【クレ海+フェリオ】の棚




LAKI様が冒頭の訓練風景イメージを描いてくださいました🙏


めっちゃかっこええ………

元絵ポスト✨(くるっぷ)




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※本編とイラスト様は設定がやや異なります
ではでは、本編をお楽しみくださいませ。






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「絶対絶対アイスティ」




「ねえ、風はいいの? あれ」
不機嫌に腕を組み、海は友人に尋ねた。
「あれとは?」
海があごで示すほうに目をやる。

今自分たちがいる回廊からは、セフィーロ城の見事な中庭が覗いて見える。
広大な庭の一画。白色と紺色が目まぐるしく飛び交っていた。

フェリオの模擬刀をクレフが杖で軽く受け止め、その勢いで押し返せば、魔法の推進力を受けて白いかたまりは流れ星のように吹き飛び、芝草の上に背中からどさりと落ちた。

「痛そ……」
思わず声が出る。けれどフェリオは腕の力で体を跳ねさせてぴょんと立ち上がり、まるでボールを投げてもらった犬のようにクレフの元へと駆けて行った。

何度かそれを繰り返すと、起き上がるまでの時間が少しずつ長くなっていき、しまいには倒れたままフェリオはしばらく起き上がらなくなった。クレフがゆっくりと彼の元へ歩いて行く。顔には笑みが浮かんでいる。
「少し休憩にしよう」クレフはそんなことを言ったのかもしれなかった。寝転ぶフェリオの手を取り、ぐいと引っ張って上体を起こし上げた。
そのまましゃがみこんで何やら詠唱をしている。杖の宝玉が淡い光を放ったので、きっと回復魔法でもかけたのだろう。
フェリオの両頬を手で包み、近距離で見つめ合っている男同士の絵面は少しアブナイ。
「ちょっとくっつきすぎじゃない?」
海はひっくり返った声で言った。

クレフがもう一度杖を掲げると、芝草の上にピクニックシートのようなものが出現した。
「なにあれ……」
男二人にはあまり似つかわしくない。かわいらしいパステルブルーの色に海が「うげ」と声を漏らす。二人が靴を脱いでシートの上にあがったので、さすがの風も「まあ」と声を上げた。

今度はティーポットやらカップやらお菓子やら、そういったものがクレフが杖から次々に現れ、シートの上があっという間に賑やかになっていく。
ちょっとしたパーティが始まりそうな勢いだ。

「ちょっと! 魔法ってあんな使い方していいわけ?」
頭身を極端に縮めた海が、苦々しげに言った。

完全にピクニックだ。
男二人が、かわいらしいパステルカラーのシートに座ってお茶をしている。会話は聞こえないものの声を上げて笑っているのがここからでも見てわかった。

「ちょっと待って!」
海がさらに鋭い声を上げた。
「あの缶! アトリエゆかいの超高級クッキーじゃない!?」
セフィーロ屈指の高級菓子店の名を口にし、海がキイとわめいた。
「私だって食べたことないのに!」
大きな声で叫ぶ海の口を、風が慌てて抑えた。
「海さんはクッキーがほしいんですの?」

「ちっがーう!!!」
ちょうどクレフがフェリオの口元についたクッキーをつまんで取ってやっているところだった。海の怒りが更に増す。
頭から湯気を出しながらじたばたと暴れ回る海の肩を押さえ「落ち着いて海さん」と風が言うので、海はゼーハーと息を整えてから、咳ばらいをして言った。
「クッキーはいいとして」


「公の場であんなにいちゃいちゃされると困っちゃうんだけど」
「まあ! いちゃいちゃだなんて」
「そうとしか見えないでしょ! なんなのよ、日がな一日べたべたべたべたしちゃって」
「まあでも……男女がまぐわっているというわけでもありませんし」
「まぐわっ……だからまずいのよ! 男同士で! 教育に悪いわ! このお城には小さなお子様たちだってたくさんいるのよ!?」

風はうーんと深く唸った。この手の事柄は非常にデリケートで、慎重に取り扱う必要がある。九十年代中頃の倫理観をもってして、この件をどのように言及したらよいのか、風には本当に本当に、本当にわからなかった。

頭をひねらせ、風はどうにか言った。
「きっとあれはお二人にとって大切な時間なのでしょうし、私たちが邪魔だてするのもなにか違いますわね」
海さんだってそれはお分かりでしょう? 風がひときわ穏やかに言うので、海も少しは落ち着いて言った。
「も、もちろんわかってるわ。別にやるなって言ってるんじゃないのよ。でも、なんていうか、もうちょっと……」

