闇の感覚〜after〜
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ネムリは身体を布団に横たえたまま、熱さと息苦しさにぼんやりと天井を眺めていた。
なんだか頭がぼーっとして、天井がゆらゆら揺れている。
布団のせいなのか、やたら熱くて仕方がない。
汗だくな身体にネムリは眉を顰めた。
寝巻きや髪がべったりと体や顔に纏わりついて気持ち悪い。
溜息なのか自分でもわからない荒い息を吐いてネムリは身体を起こした。
自分の身体なのに、まるで借り物みたいに重くて上手く動かせない。
身体に乗っている布団すらも、重りのように感じて煩わしかった。
とりあえず…起きて、準備しなくちゃ…
ぼーっとした頭で、のろのろと片足をベッドから床につけて、上半身を持ち上げる。
ベッドについた腕も、上手く力が入らないせいで、身体が支えきれない。
まずいなぁ、なんて思いながら重たい身体を前に傾けた途端、ぐらりと視界が傾いた。
あ…と思うまもなく、ほんの目と鼻の先に茶色い床が近づいてきた。
これは、ぶつかるなぁ…痛そう…
咄嗟に動くこともできず、そのまま他人事みたいにぼんやりしたまま身を任せた。
痛みはいつまで経っても訪れない。
「ん…あ、れ…?」
ぼんやりとしたまま目を動かすと、床が徐々に遠のいていく。
そのまま身体がどさりと後ろに倒れた。
後頭部にごち、と硬い何かがぶつかる。
「う……い、た…」
鈍い痛みに顔をしかめると、身体がギュッと締め付けられて、誰かのため息のようなものが聞こえた。
こてん、と頭を倒すと、頬に冷たくて硬い肌が触れた。
「ふぁ…きもちいい…」
ひんやりと伝わる感触がとても心地良くて、ネムリは何度も頬をすり寄せた。
びくり、体の下に敷いた何かが震えた。
またぎゅっと身体が締めつけられる。
「んん…あつい…」
まとわり付かれるのが熱くてもがこうと身体を動かそうとする。
でも、実際には全く身体がいうことを聞かなかった。
ーネムリじっとして…ー
優しい、とても安心する声がぼんやりとした頭にやけに鮮明に響いた。
もがくのを諦めて顔をわずかに動かすと、頬をひんやりとしたものが触れてきた。
優しく、ひんやりとしたものが頬をなぞる。
「んん…つめたいの…いい…」
されるがままでぼーっとしていると、頬を撫でているものが顔を上に向けさせた。
心配そうにこちらを覗き込む、綺麗な蒼い目がネムリを映す。
いつも無表情にも見える整った顔が、何処か不安げに見えた。
何度も優しく、マイケルの手が頬を撫でる。
冷たい掌の心地よさに目を細めていると、掌が額に触れた。
マイケルが端正な眉を僅かに顰め、ベッドから身体を起こした。
振動を起こさないよう、気を使ってくれているのが伝わってくる。
優しいなぁ、と熱苦しさとはべつの、ほっとする暖かさが胸を満たす。
ー熱い… ネムリ寝てて?
低く囁くようなマイケルの声が、子守唄のように心地良くネムリの耳朶を打つ。
優しく体を布団へと横たえられた。
「んんっ…でも……ごはん…」
マイケルはゆっくりと首を横に振った。
大きな手が宥めるように優しく頭を撫でる。
どこまでも優しい力で、ネムリの身体がそっと布団へと押しつけられた。
額を覆っていたマイケルの手がそっと髪を撫で付け、一瞬だけ、チュ、と額に小さな音を立てて柔らかい唇が触れた。
ーゆっくりお休み、僕のネムリ…ー
髪がゆっくりと、冷たくて大きな手に撫でられる。
ひんやりとした心地よさにネムリはうっとりと目を細めた。
さっきまで纏わりついて熱いだけだった布団が今はちょっと心地いい。
赤ら顔の潤んだ瞳でじっと見つめられて、マイケルは心がざわりと騒ぐのを感じていた。
このまま抱きしめて腕の中に閉じ込めたいと思うものの、相手は病人。
ネムリは病気でとんでもなく可愛いけれど、労わらなくちゃいけない。手なんて出せない。
マイケルはネムリを撫でているのとは反対の手を強く強く、手が赤くなるほど握り締めた。
耐えろ…耐えろ…と、マイケルは心の中で何度も何度も唱えた。
耐えろ…可愛い…耐えろ耐えろ…
耐えろ…抱きしめて鳴かせた…耐えろ…耐えろ…
マイケルが鋼の精神で食いしばってることなど露とも知らず、ネムリは蕩けたような笑みを浮かべた。
「ふへへ…マイケル、だいすき…ね、ぎゅーってして…」
