闇の感覚〜after〜
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ふかふかとしたベッドの中で、ネムリはゆっくりと目を覚ました。
ふんわりと身体を包み込む布団ごとネムリを抱き込むように乗っかっている、逞しく愛しい人の腕が見えた。
振り返ると、マスクを被っていない、ハロウィンの殺人鬼が、子供みたいに無防備な顔ですやすやと寝息を立てている。
モデルみたいなイケメンなのに、あどけない顔で寝てるのが、かっこよくて、可愛くて見ているだけで胸がキュンとなって、自然と頬が緩んでくる。
こうして見ると、彼が殺人鬼だなんて誰も思わないだろう。
胸に広がる愛しさにネムリはもぞもぞと布団の中で身体を動かしてマイケルに向き合うと、無防備な彼の口元にふわりと口付けた。
一瞬だけ、マイケルの眉がぴくりと震えたものの、未だに穏やかな表情で眠り続けている。
無防備で可愛いな、とネムリはくすりと笑った。
ちょっと前までは身動ぐだけできつく抱き竦められたり、そもそも顔を見せてなんてくれなかったのに。
それを思うと、ここまで心を開いてくれているのがたまらなく嬉しい。
起こさないように、そっとマイケルの身体を抱きしめてから暖かい拘束からそっと抜け出す。
もう一度、今度はマイケルの額にキスをすると、ネムリは身支度を整えに向かった。
「さてっと!」
ネムリは手早くエプロンを身につけてキッチンに立った。
完全に一緒に過ごすようになってからは、基本的に食事は全部ネムリが担当するようになった。
前々から思っていたけれど、どうやらマイケルは料理があまり得意ではないらしい…。
いつもトーストとサラダとスープとだったからあまり料理に興味がないのかなぁ?とは思っていたが、なんとなく聞いてみたら、ノートに小さな文字で
ー僕実は料理あまり出来ないんだ…ー
と書いて、心なしかしょんぼりと俯いていた。
聞いてみると、今まではシリアルオンリーの食事で、食事自体にも興味がなかったらしく、私を拐うと決めてから、最低限栄養の取れてかつ簡単に作れるものをとキラー仲間に聞いて頑張って練習してくれたらしい。
なんか、それはそれで嬉しいな、と思ったので、たまに作って欲しいとお願いしてしまった。
今ではたまに一緒にキッチンに立って作ったりもしている。
この前も一緒にサンドイッチを作るときやたら心配そうにこれでいいの?とボソリと呟くのも、もう可愛くて仕方がなかった。
思わず笑うと、恥ずかしいのかツンツンとほっぺや脇腹を突かれた。
思い出すと、また自然と笑ってしまう。
気を取り直して、私は冷蔵庫の扉を開く。
「んー…どうしよっかなぁ…」
冷蔵庫の中には卵とネムリが頼んで取り寄せてもらった味噌に、お豆腐、ネギと、ザ・日本の朝食にぴったりな材料が見えた。
「よし!」
ネムリはまず味噌汁から作ることにした。
鍋にザーッと水を入れ、その中にぽさりと鰹節を落としていく。
カチリとコンロの火をつけてしばらくすると、ふつふつと鍋が騒ぎ出し、ほんのりとお湯が狐色っぽく染まっていく。
別の器に少しだけ出し汁を移してから鰹節を取り除く。
澄んだ狐色になった鍋の中に、刻んだ豆腐がとぽとぽと音を立てて、出汁の中に沈んでいく。
その中にスプーンで掬った味噌を味噌濾しと一緒にそっと沈めて溶いていく。
ふわりと広がるいい香りに、どこか心がホッとした。
鍋の火を弱火にして、次にこちらもマイケルに無理を言って頼んだ卵焼き器をコンロに乗せる。
