DbD短編
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昔々…
まだ本当に子供で、ローリーもまだ赤ん坊だった頃、母さんが優しい声で読み聞かせてくれた童話が好きだった。
呪いの力で眠りについた美しいお姫様が、王子の口付けで目を覚まし、永遠に結ばれる。
いつか、いつか僕も、僕を待って眠り続ける美しいお姫様を目覚めさせるんだと、夢見ていた。
時は流れ、僕は未だに眠り姫とは出会えず、今日もまた邪神の儀式に参加していた。
叫び声をあげ、走り回る獲物に包丁を突き刺し続ける変化のない日々。
首を掴んで包丁を胸に突き立てると、獲物の表情が歪に歪んでいく。
覗き込んでみると、より顔が歪み、目の光が消えていく。
首を傾げながら、見つめると、体は次第に力なくダラリと垂れ下がる。
なんの変化もしなくなった獲物をまた地面へと投げ捨てた。
もしかしたら、もしかしたらこの光が消える瞬間に口付けをしたら、再び目の輝きを取り戻すのかも知れない。
そうは思うものの、今までの獲物たちは決して自分の眠り姫ではない。
マイケルには、確かな確信があった。
自分を待つ眠り姫と、自分は確かに巡り合うのだと。
今日の獲物も全て狩り終えると、上機嫌なエンティティの声が脳に響いてきた。
褒美をやろう。
何が欲しい?
邪神の囁きにマイケルは答えた。
僕の眠り姫に会いたい。
ネムリは夢見ていた。
いつの日にか、王子様が白い馬に乗って、とまではいかないが、人並みに運命の相手と出会い、恋に落ち、結婚するのだと、幼い頃から思い続けてきた。
しかし、現実は無情である。
運命の相手に出会う前に、ネムリの運命は確定付けられてしまったのだ。
「今時さぁ、お家のために政略結婚とか…バッカみたい」
何本目かわからない缶ビールを開け、勢いよく喉の奥へと流し込む。
部屋の片隅には投げ捨てた空き缶と、結婚相手になってしまった、カッコよさのかけらもない狸バラのおっさんの写真があった。
戯れに借りたホラー映画をぼんやりと見ながら、苦い炭酸を流し込む。
映画はどうやらクライマックスらしい。
白いマスクを被った大男の殺人鬼から、泣き叫ぶ少女が必死に逃げている。
「はー…せめてなぁ、こういうガタイのいい男だったらなぁ」
頭の片隅に居座るのは、可愛げも、なんの魅力も感じない下びた狸だ。
「殺人鬼でもいいからさぁ…一途に追いかけてくるような、逞しい男と結婚したかったよねぇ…」
ちらりと、画面に目をやると、ちょうどマスクの男の顔がドアップで写っていた。
マスク越しにこちらを射抜くように見つめる目に、まるでネムリ自身が見つめられているような錯覚に、ドキリとしてしまった。
呑み過ぎたなぁ、と苦笑しつつも、またビールを口に運ぶ。
飲まなきゃやってらんない。
映画を見終わる頃には、手の中にあった缶ビールも空き缶へと変わり果てていた。
流石に呑み過ぎたかな。
頭がやけにフラフラして、視界が暗い。
「あーあ。この人と結ばれる運命だったらなぁ…」
アルコールが体も頭も眠りの世界へとネムリを誘おうとする。
眠気の権化って、なんだかクモの脚みたいだなぁ
と、ぼんやり考えている間に、ネムリの意識は途絶えていった。
儀式を終え、マイケルは意気揚々とランプキンレーンへと帰ってきた。
あの邪神が嘘をつくことはない。
やっと、やっと巡り合える。
僕に会うために眠り続けるお姫様を、早く目覚めさせてあげなくちゃ。
お菓子を求めて笑顔で彷徨った、幼い日に感じたハロウィンの高揚感を思い出していた。