力のない笑みを浮かべて、ネムリは両腕をマイケルへと伸ばす。
マイケルの頭の中で、ぶちりと、何かが切れたような感じがした。
こちらへ無防備に手を伸ばすネムリに向けて、マイケルも手を伸ばす。
そのまま背中を拐うように抱きしめようとしたマイケルの手に、燃えるような熱を持ったネムリの肌が触れた。
ビクリと体を竦ませ、マイケルはすんでのところで両手をベッドへとついて踏みとどまった。
高熱で呼吸の荒いネムリ以上にまるでマスクをかぶっている時と同じくらいフー、フーと荒々しい呼吸を溢しつつ、マイケルは歯を食いしばって耐えた。
「まいけるぅ…ぎゅう…してくれないの…?」
りんごのような赤い愛らしい顔が悲しそうに歪む。
うるうると潤んだ目から涙がこぼれ落ちそうになっている。
バチリとまた脳の奥で理性が弾け飛びながら、マイケルは血が出るくらいに硬く手を握りしめ、引きつった笑みを浮かべて耳元で囁く。
ー今はゆっくり休んで、早く元気になったら、ね?ー
その時は今日堪えた分、思いっきり抱きつくして愛し倒そう、とマイケルは心の中で強く誓った。
まだ少し不満げに頬を膨らませるネムリの頭をぎこちない手つきで撫でて、マイケルはベッドから離れた。
部屋を出ていくマイケルの背を見送り、少し寂しい気持ちになりつつも、やっぱりマイケルって優しいなぁ…好きだなぁ…と甘い思いに浸りながら、ネムリは掛け布団にそっと潜り込んだ。
微睡んだのはほんの一瞬で、すぐにネムリは深い眠りの中へと落ちていった。
ネムリが寝入ったそのわずか数分後、一刻も早くネムリを完治させる為に、必死の形相で突然レリー研究所に押し入って来たマイケルに、ドクターが驚き過ぎて腰を抜かしたのはまた別のお話。
なんだか頭がぼーっとして、天井がゆらゆら揺れている。
布団のせいなのか、やたら熱くて仕方がない。
汗だくな身体にネムリは眉を顰めた。
寝巻きや髪がべったりと体や顔に纏わりついて気持ち悪い。
溜息なのか自分でもわからない荒い息を吐いてネムリは身体を起こした。
自分の身体なのに、まるで借り物みたいに重くて上手く動かせない。
身体に乗っている布団すらも、重りのように感じて煩わしかった。
とりあえず…起きて、準備しなくちゃ…
ぼーっとした頭で、のろのろと片足をベッドから床につけて、上半身を持ち上げる。
ベッドについた腕も、上手く力が入らないせいで、身体が支えきれない。
まずいなぁ、なんて思いながら重たい身体を前に傾けた途端、ぐらりと視界が傾いた。
あ…と思うまもなく、ほんの目と鼻の先に茶色い床が近づいてきた。
これは、ぶつかるなぁ…痛そう…
咄嗟に動くこともできず、そのまま他人事みたいにぼんやりしたまま身を任せた。
痛みはいつまで経っても訪れない。
「ん…あ、れ…?」
ぼんやりとしたまま目を動かすと、床が徐々に遠のいていく。
そのまま身体がどさりと後ろに倒れた。
後頭部にごち、と硬い何かがぶつかる。
「う……い、た…」
鈍い痛みに顔をしかめると、身体がギュッと締め付けられて、誰かのため息のようなものが聞こえた。
こてん、と頭を倒すと、頬に冷たくて硬い肌が触れた。
「ふぁ…きもちいい…」
ひんやりと伝わる感触がとても心地良くて、ネムリは何度も頬をすり寄せた。
びくり、体の下に敷いた何かが震えた。
またぎゅっと身体が締めつけられる。
「んん…あつい…」
まとわり付かれるのが熱くてもがこうと身体を動かそうとする。
でも、実際には全く身体がいうことを聞かなかった。
ーネムリじっとして…ー
優しい、とても安心する声がぼんやりとした頭にやけに鮮明に響いた。
もがくのを諦めて顔をわずかに動かすと、頬をひんやりとしたものが触れてきた。
優しく、ひんやりとしたものが頬をなぞる。
「んん…つめたいの…いい…」
されるがままでぼーっとしていると、頬を撫でているものが顔を上に向けさせた。
心配そうにこちらを覗き込む、綺麗な蒼い目がネムリを映す。
いつも無表情にも見える整った顔が、何処か不安げに見えた。
何度も優しく、マイケルの手が頬を撫でる。
冷たい掌の心地よさに目を細めていると、掌が額に触れた。
マイケルが端正な眉を僅かに顰め、ベッドから身体を起こした。
振動を起こさないよう、気を使ってくれているのが伝わってくる。
優しいなぁ、と熱苦しさとはべつの、ほっとする暖かさが胸を満たす。
ー熱い… ネムリ寝てて?
