DbD短編
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「クソッ!クソッ!!クソッ!!!」
血塗れの手で自身の服が汚れるのも構わず、フランクはガシガシと頭のフードを掻き毟った。
あぁあイライラして仕方がねぇ!!
畜生うぜぇうぜぇうぜぇ!!!
足元に転がっている生存者から叩き落とした工具箱を苛立ち紛れに蹴り上げたら、中からバラバラと工具が
こぼれ落ちてフランクの足に工具の先が当たった。
足に感じる微かな痛み。
それすらも、今のフランクの苛立ちを助長する火種でしか無い。
切れやすい若者の典型例のようなフランクは、それだけでまた簡単に血管がプツンと音を立ててキレる。
「だぁあああ!!!!クッソムカつくぞゴミ生存者共がぁああ!!」
手当たり次第に落ちた工具を彼方此方に蹴り飛ばしていく。
フランクにとって、今日の儀式は散々の一言だった。
隠密の上手い生存者達だったのか、発電機が3つも通電するまで一向に見つからず、やっと見つけたと思った1人もやたらと逃げ回るのが上手く、顔面に板をぶつけられたり、ライトで目潰しされたりと、怒りと苛立ちは増すばかり。
絶対ぇ殺す!!と躍起になって無我夢中で追いかけ続けるうちに、気づけば発電機は全て通電してしまっていた。
この時点で、フランクの苛立ちは最高潮に達していた。
血眼で目の前の生存者を追いかけ回す。
意地でもこいつだけはぶち殺してやる!!
絶対ぇ殺す!!
肉フックに掛けてくたばるまで滅多刺しにしてやらぁ!!!
執念の力で相手を切りつけ地面に引きづり倒し、ようやく処刑だと意気込んでいたら、何処から湧いて出たのか今まで影すら見せなかったクソ生存者共がわらわらと湧いてでやがった。
もがく生存者を押さえ込みつつ、わらわら沸きやがった他の生存者を追っ払うのに気を取られたのが不味かった。
がしゃん!と音を立てて、やっとのことたどり着いた目の前のフックは無残に折られた。
せっかく肉フックにかけてやろうと思った獲物は脱兎の如く駆け出して、やっとのこと追いついた頃には既に遥か遠く、ゲートの前で他の生存者3名と共に腹を抱えて笑い転げるような仕草をして、馬鹿にするみたいにライトをカチカチ喧しく点滅させながらゲートから出て行った。
「だぁあああ!!!!クッソマジムカつくぜゴミ共がっ!!!!」
誰もいなくなったゲートの中、行手を阻むエンティティをガンガンと蹴り上げ、持ってるナイフでしこたま殴りつけても、なお怒りが収まらない。
コケにされ、馬鹿にされその上で血祭りにあげられなかった鬱憤と苛立ちを抑える術など知らないフランクは、がむしゃらにその場で暴れ回っていた。
その背後に、最後の1人の生存者が立っている事になど気づくはずもなかった。
「んー、荒れてるねぇリージョン。気持ちはまぁわからなくもない。災難ね。」
「あ゛ぁ!?んだテメェ誰だよクソがっ!?」
落ち着いた声に振り返ると、フランクの背後には1人の女が立っていた。
儀式に似つかわしくない胸元の大きく開いた服に、魅惑的なすらりとした脚が映えるショートパンツといった出で立ちで、切れ長の色気を漂わせる鋭い眼が荒狂うフランクを冷ややかに見つめている。
「マジで誰だテメェ?どっから湧いてでやがったあ゛ぁ!?」
「まぁまぁ。そんなに吠えると弱く見えるよ。落ち着きなさいよ、ね?」
威嚇するように怒鳴るフランクに、女は怖気付くどころか、軽く微笑んで肩を軽々しく叩いて来た。
落ち着き払って諭す行動は、冷静な相手になら効果的な宥め方だ。
しかし、激昂している上に短気なフランクに、そんな接し方は逆効果もいいところだった。