ハロウィンのカボチャの飾りが輝く自宅に戻る。
一階のリビングを覗く。
白地にピンクの薔薇が描かれたソファには誰もいない。
一階にある部屋や、ロッカーも一つ残らず開けたが、何もいなかった。
残すは二階。
ギシギシと音を立て、階段を登る。
そういえば、あのお話の中でも王子は薔薇の塔に眠る姫に会うために、回廊を登っていったような気がする。
必ず、ここにいる。
マイケルには確かな確信があった。
力強く握りしめた拳が期待で震えていた。
二階の廊下がギシリと軋む。
マイケルが無意識に力を込めて踏み締めるせいで、古びた床板は今にも壊れそうな悲鳴を上げる。
廊下の奥、発電機の置かれた小部屋は、居ない。
反対の部屋、ロッカーの置かれている部屋にも、誰もいない。
ロッカーを全て開け放っても、誰の姿もない。
残すはあと一部屋、ベッドが置かれたのみの、マイケルの寝室だ。
そっと開いた扉の先、見慣れた古ぼけたベッドの上に、彼女は居た。
規則正しく胸を上下させ、薔薇のように頬を赤く染め、夜のような黒い髪をシーツに散らばせて、彼女は眠っていた。
マイケルはベッドに恐る恐る近づいた。
もし触れたら、幻のように消えてしまうのではないか。
儚さを纏って眠る彼女の口元へと、恐る恐る手を伸ばす。
暖かい吐息がマイケルの肌を撫でる。
震える手を、そのまま頬に滑らせる。
柔らかく、暖かい頬。
寝返りを打った彼女が、まるで擦り寄る様にマイケルの手に頬を寄せてくる。
マイケルはそっとベッドに腰掛け、彼女の寝顔を真上から覗き込んだ。
右手で彼女の顔に掛かっている髪をそっと払い、頭を撫で付ける。
もうほんの目と鼻の先、少し顔を落とすだけで唇が触れ合うほどの距離で凝視しても、彼女は目を覚ます様子は無い。
マイケルは高鳴る鼓動と恍惚とした気分の中、自身の唇を眠れる姫君へと押しつけた。
「…ん…」
閉じられていた桜色の唇から、微かな声が溢れる。
少しだけ顔を離してじっと見つめるも、閉じられた目蓋が開く気配は無い。
なおも彼女は規則正しい呼吸を繰り返すだけだ。
おかしい。
マイケルは首を傾げた。
物語では、眠り姫は口付けと共に目を覚したはずだ。
少しショックを感じつつ、マイケルは自身の口元へと手を当てる。
あぁ、そうか。
マイケルはハッとしてすぐさまマスクをずり上げる。
今度は自身の唇で、彼女の唇へと触れた。
直接触れた彼女の唇は、不思議な甘いご馳走の様で、マイケルは熱に浮かされたように彼女との口付けに酔いしれた。
柔らかく暖かい感触に夢中で浸っていると、微かな呻き声が聞こえてきた。
少しだけ顔を離す。
閉じられていた睫毛が震える。
ゆっくりと、硬く閉ざされていた目蓋が開き始める。
マイケルは息を飲んだ。
真っ黒な宝石の様な目に、白いマスクをずらして被る自身が映る。
なんだかみっともなく感じて、マイケルは慌ててマスクを被り直す。
ぼんやりと光の灯らない目がゆっくりと輝きを増していく。
黒く輝く二対の宝石がマイケルを捕らえた。
あれ?私いつの間にベッドに…?
ぼんやりとした意識でやたらと重い目蓋を押し開く。
なんだか見慣れない天井のようにも思える。
昨日はしこたま飲んだ記憶はあるものの、いつ寝たのかもなにも思い出せない。
体も頭も鉛にでもなったかのように重い。
とりあえず時間を確認しようとベッドの横に視線をやると、なにか、いる。
思わず固まってしまった。
真っ白なマスクの人物が、ベッドの傍で自身を覗き込んでいたのだ。
なんだっけ?誰だっけこの人?
