○○しないと出られませんシリーズ
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邪神の思いつきで、閉じ込められる、出口のない密室。
正確には、提示されたミッションをこなす事で、報酬とともに脱出することができるのだが、このミッションが厄介な部類であることも珍しくない。
邪神の気まぐれで今日選ばれた参加者たちは、果たして幸運なのか、それとも…
「こ、このミッション…」
「ほぅ…」
ネムリは顔を赤くし、反対にトラッパーはにやりと笑っていた。
二人の前に立ちはだかる扉には文字が浮かび上がっていた。
『10分間お互いを抱きしめ続けて下さい(一瞬でも身体を離す、離そうとしたらカウントリセット)』
「ど、どう…しましょうか?」
「どうもこうも、出たいならミッションをクリアするしかないんじゃないか?」
赤面し硬直しているネムリに、トラッパーは笑って両手を広げる。
「ほら、来いよ」
「な、何でそんな抵抗なんにもないんですか!?」
何だか自分ばかり焦って悔しい…
妬ましげにじとっとトラッパーを見ると、トラッパーは余裕そうな笑みで焦るネムリを楽しげに見つめていた。
「ハグくらい挨拶でするだろ?」
「欧米圏の常識が日本も通用すると思わないでくださいっ!」
「シャイなんだな。日本人は」
さも当然と言った様子のトラッパーに、ネムリの心は少しちくり、と痛んだ。
この人にとってはハグは別にたいしたことじゃないのか。
焦る自分とは対照的に余裕な様子のトラッパーには、異性と抱き合う事へと抵抗も照れも何も無いように感じる。
意識している自分の秘めたる想いは、彼には届かないような気がして、ひっそりと気落ちしてしまった。
「まぁ、俺はどっちでも構わないぞ?どうする?ネムリ」
「っ…!!…ッえい!!!」
「っうぉ!?」
ネムリは一度ギュッと目を瞑ったあと、思いっきりトラッパーに体当たりした。
まさか真正面から勢いよく飛び込んでくるなんて思ってなかったんだろう。
トラッパーはネムリに押し倒されるような形で寝転んだ。
倒れる寸前、とっさにネムリの背中に両手を回して抱きとめる。
トラッパーの後頭部でゴンッと鈍い音がして、ネムリは慌てて顔を上げる。
「い゛っ」
「えっ!?あ、ご、ごめんなさいっ!!」
「ててて…お前なぁ。」
呆れた顔でトラッパーがネムリを見下ろす。
何やってんだろ、とネムリは何だか泣きそうな気持ちになった。
「ごめんなさい…」
「大した事ねぇよ。だが危ねぇだろ?…怪我、無ぇか?」
トラッパーの手がそっとネムリの頭を撫でる。
壊れ物に触るような優しい手つきに、あきらめの悪いネムリの心がトクン、と騒ぐ。
「わ、たしは大丈夫。ごめんなさい」
「ならいい。気にするな。」
再びトラッパーが両腕を背中に回して、ネムリをしっかりと抱きしめる。
カチカチとタイマーが進む音と、トクン、トクンと心臓が動く音だけが耳に流れ込んでくる。
トラッパーの心臓は規則的に鼓動を続けている。
反する自身の鼓動は、まるで早鐘のように忙しなく、トラッパーの鼓動と合わせると、とんでもない不協和音だった。
自身に響く鼓動の速さとはあまりにも対照的で、ネムリはトラッパーに抱きしめられているのが嬉しい反面、とても悲しかった。
何だか涙が出そうになって、とっさにトラッパーの胸元に顔を埋める。
ドクンッ!
…なんだか、やけに大きな鼓動が耳に届いた。
しばらくそのままじっとしていると、なぁ、とトラッパーが話しかけてきた。
「そんなに早くここから出たいのか?」
「えっ…?」
「俺とこうしているのは、お前には…泣くほど嫌なことなのか?」
思わず顔を上げると、すっと頬を何かが伝う。
目尻からこぼれ落ちていく水痕を辿るように、トラッパーの指が頬を撫でる。
「あれ?私…なんで」
「……悪ぃな。」
「っえ?」
ギュッと、トラッパーが強く、強くネムリを抱きしめてきた。
息が詰まりそうで、胸が苦しくて、ネムリの目からまた涙が落ちる。
「嫌いな野郎に抱かれるなんてお前もついてねぇよな。あと少しだけ我慢してくれ」
「別にっ嫌、なんかじゃ、ないですよ…」
「無理しなくていい。…この部屋を出たら忘れてくれ」
トラッパーが耳元でそっと囁いた。
「俺はずっと、お前のことが好きだったんだよ」
ネムリは目を見開いた。
あまりにも、都合のいい言葉が聞こえてきたような気がする。
「いま、…なんて…?」
「俺はお前が好きなんだよ。…たく。二度も言わせるな」
自嘲気味な笑いを浮かべて、トラッパーが呟く。
嘘じゃない…?
