出会い

「そんな言い分が通じると思うか!どちらにせよ、ここで…!」
「駄目!」

国木田が異能力を発動させようとするが、三宅が声を上げて制した。国木田も思わず動きを止める。

「何だ、命乞いか?」
「…花」
「花?」
「そこ、花、ある」

国木田は目線を下に下ろす。そこには、白い小さな花が咲いていた。見落としてしまいそうな程小さな花だ。

「それにここは、植物達が、平和に過ごしている所。私達の争いで、汚していい場所じゃない」

その言葉に、国木田は攻撃しようとした手をゆっくりと戻した。そして、辺りを見渡す。
国木田に植物の気持ちなどは分からない。しかし、三宅の言う通り、ここで争ってもいいかと言われると首を縦には振れなかった。

「…いいだろう。どうやら、その場限りの言葉ではなさそうだ」

三宅とは初対面だが、国木田もこの場で争うべきではないと思った。こんなに小さな花を大切に思う彼女は、実はそれほど悪い人物ではないような気がしたのだ。

「…俺も、少しここにいていいか?」

国木田は三宅の隣まで歩いて行き、美しい湖を見つめながらそう問いかけた。

「…好きにすれば」

三宅はそう返し、再び白い巨大な花に腰を下ろした。
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