どっかでみたような…
ろくに働かない頭から必死に記憶を掘り起こす。
とても見覚えがある。
白いマスクで、真っ直ぐにこっちを見つめてきてて…
あぁ、思い出した。
ついさっきまで見ていたホラー映画の殺人鬼だ。
名前はなんだったっけ?…たしか……
「マ…イケル…?」
白マスクの人物がびくりと震えて固まるのが見えた。
どうやら正解だったようだ。
そうか、これは多分夢だ。
あの映画を見たから、夢に出てきたのだと、ネムリはすんなり納得できた。
実際に見るとかなりの大男のようだ。
夢なら何をしようが関係ない。夢は夢だ。
ネムリはゆっくりと手をマイケルに伸ばす。
マイケルは避けるでもなくただじっとこちらを見つめ続けている。
ネムリの手がマイケルの頬にマスク越しに触れる。
ゴムの肌触りの下にたしかに人の温度を感じる。
掌から熱い熱を感じ、この人物が生きていることを実感する。
あ、このゴム製のマスク結構触り心地いいんだな。
ていうか、髪みたいな部分もまるで本当に人の頭みたいだ。
面白くて夢中で触っていると、マイケルがゆっくりと首を傾げた。
なんだか、どうしたの?と言ってるようで可愛らしく見える。
ネムリはくすりと笑うとマイケルの頭を抱きしめた。
「…!!」
マイケルが腕の中で息を飲んだのがわかった。
なんか、リアルな夢だなぁ。とネムリは思いながら、マイケルの頭を撫でた。
「あー…あなたと結ばれる運命…」
「!!」
だったら、よかったのになぁ…と口の中で溢しつつ、ネムリは再び深い眠りへと落ちていったのだった。
その後、正常に目を覚まし、意識を取り戻したネムリは、夢ではなく現実であることに愕然とした。
そして喜びに震えネムリを求め続けるマイケルから必死の闘争劇を繰り広げるようになるのであった。
しかし、勘違いから始まった眠り姫と王子の恋が本当に結ばれるようになるのも、そう遠くない未来なのかもしれない。
まだ本当に子供で、ローリーもまだ赤ん坊だった頃、母さんが優しい声で読み聞かせてくれた童話が好きだった。
呪いの力で眠りについた美しいお姫様が、王子の口付けで目を覚まし、永遠に結ばれる。
いつか、いつか僕も、僕を待って眠り続ける美しいお姫様を目覚めさせるんだと、夢見ていた。
時は流れ、僕は未だに眠り姫とは出会えず、今日もまた邪神の儀式に参加していた。
叫び声をあげ、走り回る獲物に包丁を突き刺し続ける変化のない日々。
首を掴んで包丁を胸に突き立てると、獲物の表情が歪に歪んでいく。
覗き込んでみると、より顔が歪み、目の光が消えていく。
首を傾げながら、見つめると、体は次第に力なくダラリと垂れ下がる。
なんの変化もしなくなった獲物をまた地面へと投げ捨てた。
もしかしたら、もしかしたらこの光が消える瞬間に口付けをしたら、再び目の輝きを取り戻すのかも知れない。
そうは思うものの、今までの獲物たちは決して自分の眠り姫ではない。
マイケルには、確かな確信があった。
自分を待つ眠り姫と、自分は確かに巡り合うのだと。
今日の獲物も全て狩り終えると、上機嫌なエンティティの声が脳に響いてきた。
褒美をやろう。
何が欲しい?