案外エンティティも融通効くなぁと思ったけど、よく考えれば、それはマイケルの儀式の成果が満足に足るものだからだと思うと、少し複雑にも思えた。
苦笑いしつつ、ネムリは一先ず目の前の恩恵に感謝することにしたのだった。
胡麻の香りの油を敷いて、コンロに火をつける。
次第に広がる胡麻の香りと、ぷつぷつと気泡が出だした中に、溶いた卵と調味料、出し汁を混ぜた淡い黄色の液体を、箸に伝わせて器の中に落としていく。
じゅわあ、と広がり、半透明だった液体が鮮やかな黄色に変わっていく。
手早くくるくると薄く伸ばした卵が巻き上げられていき、火を止めて皿の上に乗せたときには、テラテラと輝きながら湯気が立っている美しい卵焼きが出来上がっていた。
「よし!オッケー!後は…」
ご飯をよそおうとして茶碗としゃもじを手に取ったところで、後ろから腰に太い腕が回された。
肩口にのしっと頭が乗っかって、柔らかい金色の髪が首筋と頬をくすぐる。
ネムリは愛おしげに肩口に乗る頭を見つめ、自身もそっと頭を彼にもたれかけさせた。
「おはよ。マイケル」
返事の代わりにすりり、と頭がすり寄せられ、お腹の前に回っている手が強く抱きしめてくる。
ネムリが軽く首を傾げると、マイケルが唇にそっと口付けてくる。
「んっ…」
何度も軽く触れるだけの口付けを繰り返した後、そっとマイケルが顔を離す。
見上げると、微かに微笑みを浮かべた蒼い目がネムリをじっと見つめている。
ネムリも、微笑みを浮かべながらマイケルを見つめ返す。
もう一度、口付けを交わそうとどちらともなく顔を近づけていく。
ぐぅうううう……
盛大にマイケルの腹の虫が鳴いた。
2人して目を見合わせて固まる。
ネムリがくすくすと笑う中、マイケルは少しだけ目線を逸らして、なんだかバツが悪そうに頭を掻いていた。
「ふふっ。朝ごはんにしようか!」
愛しい人と2人きりの、幸せな朝が始まった。
ふんわりと身体を包み込む布団ごとネムリを抱き込むように乗っかっている、逞しく愛しい人の腕が見えた。
振り返ると、マスクを被っていない、ハロウィンの殺人鬼が、子供みたいに無防備な顔ですやすやと寝息を立てている。
モデルみたいなイケメンなのに、あどけない顔で寝てるのが、かっこよくて、可愛くて見ているだけで胸がキュンとなって、自然と頬が緩んでくる。
こうして見ると、彼が殺人鬼だなんて誰も思わないだろう。
胸に広がる愛しさにネムリはもぞもぞと布団の中で身体を動かしてマイケルに向き合うと、無防備な彼の口元にふわりと口付けた。
一瞬だけ、マイケルの眉がぴくりと震えたものの、未だに穏やかな表情で眠り続けている。
無防備で可愛いな、とネムリはくすりと笑った。
ちょっと前までは身動ぐだけできつく抱き竦められたり、そもそも顔を見せてなんてくれなかったのに。
それを思うと、ここまで心を開いてくれているのがたまらなく嬉しい。
起こさないように、そっとマイケルの身体を抱きしめてから暖かい拘束からそっと抜け出す。
もう一度、今度はマイケルの額にキスをすると、ネムリは身支度を整えに向かった。
「さてっと!」
ネムリは手早くエプロンを身につけてキッチンに立った。
完全に一緒に過ごすようになってからは、基本的に食事は全部ネムリが担当するようになった。
前々から思っていたけれど、どうやらマイケルは料理があまり得意ではないらしい…。
いつもトーストとサラダとスープとだったからあまり料理に興味がないのかなぁ?とは思っていたが、なんとなく聞いてみたら、ノートに小さな文字で
ー僕実は料理あまり出来ないんだ…ー
と書いて、心なしかしょんぼりと俯いていた。
