闇の感覚(マイケル)
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どうして?…どうして、こんなことになってしまったの?
目の前に広がる真っ暗な血溜まりに、見慣れた3人の身体が沈んでいる。
折り重なるように倒れている3人は、皆一様に目を見開き、苦悶に顔を歪めたまま、物言わぬ骸と化していた。
濁りきった虚な目に映る自分の姿は、いっそ哀れなほど無様だった。
涙でぐしゃぐしゃな顔で、地面に腰を抜かし、生暖かい血溜まりに手や足が浸っているにも関わらず、逃げることすらできない。
ただその場で震える、哀れなだけの獲物、それがネムリの今の姿だった。
今日の儀式は最初から何かおかしかった。
開始してからしばらく経つのに誰にも会わない。
もちろん、キラーにも会わない。
たまに儀式の時に気乗りしないのか、全く殺しにこない時も確かにある。
どうせ今日もそうなんだろうと、着々と発電機がついていく中で思った。
発電機の修理が終わり、ゲートに向かおうとしたところで、ゲート解放のブザーが、聞こえてきた。
早い!きっとドワイトだな。
足取り軽くゲートに向かうと、ゲートの奥に人影が見えた。
「おまたせー!!ほかのみんな…は…?」
駆け寄った足から力が抜けていき、そのまま止まってしまった。
目の前の光景に、脳が一瞬理解するのを拒否した。にも関わらず、目に焼き付いてしまい、視線を逸らせない。
耳の奥で、煩いくらい自分の鼓動が響く。
命の危険を告げるアラートが頭の中を駆け巡る。
ゲートの手前に見慣れないオブジェが置かれていた。
赤黒いそれは、手や足のようなものが折り重なるように絡まり合う、思わず目を逸らしたくなるようなおぞましいものだった。
いや、オブジェなんかじゃない。
折り重なるそれは、ネムリのよく知る人物達だった。
頼りになるリーダーのドワイト。
先陣を切って前を走ってくれるデイビッド。
誰よりも状況を読んで、先回りして助けてくれるジェイク。
頼もしい仲間達が、物言わぬ骸のオブジェと成り果てていた。
ヒッ、と声にならない声が喉に張り付いた。
後退ろうとしたが、腰が抜けてしまい、そのまま地面に尻餅をついてしまった。
べちゃり、と嫌な音がして、手と足に赤黒い液体が付着する。
生暖かい感触に、寒気しか感じない。
浅い呼吸が、ガチガチと震える歯が、思うように動けない身体が、ネムリを絶望の底へと引き摺り込もうとしてくる。
ゲートの奥に立っていた人物がゆっくりと振り返る。
真っ赤に染まった包丁を片手に、もう片方の手には、刈り取ったであろう血に染まったシャツを纏った腕を
握って。
何を考えているのかわからない真っ白なマスク越しに、ネムリへ視線が注がれる。
底知れない暗闇の奥から見つめられているネムリはゆっくりと、しかし確実に絶望的な暗闇が足元から這い上がってきているのを感じていた。
べしゃり、と何かが血溜まりに落ちる音がした。
目玉を動かして見ると、先ほどまでマイケルが持っていた腕だった。
見慣れた黒い腕時計…。
ドワイトがいつもつけていた…。
ドクンドクン
心臓がけたたましい音を立てる。
喉の奥から急速に胃酸が込み上げ、涙がさらに溢れてくる。
「うっぐっ…うぇっ」
吐き出したところで何も変わらない。
喉の奥に凍りつくような恐怖が纏わり付くだけだ。
ぼんやりと落とされた腕が視界に映る。
そのすぐ近くに、同じような物体がもう2本ほど落ちていた。
あぁ…腕が纏う衣で分かってしまう。
分かってしまった。
ドワイト以外の、残りの二人の腕だった。
「な、んで…」
掠れた情けない声が唇から溢れた。
「…」
ハロウィンの申し子、白いマスクの殺人鬼は何も答えない。
「ど、して…こ、んな…」
ダンッ!!!と激しい音がした。
ネムリの手のすぐ横に包丁が刺さっていた。
ヒッ、と声だけは出た。
でも、身体は一切動かなかった。
マイケルは蹲るネムリに覆いかぶさるように詰め寄ると、包丁を動かし地面に何かを刻み付ける。
血塗れの手がネムリの顎を掴み、無理やり地面の方を向かせる。
地面に刻まれていたのは、文字だった。
ー君に触れたー
「え…な、に?」
ガリガリと、また包丁が地面を切り刻む。
ー僕以外が君に触れたー
落ちていた腕は全て右腕…。
昨日、みんなが私に触れた腕…。
ー君は僕のものー
頭が真っ白に、視界がどんどん暗くなっていく。
目線を逸らしたくても、顎を捉えた血塗れの手が逃げることを許してくれない。
震えるネムリに容赦なく、死刑宣告が刻まれる。
ーもう誰にも渡さないー
強く抱きしめられる感触。
自分の身体なのに、全く違うような、遠い感覚。