邪神の囁きにマイケルは答えた。
僕の眠り姫に会いたい。
ネムリは夢見ていた。
いつの日にか、王子様が白い馬に乗って、とまではいかないが、人並みに運命の相手と出会い、恋に落ち、結婚するのだと、幼い頃から思い続けてきた。
しかし、現実は無情である。
運命の相手に出会う前に、ネムリの運命は確定付けられてしまったのだ。
「今時さぁ、お家のために政略結婚とか…バッカみたい」
何本目かわからない缶ビールを開け、勢いよく喉の奥へと流し込む。
部屋の片隅には投げ捨てた空き缶と、結婚相手になってしまった、カッコよさのかけらもない狸バラのおっさんの写真があった。
戯れに借りたホラー映画をぼんやりと見ながら、苦い炭酸を流し込む。
映画はどうやらクライマックスらしい。
白いマスクを被った大男の殺人鬼から、泣き叫ぶ少女が必死に逃げている。
「はー…せめてなぁ、こういうガタイのいい男だったらなぁ」
頭の片隅に居座るのは、可愛げも、なんの魅力も感じない下びた狸だ。
「殺人鬼でもいいからさぁ…一途に追いかけてくるような、逞しい男と結婚したかったよねぇ…」
ちらりと、画面に目をやると、ちょうどマスクの男の顔がドアップで写っていた。
マスク越しにこちらを射抜くように見つめる目に、まるでネムリ自身が見つめられているような錯覚に、ドキリとしてしまった。
呑み過ぎたなぁ、と苦笑しつつも、またビールを口に運ぶ。
飲まなきゃやってらんない。
映画を見終わる頃には、手の中にあった缶ビールも空き缶へと変わり果てていた。
流石に呑み過ぎたかな。
頭がやけにフラフラして、視界が暗い。
「あーあ。この人と結ばれる運命だったらなぁ…」
アルコールが体も頭も眠りの世界へとネムリを誘おうとする。
眠気の権化って、なんだかクモの脚みたいだなぁ
と、ぼんやり考えている間に、ネムリの意識は途絶えていった。
儀式を終え、マイケルは意気揚々とランプキンレーンへと帰ってきた。
あの邪神が嘘をつくことはない。
やっと、やっと巡り合える。
僕に会うために眠り続けるお姫様を、早く目覚めさせてあげなくちゃ。
お菓子を求めて笑顔で彷徨った、幼い日に感じたハロウィンの高揚感を思い出していた。
ハロウィンのカボチャの飾りが輝く自宅に戻る。
一階のリビングを覗く。
白地にピンクの薔薇が描かれたソファには誰もいない。
一階にある部屋や、ロッカーも一つ残らず開けたが、何もいなかった。
残すは二階。
ギシギシと音を立て、階段を登る。
そういえば、あのお話の中でも王子は薔薇の塔に眠る姫に会うために、回廊を登っていったような気がする。
必ず、ここにいる。
マイケルには確かな確信があった。
力強く握りしめた拳が期待で震えていた。
二階の廊下がギシリと軋む。
マイケルが無意識に力を込めて踏み締めるせいで、古びた床板は今にも壊れそうな悲鳴を上げる。
廊下の奥、発電機の置かれた小部屋は、居ない。
反対の部屋、ロッカーの置かれている部屋にも、誰もいない。
ロッカーを全て開け放っても、誰の姿もない。
残すはあと一部屋、ベッドが置かれたのみの、マイケルの寝室だ。
そっと開いた扉の先、見慣れた古ぼけたベッドの上に、彼女は居た。
規則正しく胸を上下させ、薔薇のように頬を赤く染め、夜のような黒い髪をシーツに散らばせて、彼女は眠っていた。
マイケルはベッドに恐る恐る近づいた。
もし触れたら、幻のように消えてしまうのではないか。
儚さを纏って眠る彼女の口元へと、恐る恐る手を伸ばす。
暖かい吐息がマイケルの肌を撫でる。
震える手を、そのまま頬に滑らせる。
柔らかく、暖かい頬。
寝返りを打った彼女が、まるで擦り寄る様にマイケルの手に頬を寄せてくる。
マイケルはそっとベッドに腰掛け、彼女の寝顔を真上から覗き込んだ。
右手で彼女の顔に掛かっている髪をそっと払い、頭を撫で付ける。
