出会い

「すまない、こんな森の奥に人がいるとは思わなかった。何かしていたのなら…!」

男性はそこまで言った後、表情を一変させた。男性の目線の先には、三宅が腰を掛けている巨大な花。

「人間よりも遥かに巨大な花…貴様、ポートマフィアの三宅花圃か!」

かなり表情を険しくさせて三宅と距離をとる男性。先程までとは違い、戦闘態勢に入っている。
そこで三宅は漸く、男性に顔を向けた。

「…武装探偵社、国木田独歩。」
「俺を知っているのか。」

三宅はゆっくりと口を開いた。
国木田 独歩。武装探偵社の一員だ。
武装探偵社とはポートマフィアと敵対する組織であり、犬猫の迷子捜索や浮気調査をする一般的な会社とは全く異なる、主に斬った張ったの荒事を領分にする軍や警察に頼れない危険な依頼を取り扱う探偵社である。
簡単に言えば、武装探偵社は警察や議員も頼ってくる光の組織。ポートマフィアは殺しの仕事を取り扱い、警察から追われる闇の組織だ。

「まぁいい。俺が貴様をここで取り押さえる!」
「貴方は標的じゃない」

三宅は濡れた足を拭き取り、花から降りてゆっくりと国木田と向き合う。そして、口を開いた。

「標的じゃない、だと?お前はそうでも俺は違う、お前達は小僧を追っているだろう」
「…白虎の、事?あれを追っているのも、私じゃない。私の部下」

白虎。武装探偵社に所属している、中島 敦の事だ。彼は『どんな願いも叶える白紙の本』の道標として懸賞金70億を懸けられており、ポートマフィアから身柄を狙われている。つい先日も、芥川とその部下、樋口 一葉が攻撃をしかけていた。
しかし、三宅はポートマフィアの一員でありながら、それに関与していない。
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