低く囁くようなマイケルの声が、子守唄のように心地良くネムリの耳朶を打つ。
優しく体を布団へと横たえられた。
「んんっ…でも……ごはん…」
マイケルはゆっくりと首を横に振った。
大きな手が宥めるように優しく頭を撫でる。
どこまでも優しい力で、ネムリの身体がそっと布団へと押しつけられた。
額を覆っていたマイケルの手がそっと髪を撫で付け、一瞬だけ、チュ、と額に小さな音を立てて柔らかい唇が触れた。
ーゆっくりお休み、僕のネムリ…ー
髪がゆっくりと、冷たくて大きな手に撫でられる。
ひんやりとした心地よさにネムリはうっとりと目を細めた。
さっきまで纏わりついて熱いだけだった布団が今はちょっと心地いい。
赤ら顔の潤んだ瞳でじっと見つめられて、マイケルは心がざわりと騒ぐのを感じていた。
このまま抱きしめて腕の中に閉じ込めたいと思うものの、相手は病人。
ネムリは病気でとんでもなく可愛いけれど、労わらなくちゃいけない。手なんて出せない。
マイケルはネムリを撫でているのとは反対の手を強く強く、手が赤くなるほど握り締めた。
耐えろ…耐えろ…と、マイケルは心の中で何度も何度も唱えた。
耐えろ…可愛い…耐えろ耐えろ…
耐えろ…抱きしめて鳴かせた…耐えろ…耐えろ…
マイケルが鋼の精神で食いしばってることなど露とも知らず、ネムリは蕩けたような笑みを浮かべた。
「ふへへ…マイケル、だいすき…ね、ぎゅーってして…」
力のない笑みを浮かべて、ネムリは両腕をマイケルへと伸ばす。
マイケルの頭の中で、ぶちりと、何かが切れたような感じがした。
こちらへ無防備に手を伸ばすネムリに向けて、マイケルも手を伸ばす。
そのまま背中を拐うように抱きしめようとしたマイケルの手に、燃えるような熱を持ったネムリの肌が触れた。
ビクリと体を竦ませ、マイケルはすんでのところで両手をベッドへとついて踏みとどまった。
高熱で呼吸の荒いネムリ以上にまるでマスクをかぶっている時と同じくらいフー、フーと荒々しい呼吸を溢しつつ、マイケルは歯を食いしばって耐えた。
「まいけるぅ…ぎゅう…してくれないの…?」
りんごのような赤い愛らしい顔が悲しそうに歪む。
うるうると潤んだ目から涙がこぼれ落ちそうになっている。
バチリとまた脳の奥で理性が弾け飛びながら、マイケルは血が出るくらいに硬く手を握りしめ、引きつった笑みを浮かべて耳元で囁く。
ー今はゆっくり休んで、早く元気になったら、ね?ー
その時は今日堪えた分、思いっきり抱きつくして愛し倒そう、とマイケルは心の中で強く誓った。
まだ少し不満げに頬を膨らませるネムリの頭をぎこちない手つきで撫でて、マイケルはベッドから離れた。
部屋を出ていくマイケルの背を見送り、少し寂しい気持ちになりつつも、やっぱりマイケルって優しいなぁ…好きだなぁ…と甘い思いに浸りながら、ネムリは掛け布団にそっと潜り込んだ。
微睡んだのはほんの一瞬で、すぐにネムリは深い眠りの中へと落ちていった。
ネムリが寝入ったそのわずか数分後、一刻も早くネムリを完治させる為に、必死の形相で突然レリー研究所に押し入って来たマイケルに、ドクターが驚き過ぎて腰を抜かしたのはまた別のお話。