◆まとめ◆クレ海&ジェオイ
さっとんさん家のイーグルが「ぼくですね」の言葉を飲み込まなかった世界線のクレ海ちゃん。
原作その後クレフとイーグル pic.twitter.com/X5NgbetOpX
— セーラーさっとん (@sailor_satton)March 18, 2023
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「……ということがあってな」
友人との出来事を一通り話し終えたクレフは、目の前のティーカップに口を付けた。
ほのかな湯気が薄紫色の長いまつげに触れるのを眺めながら、海は少し顔を赤くして「そうなの」と相槌を打つ。
城の回廊で出くわした海を「聞いてくれ」と言ってクレフが呼び止め、期せずして二人でティータイムを取ることとなったのが今。
クレフが言葉を止めると、相槌を打った後に海が言った。
「イーグルってば自信満々なのね」
「果たして自信の問題なのか?」
クレフが苦笑いを浮かべて尋ねる。
「だって、『誰かの好きなものは自分です』だなんて、よっぽど自信がないと言えないじゃない」
続けて海は「自分の好きなものでさえそんなふうに堂々と言えないのに」と、か細い声で呟いた。
「なぜ?」
クレフは、海の小さな囁きを聞き逃さなかった。
「な、なぜって! だって、梨のコンポートやレアチーズタルトを好きだって言うのとはわけが違うのよ? 他の人の前で好きな人……っ、ものを宣言するだなんて、はずかしくって普通は無理よ! あらあら身の程知らずねえとか、不毛な恋……っじゃなくて、不毛なことねって思われるのがオチだもの」
羞恥を上書きするように若干の怒りの口調で言いながら、海の顔色はますます赤く染まっていく。
「ウミ」
「なによ!」
感情の行き場なく、海は少し声を荒げて返した。
「私とて、いつも自信はない」
「え……?」
海の肩から、すんと力が抜ける。
クレフの言葉の意味が理解できず、いや意味自体はわかるのだが、なぜ今そんなことを言い出したのか全くわからず、海は小首を傾げ「なんの話?」と尋ねた。
「だが、たとえ身の程知らずでも、不毛だとしても、私はこの感情を誇りに思っている」
自分の胸に手を当てながらそう言って、クレフはまっすぐに海を見た。
青い眼差しが、海をたじろがせる。
彼のこの目が、海は得意ではなかった。
感情をまるごと見抜かれるような、心を貫かれるような視線。
海は思わず目をそらし、膝の辺りでスカートをぎゅうと握りしめた。
「だ、だから一体なんの話よ」
クレフは一度の長い瞬きをし、また元の柔和な表情を見せた。青い瞳から放たれる光の量が和らいだのを海は視界の端で察し、おずおずと上目遣いに彼の顔を覗き見た。
「だからお前も……まあ、誇れとは言わんが」
クレフが椅子から立ち上がり、言葉を続ける。
「そう卑下することもない。それに、おそらく……身の程知らずでも不毛でもない、と私は思う」
クレフが話をする時に目をそらすなんて珍しい。海は茹だった頭でそんなことをぼんやりと考える。
その後数秒の間をおいて、テーブルの上で茶器がガチャンと音を立てた。
思わず立ち上がった海は、頭頂部から湯気を出しかねない勢いで慌てふためいている。
先に席を立ったクレフは、既にスタスタと室内を進み、扉に手をかけているところだった。
「ねえ! ほんとに、なんの話をしてるの!?」
海の問いに答えることはせず、クレフはただ柔らかに微笑んで、そして部屋を去って行った。
「もう……わけわかんない…!」
崩れこむように、椅子に腰を落ろす。
すっかり冷めきったお茶をぐいと飲み干しても、しばらく海の熱が下がることはなかった。
「🐤△さっとんさん家のイーグルが「ぼくですね」の言葉を飲み込まなかった世界線のクレ海ちゃん。 」
end
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