……

『はは、ビートもアラベスクタウンのジムリーダーで忙しそうだし、ちょっと離れてるもんね。ホップもユウリに会いたがっていたけどな？』

『ピンクくん不足…最後にあったのいつだろ……』

指折り数え、1ヶ月半は会ってないことに気づいたユウリは、着替えを済ませてリビングの椅子に着くなり、テーブルに突っ伏して項垂（うなだ）れた。

そう。実を言えばビートとユウリは付き合ってるのだった。