海の顔が赤くなる。怒りの赤ではない。
クレフが緑の髪をポンと撫でるのを見て、海の胸がきゅんと鳴った。

 ―あんなこと、一回もしてくれたことないのに

そんなことを考えた時、風がからかうように腕にもたれかかってきた。
「海さんが何を考えているか当ててさしあげしょうか?」
「な、なによ! 私別にクレフのことなんて考えてないってば!!」

「私がどうした?」
背後から聞こえた声に、海は「ひ!」と悲鳴を上げた。
「どうした、化け物でも見たような声をあげて」

いつの間にか、二人が中庭から回廊まで歩いて来ていた。クレフもフェリオも、取り外したマントを腕にひっかけていた。見慣れない軽装姿の二人の姿に、海と風の顔がにわかに赤くなる。
「なななななんでもないわ! 二人ともご精が出るわねえって風と話してたの」
言いながら肘で風をつつく。
話を合わせろ、だ。

「ええ、本当に。随分熱心に手合わせなさってましたわね」
「導師直々に見ていただいているんだ。精の一つや二つ出さないとバチが当たるってもんだろ」

ふーん、と海が拗ねたようにあいずちを打った。
「剣技ならラファーガやランティスを相手にしたらいいのに」
「それはそれでやっているぞ、だが」
フェリオが楽しそうに続けた。
「導師との手合いが一番楽しい! まったく予測できない所から攻撃が飛んでくるんだ。導師は手癖もほとんどないから何回やっても避けられない。おかげで今日も傷だらけだ」
傷一つない(いや二つはある)綺麗な顔で、フェリオはケラケラと笑った。

「ですが、あまり無茶はしないでくださいな。クレフさんだってお忙しいでしょうし」
風が申し訳なさそうに言った。
隣の友人から良妻オーラが出まくっている。そんなふうに海は感じた。

「いや、私も時々は体を動かさないとなまってしまうからな。フェリオは元々腕は立つが、交えるたびに更に強くなっていく。それが頼もしいし面白い。私も好きでやっているのだ。気を使う必要はない」
クレフが微笑んだ。

「とはいえ、」
クレフは、肘にかけたローブを持ち直して腕を組むと、フェリオと風を順に見た。

「フェリオ、今日のところはもう終いにしよう」
恋人同士を思ってのクレフの静かな気遣いにフェリオは気付かない。「もう少しだけ!」と稽古の続きをせがむフェリオの肩を、今度は海がバシバシと叩いた。

「まあフェリオったら! そんなに汗をかいて。今日はもう十分でしょ! 部屋で着替えたほうがいいわ! 風邪ひいちゃうわよ! 風、連れて行ってあげて! ね!」
乾いた笑い声を上げ、海がクレフの腕を強引に引いて立ち去ろうとするので、風とフェリオは苦笑いを浮かべ「では」と手を振った。



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「もういいだろうウミ。あまりくっつくな」
クレフが言うので、海は慌てて手を離した。
「な…っ! 私だって別にくっつきたくてくっついてたわけじゃないわよ!」

風達に気を使ったんじゃない。頬を膨らませて言った。
「……それにしたって、そんなに思い切り拒絶しなくていいのに」

フェリオにはべたべた触っていたくせに。
私も男の子だったらよかったの?
そうしたら、クレフは私に触れてくれたかしら。

「違う」

低い声が思考を遮る。ハッと顔をあげてクレフを見ると、彼は海から目をそらし、何もない床に視線を落としていた。そしてそのまま、呟くようにボソボソと言った。
「私も汗をかいたから、その……今あまり近づかれると困るという意味だ。別に拒絶をしたわけではない」

よく見れば、クレフも少しだけ汗をかいていた。肌の色もいつもより血色立って見える。
海にとって「汗一つかかない」イメージだった彼のこんな一面は『意外』そのものだった。

「初めて見た」
海が、身を屈ませてクレフの顔を覗き込む。
「あまり見るな、そう面白いものでもあるまい」
「面白いわよ。珍しいものってだいたい面白いわ」
「では、なぜ今日はそんなに不機嫌なのだ」
「別に?」
「お前が怒りっぽいのは今に始まったことではないが、いわれのないことで怒りをぶつけられるのはさすがに困る」
「どうせ私は子供よ」
「そんな話はしてないだろう」

