二人と別れた三宅は建物を出て、とある場所へと向かっていた。天気は曇り。暑くもなく寒くもない、過ごしやすい日だった。

(…これぐらいが、丁度いい)

そんな事を思いながら歩いて行き、着いた先は森。慣れているのか、歩みを止める事なく森の中へと入って行く。暫く歩いて行くと、小さな湖が見えてきた。三宅は湖の側まで行き、立ち止まる。
それと同時に、彼女の隣に巨大な白い一輪の花が姿を現した。花弁一枚に人一人が余裕で座れる程大きな花だ。自然に突然咲いたわけではない。植物を操る三宅が出現させたのだ。
その花弁に腰を掛け、靴を脱ぎ水に足をつける。
冷たい水がとても心地よく感じる。三宅にとって、この場所はお気に入りだ。落ち着き心も癒される為、毎日のように足を運んでいる。

(…植物も、元気そう)

三宅は植物を操るだけではなく、植物と会話も出来る。活き活きとしている植物を見て、三宅はほんの少しだけ目を細めた。

どれくらいの時間、そうしていただろうか。ふと人の気配を感じ、三宅は少し体を反応させた。此方に向かって歩いて来ている。ポートマフィアの人物、ではなさそうだ。知っている気配ではない。だが、殺気などは感じない。三宅はそちらに目を向ける事はなく、そのまま水につけた足を動かしていた。

「…ったく、考え事をしていたらこんな場所に…」

少しすると男の人の声が背後から聞こえた。

「…人？こんな所に人がいたのか。」

三宅は振り向かない。まるで、声が聞こえていないかのように反応を見せなかった。