もうほんの目と鼻の先、少し顔を落とすだけで唇が触れ合うほどの距離で凝視しても、彼女は目を覚ます様子は無い。
マイケルは高鳴る鼓動と恍惚とした気分の中、自身の唇を眠れる姫君へと押しつけた。
「…ん…」
閉じられていた桜色の唇から、微かな声が溢れる。
少しだけ顔を離してじっと見つめるも、閉じられた目蓋が開く気配は無い。
なおも彼女は規則正しい呼吸を繰り返すだけだ。
おかしい。
マイケルは首を傾げた。
物語では、眠り姫は口付けと共に目を覚したはずだ。
少しショックを感じつつ、マイケルは自身の口元へと手を当てる。
あぁ、そうか。
マイケルはハッとしてすぐさまマスクをずり上げる。
今度は自身の唇で、彼女の唇へと触れた。
直接触れた彼女の唇は、不思議な甘いご馳走の様で、マイケルは熱に浮かされたように彼女との口付けに酔いしれた。
柔らかく暖かい感触に夢中で浸っていると、微かな呻き声が聞こえてきた。
少しだけ顔を離す。
閉じられていた睫毛が震える。
ゆっくりと、硬く閉ざされていた目蓋が開き始める。
マイケルは息を飲んだ。
真っ黒な宝石の様な目に、白いマスクをずらして被る自身が映る。
なんだかみっともなく感じて、マイケルは慌ててマスクを被り直す。
ぼんやりと光の灯らない目がゆっくりと輝きを増していく。
黒く輝く二対の宝石がマイケルを捕らえた。
あれ?私いつの間にベッドに…?
ぼんやりとした意識でやたらと重い目蓋を押し開く。
なんだか見慣れない天井のようにも思える。
昨日はしこたま飲んだ記憶はあるものの、いつ寝たのかもなにも思い出せない。
体も頭も鉛にでもなったかのように重い。
とりあえず時間を確認しようとベッドの横に視線をやると、なにか、いる。
思わず固まってしまった。
真っ白なマスクの人物が、ベッドの傍で自身を覗き込んでいたのだ。
なんだっけ?誰だっけこの人?
どっかでみたような…
ろくに働かない頭から必死に記憶を掘り起こす。
とても見覚えがある。
白いマスクで、真っ直ぐにこっちを見つめてきてて…
あぁ、思い出した。
ついさっきまで見ていたホラー映画の殺人鬼だ。
名前はなんだったっけ?…たしか……
「マ…イケル…?」
白マスクの人物がびくりと震えて固まるのが見えた。
どうやら正解だったようだ。
そうか、これは多分夢だ。
あの映画を見たから、夢に出てきたのだと、ネムリはすんなり納得できた。
実際に見るとかなりの大男のようだ。
夢なら何をしようが関係ない。夢は夢だ。
ネムリはゆっくりと手をマイケルに伸ばす。
マイケルは避けるでもなくただじっとこちらを見つめ続けている。
ネムリの手がマイケルの頬にマスク越しに触れる。
ゴムの肌触りの下にたしかに人の温度を感じる。
掌から熱い熱を感じ、この人物が生きていることを実感する。
あ、このゴム製のマスク結構触り心地いいんだな。
ていうか、髪みたいな部分もまるで本当に人の頭みたいだ。
面白くて夢中で触っていると、マイケルがゆっくりと首を傾げた。
なんだか、どうしたの?と言ってるようで可愛らしく見える。
ネムリはくすりと笑うとマイケルの頭を抱きしめた。
「…!!」
マイケルが腕の中で息を飲んだのがわかった。
なんか、リアルな夢だなぁ。とネムリは思いながら、マイケルの頭を撫でた。
「あー…あなたと結ばれる運命…」
「!!」
だったら、よかったのになぁ…と口の中で溢しつつ、ネムリは再び深い眠りへと落ちていったのだった。
その後、正常に目を覚まし、意識を取り戻したネムリは、夢ではなく現実であることに愕然とした。
そして喜びに震えネムリを求め続けるマイケルから必死の闘争劇を繰り広げるようになるのであった。
しかし、勘違いから始まった眠り姫と王子の恋が本当に結ばれるようになるのも、そう遠くない未来なのかもしれない。
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