短編
会話がない。という意味では、たいそう静かな部屋に二人はいた。早めの夕食の後、かれこれ三時間ほど経っているにも関わらず、萬燈は仕事に、比鷺はレベリングに専念しているこの部屋。
萬燈が日々こなす実務は、使うツールも含め多岐に渡る。そのすべてを比鷺が把握しているわけではないのだが、自分の手元から鳴るカチャカチャという音以外、ほとんど何も聞こえてこないことからして、タブレットを使った作曲でもしているのだろう。と、当たりをつける。
……まあ、だからといって、何がどうということもないのだけれど。だけど、仕事中の萬燈と一緒にいるのは……実はそんなに悪くない。
そんなことを頭の片隅で考えながら、比鷺の視線はノートパソコンに集中していたし、両手ではゲームパッドを操作している。
二人揃って、同じ部屋で、違うことをして、会話もなくて。だけどそれが当たり前で、嘘みたいに自然に感じられるのは……そんなに悪くない、のだ。
萬燈がどう思っているのか、聞いたことも聞く気もないけれど。
萬燈が日々こなす実務は、使うツールも含め多岐に渡る。そのすべてを比鷺が把握しているわけではないのだが、自分の手元から鳴るカチャカチャという音以外、ほとんど何も聞こえてこないことからして、タブレットを使った作曲でもしているのだろう。と、当たりをつける。
……まあ、だからといって、何がどうということもないのだけれど。だけど、仕事中の萬燈と一緒にいるのは……実はそんなに悪くない。
そんなことを頭の片隅で考えながら、比鷺の視線はノートパソコンに集中していたし、両手ではゲームパッドを操作している。
二人揃って、同じ部屋で、違うことをして、会話もなくて。だけどそれが当たり前で、嘘みたいに自然に感じられるのは……そんなに悪くない、のだ。
萬燈がどう思っているのか、聞いたことも聞く気もないけれど。