聞いてみると、今まではシリアルオンリーの食事で、食事自体にも興味がなかったらしく、私を拐うと決めてから、最低限栄養の取れてかつ簡単に作れるものをとキラー仲間に聞いて頑張って練習してくれたらしい。
なんか、それはそれで嬉しいな、と思ったので、たまに作って欲しいとお願いしてしまった。
今ではたまに一緒にキッチンに立って作ったりもしている。
この前も一緒にサンドイッチを作るときやたら心配そうにこれでいいの?とボソリと呟くのも、もう可愛くて仕方がなかった。
思わず笑うと、恥ずかしいのかツンツンとほっぺや脇腹を突かれた。
思い出すと、また自然と笑ってしまう。
気を取り直して、私は冷蔵庫の扉を開く。
「んー…どうしよっかなぁ…」
冷蔵庫の中には卵とネムリが頼んで取り寄せてもらった味噌に、お豆腐、ネギと、ザ・日本の朝食にぴったりな材料が見えた。
「よし!」
ネムリはまず味噌汁から作ることにした。
鍋にザーッと水を入れ、その中にぽさりと鰹節を落としていく。
カチリとコンロの火をつけてしばらくすると、ふつふつと鍋が騒ぎ出し、ほんのりとお湯が狐色っぽく染まっていく。
別の器に少しだけ出し汁を移してから鰹節を取り除く。
澄んだ狐色になった鍋の中に、刻んだ豆腐がとぽとぽと音を立てて、出汁の中に沈んでいく。
その中にスプーンで掬った味噌を味噌濾しと一緒にそっと沈めて溶いていく。
ふわりと広がるいい香りに、どこか心がホッとした。
鍋の火を弱火にして、次にこちらもマイケルに無理を言って頼んだ卵焼き器をコンロに乗せる。
案外エンティティも融通効くなぁと思ったけど、よく考えれば、それはマイケルの儀式の成果が満足に足るものだからだと思うと、少し複雑にも思えた。
苦笑いしつつ、ネムリは一先ず目の前の恩恵に感謝することにしたのだった。
胡麻の香りの油を敷いて、コンロに火をつける。
次第に広がる胡麻の香りと、ぷつぷつと気泡が出だした中に、溶いた卵と調味料、出し汁を混ぜた淡い黄色の液体を、箸に伝わせて器の中に落としていく。
じゅわあ、と広がり、半透明だった液体が鮮やかな黄色に変わっていく。
手早くくるくると薄く伸ばした卵が巻き上げられていき、火を止めて皿の上に乗せたときには、テラテラと輝きながら湯気が立っている美しい卵焼きが出来上がっていた。
「よし!オッケー!後は…」
ご飯をよそおうとして茶碗としゃもじを手に取ったところで、後ろから腰に太い腕が回された。
肩口にのしっと頭が乗っかって、柔らかい金色の髪が首筋と頬をくすぐる。
ネムリは愛おしげに肩口に乗る頭を見つめ、自身もそっと頭を彼にもたれかけさせた。
「おはよ。マイケル」
返事の代わりにすりり、と頭がすり寄せられ、お腹の前に回っている手が強く抱きしめてくる。
ネムリが軽く首を傾げると、マイケルが唇にそっと口付けてくる。
「んっ…」
何度も軽く触れるだけの口付けを繰り返した後、そっとマイケルが顔を離す。
見上げると、微かに微笑みを浮かべた蒼い目がネムリをじっと見つめている。
ネムリも、微笑みを浮かべながらマイケルを見つめ返す。
もう一度、口付けを交わそうとどちらともなく顔を近づけていく。
ぐぅうううう……
盛大にマイケルの腹の虫が鳴いた。
2人して目を見合わせて固まる。
ネムリがくすくすと笑う中、マイケルは少しだけ目線を逸らして、なんだかバツが悪そうに頭を掻いていた。
「ふふっ。朝ごはんにしようか!」
愛しい人と2人きりの、幸せな朝が始まった。
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