【クレ海+フェリオ】の棚
こちらのイラストを見て触発され書かせていただいたお話になります。
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クレフェリで壁ドン。
親子愛(疑似)です。健全です。 pic.twitter.com/U35Nibyfbh— LAKI⚔王子をいじ愛で隊 (@laki_b_)May 14, 2023
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「導師! 俺に構わず逃げてください!」
「私がそんな頼みを聞く男だと思うか?」
「しかし、このままではあなたまで……!」
「お前を一人置いて生き長らえることになんの意味がある。いいかよく聞け、今から私が―」
「あなたには!」
思わず出た大声に自分自身が驚き、フェリオは口をつぐんでから小さく言葉を続けた。
「あなたには……ウミがいます。帰らなければならない。俺なら大丈夫です。逃げ足には自信がある。この怪我でもあいつ一匹くらいからなら…」
言いかけてフェリオは言葉を止めた。
「導師……?」
目の前の男は、笑みを浮かべていた。この緊迫した状況下において彼がなぜそんな表情をしているのか、フェリオには皆目見当も付かなかった。
「ならば、帰らなくてはならないのは二人とも同じだ」
そう言ってクレフは顔を上げ、フェリオの視線を空のほうへと導いた。
その時、羽の生えた円形の乗り物から竜巻と疾風による強烈な水風が落ちるのが、クレフとフェリオの目に映った。
「フェリオ、命に優先順などない。お前が諦めればフウは永遠に笑顔を見せてはくれない。もう二度と、自分を犠牲にしようなどとは考えるな」
「そ……それはこっちのセリフですよ。自分だってさっき
安心からか、思わず緩んでしまった口調をフェリオは詫び、そして空を仰いで言った。
「我々の姫君たちはたのもしいものですね」
「ああ、お前はあとで散々怒られるだろうな。無茶をしすぎだと」
「それはおそろしい。フウの説教は魔物よりずっとおっかないから」
「同感だ」
「それでも…」
その時、乗り物が着陸するやいなや、少女たちは縁からぴょんと飛び降り全速力でこちらへ駆け寄って来た。
人目もはばからず胸に飛び込んできた少女を抱きとめる。
「それでも、泣かれるよりはずっといい」
風の体は少し震えていた。先程自分のしようとした行為の愚かさを身に染みて実感する。
震える栗色の髪をそっと撫で、顔を上げた先には、同じく薄水色の髪を撫でる師の姿があった。先ほど自分を守った力強い手が、今はまるで淡雪にでも触れるような繊細さで美しい髪の上を滑っている。気恥ずかしいものがある。けれど視線を外すことができない。
思わず止まった手を不思議に思ったのか、腕の中の少女が静かに顔を上げた。
「フェリオ?」
「いや、なんでもない」
フェリオは一層力強く、風を抱きしめた。
「命のプライオリティ」
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