茫然と固まるネムリをそっと抱き上げ、マイケルは地面に刺さった包丁を引き抜くと、彼女の為に用意した二人の家へと、ゆっくりと歩き出した。
目の前に広がる真っ暗な血溜まりに、見慣れた3人の身体が沈んでいる。
折り重なるように倒れている3人は、皆一様に目を見開き、苦悶に顔を歪めたまま、物言わぬ骸と化していた。
濁りきった虚な目に映る自分の姿は、いっそ哀れなほど無様だった。
涙でぐしゃぐしゃな顔で、地面に腰を抜かし、生暖かい血溜まりに手や足が浸っているにも関わらず、逃げることすらできない。
ただその場で震える、哀れなだけの獲物、それがネムリの今の姿だった。
今日の儀式は最初から何かおかしかった。
開始してからしばらく経つのに誰にも会わない。
もちろん、キラーにも会わない。
たまに儀式の時に気乗りしないのか、全く殺しにこない時も確かにある。
どうせ今日もそうなんだろうと、着々と発電機がついていく中で思った。
発電機の修理が終わり、ゲートに向かおうとしたところで、ゲート解放のブザーが、聞こえてきた。
早い!きっとドワイトだな。
足取り軽くゲートに向かうと、ゲートの奥に人影が見えた。
「おまたせー!!ほかのみんな…は…?」
駆け寄った足から力が抜けていき、そのまま止まってしまった。
目の前の光景に、脳が一瞬理解するのを拒否した。にも関わらず、目に焼き付いてしまい、視線を逸らせない。
耳の奥で、煩いくらい自分の鼓動が響く。
命の危険を告げるアラートが頭の中を駆け巡る。
ゲートの手前に見慣れないオブジェが置かれていた。
赤黒いそれは、手や足のようなものが折り重なるように絡まり合う、思わず目を逸らしたくなるようなおぞましいものだった。
いや、オブジェなんかじゃない。
折り重なるそれは、ネムリのよく知る人物達だった。
頼りになるリーダーのドワイト。
先陣を切って前を走ってくれるデイビッド。
誰よりも状況を読んで、先回りして助けてくれるジェイク。
頼もしい仲間達が、物言わぬ骸のオブジェと成り果てていた。
ヒッ、と声にならない声が喉に張り付いた。
後退ろうとしたが、腰が抜けてしまい、そのまま地面に尻餅をついてしまった。
べちゃり、と嫌な音がして、手と足に赤黒い液体が付着する。
生暖かい感触に、寒気しか感じない。
浅い呼吸が、ガチガチと震える歯が、思うように動けない身体が、ネムリを絶望の底へと引き摺り込もうとしてくる。
ゲートの奥に立っていた人物がゆっくりと振り返る。
真っ赤に染まった包丁を片手に、もう片方の手には、刈り取ったであろう血に染まったシャツを纏った腕を
握って。
何を考えているのかわからない真っ白なマスク越しに、ネムリへ視線が注がれる。
底知れない暗闇の奥から見つめられているネムリはゆっくりと、しかし確実に絶望的な暗闇が足元から這い上がってきているのを感じていた。
べしゃり、と何かが血溜まりに落ちる音がした。
目玉を動かして見ると、先ほどまでマイケルが持っていた腕だった。
見慣れた黒い腕時計…。
ドワイトがいつもつけていた…。
ドクンドクン
心臓がけたたましい音を立てる。
喉の奥から急速に胃酸が込み上げ、涙がさらに溢れてくる。
「うっぐっ…うぇっ」
吐き出したところで何も変わらない。
喉の奥に凍りつくような恐怖が纏わり付くだけだ。
ぼんやりと落とされた腕が視界に映る。
そのすぐ近くに、同じような物体がもう2本ほど落ちていた。
あぁ…腕が纏う衣で分かってしまう。
分かってしまった。
ドワイト以外の、残りの二人の腕だった。
「な、んで…」
掠れた情けない声が唇から溢れた。
「…」
ハロウィンの申し子、白いマスクの殺人鬼は何も答えない。
「ど、して…こ、んな…」
ダンッ!!!と激しい音がした。
ネムリの手のすぐ横に包丁が刺さっていた。
ヒッ、と声だけは出た。
でも、身体は一切動かなかった。
マイケルは蹲るネムリに覆いかぶさるように詰め寄ると、包丁を動かし地面に何かを刻み付ける。
血塗れの手がネムリの顎を掴み、無理やり地面の方を向かせる。
地面に刻まれていたのは、文字だった。
ー君に触れたー
「え…な、に?」
ガリガリと、また包丁が地面を切り刻む。
ー僕以外が君に触れたー
落ちていた腕は全て右腕…。
昨日、みんなが私に触れた腕…。
ー君は僕のものー
頭が真っ白に、視界がどんどん暗くなっていく。
目線を逸らしたくても、顎を捉えた血塗れの手が逃げることを許してくれない。
震えるネムリに容赦なく、死刑宣告が刻まれる。
ーもう誰にも渡さないー
強く抱きしめられる感触。
自分の身体なのに、全く違うような、遠い感覚。
茫然と固まるネムリをそっと抱き上げ、マイケルは地面に刺さった包丁を引き抜くと、彼女の為に用意した二人の家へと、ゆっくりと歩き出した。