何度目かもわからない血管のキレる音が、フランク自身にもブチンッ!と聞こえた。
「っるっせぇんだよクソアマがぁあ!!!!」
「っきゃっ!!」
フランクは乱暴に女の両肩を突き飛ばした。
予想もしてなかった衝撃に、女はドサリと草むらに倒れ込む。
そんな彼女の上にフランクは馬乗りになって、もがこうとする彼女の両腕を押さえつけた。
女は一瞬眉を潜めたものの、なおも不敵に笑って見せた。
「っ痛…女の扱いがなってないんじゃない?リージョン?」
「ハッ!!っるっせぇよ。形成逆転ってやつだなぁ?オイ?舐めた態度取りやがって」
無防備に成り下がった女を、フランクは余裕な態度で見下し、改めて女を観察した。
女は先ほどよりはしおらしい態度で、大人しくこちらを見上げていた。
元々大きく開いていた胸元が、押し倒された拍子に少しはだけ、呼吸と共に柔らかそうな膨らみが艶かしく上下する。
首筋に纏わり付く黒髪と少しだけ困惑したように寄せられた眉が中々に色気のある表情を作り出していた。
ごくり、とフランクは唾を飲む。
そうだ。散々な目に遭わされた腹いせに、こいつを無茶苦茶に犯してやろう。
それがいい!!無様な姿でキャンプに帰って、あのゴミ共を自己嫌悪に突き落としてやろう。
邪悪な企みに、フランクはクククッと押し殺すような笑いを溢した。
怪訝そうに女はぴくりと眉を動かす。
「どうかした?打ち所でも悪かったのかしら?」
「ほざけよ。それよりてめぇの心配でもしたらどうだ?」
「心配?何を心配する必要があるのかしら?」
フッと笑った女の顔に、フランクはずいと顔を近づける。
微かに女が息を飲んだ。
仮面の下でフランクはにやりと笑った。
「この状況でどうなるかくらい、女ならわかんだろ?大人しくしてろよ…気が狂うくらい犯してやっから」
低い地を這うような声に、女の体が震えて固まった。
ぁぁ!!愉快で仕方ねぇ!!散々だった鬱憤をこの女で目一杯晴らしてやろう。
ここに来てから随分ご無沙汰だったから堪らねぇ。
中々に上玉がかかった事だし、せいぜい楽しませてもらおう。
上機嫌のフランクは余裕そうだった女の絶望した顔をじっくり鑑賞してやろうと改めて女の顔を見下した。
「……」
女はただ無言でこちらをじっと見上げていた。
呆然としている、といった方が正しいかもしれない。
フランクは込み上げる笑いと興奮を抑えられなかった。
「クハッ!!んだよとぼけた面してよぉ???なんとか言えよ?ん?やめてくださいー!って涙目で謝ったら気が変わるかもしれねぇぞ?お?」
「………」
女が微かに肩を震わせる。
お?お?泣くか?泣くか?
フランクはニヤニヤして女を見下ろし続けた。
女の唇がゆっくりと動く。
「……ップフッ!っあっははははは!!!」
女は笑った。
それはもう声高らかに、面白くて仕方ないと言ったようにケタケタ笑い続けていた。
ご機嫌から一転、ぴくりと米神を震わせてフランクは女を睨む。
女は愉快で仕方ないと言った様子で、頬が赤らんで目に涙まで浮かべている。
少しだけ、情事の最中を思わせて、フランクの身体にぞくりとした感覚が走る。
怒りと興奮で、フランクはギリリと音がなるほど女の腕を強く掴んだ。
一瞬だけ女は痛みに目を細めたものの、またフッと笑みを浮かべる。
「あっ?ショックで狂ったか?テメェ何笑ってんだよ」
「ふふっ…だって…なんだか思春期の坊やみたいなことを嬉々として言い出すんだもの。ップフッ!フフフフフッ!!!」
ブチリとまたフランクの血管が音を立ててキレる。
こんのアマ…こいつまで俺を馬鹿にしやがんのか!?
ちょっと見た目が悪くねぇからって調子に乗りやがって!!