そんなやりとりをしていると、喧騒の早歩きも相まって、二人はあっという間にクレフの私室の前までたどり着いてしまった。



別に喧嘩をしたかったわけじゃないのに。
勝手な不機嫌を謝って、フェリオにやきもちを焼いていただけだったのよと説明をして。

私だって、本当はあなたに触れてみてほしいの。

そんなことを素直に伝えられたらどれほど良いか―


「じゃあね」
結局、海はそのいずれもせず、スカートの高さでバイバイと曖昧に手を振った。
海の手のはためきに視線を落としてから、クレフは扉に向かい杖をかかげた。その時

「クレフ」
「ウミ」

二人の声が重なる。

「なあに?」「なんだ?」互いに譲り合い、どちらが先に話すかで結局また少し喧嘩をして、最終的に「らちが明かん」と言ってクレフが先に話すこととなった。

クレフは一度咳払いをすると、杖を小さく振るった。扉が開くわけではない。かわりに、杖のそばにはアイボリー色の丸い缶がふわりと浮かんだ。

「食べていかないか?」

缶には、セフィーロ屈指の高級菓子店の名前が刻印されている。海の目がきらりと輝いた。けれどそれもとっさに隠して、海は唇を尖らせた。

「いらないわ。フェリオにあげた食べかけなんか」

まったくもって可愛くないことを言っている。
また嫌われちゃうな。
ほんと、嫌になる。自分の性格が。
けれど、どうにもひっこみがつかなかった。

そんな海の態度にもクレフは怒ることなく言った。
「フェリオにやったほうは甘くて敵わん。あれとは別に、甘味をあまり使っていないものを用意したのだ」
「え?」
「きっとお前の口にも合うだろうと思って」
「嘘」
「嘘とはなんだ。以前食べたいと言っていただろう」
言いながら、クレフは不機嫌そうに眉根を寄せた。
それが照れ隠しのように見えた気がしたのは、海の都合の良い勘違いかもしれないし、あるいはそうでないかもしれなかった。

「そんなの…ずるいわ…」
「ずるい? 甘いほうも食べたかったのか?」
「ち! 違うわよ! そうじゃなくて……」

「しかしまあ、いらないのならば仕方がない。残念だがこれは私一人で食べるとしよう」
言いながら、ちらりと横目に海を見る。その視線に呼ばれるように、海はクレフのほうへ一歩だけ歩み寄って言った。

「一人で全部食べたら太っちゃうわよ?」
「ほう」
ではどうする? 声には出さずにクレフが尋ねる。

七百も歳の離れた男女の、まどろっこしい読み合いがようやく終わろうとしていた。

「だから……食べるの手伝ってあげる」
ホッと胸をなでおろしたのは、海もクレフも同じだった。

「それは助かる」

目を合わせ、二人がフと笑った。




部屋へ入ると、クレフはソファの上にローブをぽいと打ちかけ、海に缶を手渡した。

「すまないが茶をいれておいてくれ。私は汗を流してくる」
手に取ったアイボリー色の缶をウキウキと眺め、海は「はいはーい」と軽く返事を返した。
が、その直後、海の顔はみるみる赤くなっていった。

「え!?」

脱衣室の扉がパタンと締まり、海はいよいよ大きな声を上げた。

「えーーーー!?」

ただでさえクレフの私室で二人きりになるのは久しぶりだというのに。
『湯上りクレフ』なんてとんでもないものが目の前に現れたら、まともでいられなくなるに決まっている。

せめて、せめて。
お茶は、絶対絶対アイスティーにしよう。

茹だった頬を抑えながら、海はふらつく足取りでキッチンへと向かった。













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以下、おふざけアフターストーリーです
🙇🏻‍♀️

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ほんとにふざけてます

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氷をたっぷり入れて、キンキンに冷えたアイスティーを私もクレフも一気に半分ほど飲んだ。

「湯上りに冷たいものが飲みたかった」
と言ってクレフが笑った。
「……それはよかったわね…」

さっきから視線を向けることは全くもって出来ていないのだけれど、お風呂上がりのクレフが、たしかに隣にいる。

甘くて爽やかな石鹸の香りが漂ってきて、それに慣れるまではとてもじゃないけどクッキーなんて食べられそうになかった。

― でも……

顔がにやけるのを我慢できない

(クレフの湯上り姿なんて、フェリオもさすがに見たことないでしょ)

そう考えると、少しだけ優越感を覚えた。

「そういえば」とクレフが口を開いた。
私は機嫌よく「なあに?」と返事をする。



「この前フェリオと大浴場に入った時―」







(# ゚Д゚)フェリオ!!!!💢 💢 💢 💢






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おそまつさまです🙏
LAKI様楽しいリクをありがとうございました😍😍😍


個人的に差し替え前の白フェリも好きなので、こちらも貼らせてください💜💜💚💚笑
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元絵ツイート✨(差し替え前)


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