「あ゛ぁ!?んだと!?」
「キレてるのって図星?もしかしてチェリーボーイとか?ッフフ!」
「んなわけねぇだろ!?舐めたマネできんのも今のうちだぞ?無様に喘がせて、泣き叫ぼうがやめねぇからな…覚悟しろよクソアマ」
ドスの効いた声で脅すようにいうと、女はフッと笑った。
先程の愉快そうな感じではなく、色気のある、思わず見惚れるような微笑みだった。
フランクは無意識のうちに見惚れて固まってしまった。
時間にしてほんの数秒、わずかばかり女の腕を抑える力が緩んだ。
その一瞬だった。
「女の扱いがなってないから坊やなのよ」
一言呟くと、女は上にのしかかっているフランクを勢いよく腰で押し上げ、フランクは突然の背後からの力に押されて前へと体勢を崩し倒れ込んだ。
「っうお!?」
身体を支えようと咄嗟に女の両手を離したのが不味かった。
女は素早く両手でフランクの右腕を抱え込むと、フランクの右足に脚を絡めて引っ掛け、寝返りを打つ要領であっという間に逆にフランクを押し倒して馬乗りになった。
「え!?あ!?はっ!?」
「形成逆転ね?」
不敵な笑みを浮かべながら、女は妖艶に笑った。
その表情に、哀しかなフランクの下半身が反応してしまう。
口惜しげに呻き声を上げるフランクに、女はちらりと下半身に目を向けて、にっこりと微笑んだ。
「子供ね?まぁ、次は頑張りなさいな」
「っるっせぇこら!調子にのんじゃねぇ!!」
油断したが力の差は俺のが強ぇ!!
直ぐに巻き返してやる!!
なんとか再び組み敷いてやろうと暴れようとするフランクに、女はずいと身体ごと押さえ込みにかかる。
視界には、豊満な谷間がフランクの胸板の上で柔らかく歪んでいる。
ふわりと漂う女の香りにくらりと目眩がして、ごくり、フランクが唾を飲んで固まった。
「ふふっ。可愛い。今回はコレだけ。ね?」
女はスッとフランクの仮面を外すと、真っ赤な顔で呆然としていたフランクの唇にちゅっと口付け、悪戯にぺろりと舌先で舐めた。
「んっんお!?なっ、なにを!?」
「はーいおしまい。続きしたかったらもうちょっと大人になりなさいね?」
女はするりとまるで何事もなかったかのように離れると、さっさとゲートへ向かって歩き出していく。
「あっ!?おい!まてよ!!!てめぇ!!」
慌てて後を追おうと立ち上がったときには、すでに女エンティティの定める境界をすんなり超えた後だった。
振り返り、また妖艶な笑みでこちらに目をやる。
穏やかだ、でも色っぽいそんな目がフランクを見つめて、悪戯に微笑んでいた。
「じゃあね坊や。後、女の名前は最初に聞いた方がいいわよ?てめぇ、なんかじゃムードでないじゃない?ヤル気になんてなれないわ」
「.あぁ!?そ、それなら俺だって坊やじゃねぇ!!!俺はフランクだ!!!覚えとけクソアマ!!次はねぇからなっ!!!」
「そう…次があるといいわね?フランク。それと、暴言は厳禁よ?生憎罵倒されて喜ぶ趣味は無いの。」
ひらりと手を振って女は歩き出そうとする。
慌ててフランクはエンティティの境界にしがみつく。
「ま、待て!!!てめぇも名前くらい教えてけ!!」
「んー?」
ちらりとこちらを見る流し目に、フランクの胸がざわざわと騒ぐ。
少しの間を開けて、女はまたくすりと笑った。
「… ネムリ、よ。じゃあまた会いましょう、フランク。次があることを期待してるわね」
女、ネムリはひらりと投げkissをして、優雅にキャンプへと歩き去って行った。
1人残されたゲートで、再びフランクはガシガシと頭をかく。
押し倒された拍子に外れたフードの下、耳も顔も赤くして、フランクはあー、と唸り声を上げてその場に蹲み込んだ。
熱を持った下半身が苦しくて辛い…。
「クッソ…やられた。んだよあの女」
認めたくねぇ…認めたくねぇけどっ…
ー女の扱いがなってないから坊やなのよー
ー形成逆転ね?ー
ー次があることを期待しているわー
脳内に、先程のネムリの言葉が木霊する。
妖艶な微笑みや、愉快そうに笑いながらも色っぽい表情が脳裏に浮かんでは消えていく。
フランクはまた、あー!!とうなって頭を抱えた。
「…参った。……完全に堕ちたわ。あのアマ…」
蹲るフランクの顔は先程までの苛立ちに爆発しそうな若者ではなく、完全に恋に戸惑う思春期の青年になっていた。