ネムリの目から再び涙が流れた。
「やっ、なんでっ…だって、全然、照れたりしてなかったじゃないですか…」
「照れるような柄じゃあねぇよ。それより、ミッションとは言え好きな女と二人きり、ましてや抱き合えって言われて、嬉しくないわけないだろ?」
ー俺はどっちでも構わないぞ?ー
トラッパーの言葉がフラッシュバックする。
あの言葉は、からかいでも何でもなく、文字通りの意味だったなんて。
ネムリは顔を上げ、トラッパーを見つめる。
普段はマスクで隠れている彼の素顔は、今はなんだか叱られるのを身構えて待つ、子供のような心細さが伺えた。
「っトラッパーさん…」
「…何だ?」
「わたしも…わたしも好きです。トラッパーさん」
また涙がポロリと落ちた。
目の前のトラッパーが目を見開いていた。
初めてみたトラッパーの驚く顔。
最初の余裕が嘘のように、動揺している様子がありありと伺えた。
「…本気か?」
「日本人は、ううん。わたしはっ、嘘で告白するほど、器用じゃないですっ」
「じゃあ、……本当なんだな?」
何度も疑うように尋ねるトラッパーの胸元に、ネムリは頬をすり寄せる。
「好きですっ…大好きです。トラッパーさん」
涙を零しながら、ネムリが微笑んだ。
堪らずトラッパーはうっすらと微笑むその唇を塞いだ。
ネムリは驚いて一瞬目を見開くも、すぐにゆっくりと目を閉じた。
けたたましいブザー音と共に、部屋の扉が開いていく。
「…開いたな」
「開きましたね。」
少しだけ身体を離して見つめ合う。
「なぁ」
「…なんですか?」
「このまま連れてっていいか?」
口調は尋ねながらも、トラッパーの腕はまるで離さないというように、腰と背中を抱き寄せていた。
ネムリはクスリと笑う。
「トラッパーさんとなら、どこへでも」
「おっ?言ったな?」
「っきゃっ!?」
にやりと笑ったトラッパーが起き上がりネムリを抱き上げる。
驚いたネムリは咄嗟にトラッパーの首に腕を回して抱きつく。
逞しい腕に抱え上げられて、なんだかとても安心してしまった。
「まぁ任せろ。後悔させるようなことはしない」
「ふふっ。はいっ!」
幸せそうに部屋を出ていく二人。
まさかこのあとすぐにベッドに直行することになり、三日三晩部屋から出られなくなるなど、ネムリは全く知る由もなかった。
正確には、提示されたミッションをこなす事で、報酬とともに脱出することができるのだが、このミッションが厄介な部類であることも珍しくない。
邪神の気まぐれで今日選ばれた参加者たちは、果たして幸運なのか、それとも…
「こ、このミッション…」
「ほぅ…」
ネムリは顔を赤くし、反対にトラッパーはにやりと笑っていた。
二人の前に立ちはだかる扉には文字が浮かび上がっていた。
『10分間お互いを抱きしめ続けて下さい(一瞬でも身体を離す、離そうとしたらカウントリセット)』
「ど、どう…しましょうか?」
「どうもこうも、出たいならミッションをクリアするしかないんじゃないか?」
赤面し硬直しているネムリに、トラッパーは笑って両手を広げる。
「ほら、来いよ」
「な、何でそんな抵抗なんにもないんですか!?」
何だか自分ばかり焦って悔しい…
妬ましげにじとっとトラッパーを見ると、トラッパーは余裕そうな笑みで焦るネムリを楽しげに見つめていた。
「ハグくらい挨拶でするだろ?」
「欧米圏の常識が日本も通用すると思わないでくださいっ!」
「シャイなんだな。日本人は」
さも当然と言った様子のトラッパーに、ネムリの心は少しちくり、と痛んだ。
この人にとってはハグは別にたいしたことじゃないのか。
焦る自分とは対照的に余裕な様子のトラッパーには、異性と抱き合う事へと抵抗も照れも何も無いように感じる。
意識している自分の秘めたる想いは、彼には届かないような気がして、ひっそりと気落ちしてしまった。
「まぁ、俺はどっちでも構わないぞ?どうする?ネムリ」
「っ…!!…ッえい!!!」
「っうぉ!?」
ネムリは一度ギュッと目を瞑ったあと、思いっきりトラッパーに体当たりした。
まさか真正面から勢いよく飛び込んでくるなんて思ってなかったんだろう。
トラッパーはネムリに押し倒されるような形で寝転んだ。
倒れる寸前、とっさにネムリの背中に両手を回して抱きとめる。
トラッパーの後頭部でゴンッと鈍い音がして、ネムリは慌てて顔を上げる。
「い゛っ」
「えっ!?あ、ご、ごめんなさいっ!!」
「ててて…お前なぁ。」
呆れた顔でトラッパーがネムリを見下ろす。
何やってんだろ、とネムリは何だか泣きそうな気持ちになった。
「ごめんなさい…」
「大した事ねぇよ。だが危ねぇだろ?…怪我、無ぇか?」
トラッパーの手がそっとネムリの頭を撫でる。
壊れ物に触るような優しい手つきに、あきらめの悪いネムリの心がトクン、と騒ぐ。
「わ、たしは大丈夫。ごめんなさい」
「ならいい。気にするな。」
再びトラッパーが両腕を背中に回して、ネムリをしっかりと抱きしめる。
カチカチとタイマーが進む音と、トクン、トクンと心臓が動く音だけが耳に流れ込んでくる。
トラッパーの心臓は規則的に鼓動を続けている。
反する自身の鼓動は、まるで早鐘のように忙しなく、トラッパーの鼓動と合わせると、とんでもない不協和音だった。
自身に響く鼓動の速さとはあまりにも対照的で、ネムリはトラッパーに抱きしめられているのが嬉しい反面、とても悲しかった。
何だか涙が出そうになって、とっさにトラッパーの胸元に顔を埋める。
ドクンッ!
…なんだか、やけに大きな鼓動が耳に届いた。
しばらくそのままじっとしていると、なぁ、とトラッパーが話しかけてきた。
「そんなに早くここから出たいのか?」
「えっ…?」
「俺とこうしているのは、お前には…泣くほど嫌なことなのか?」
思わず顔を上げると、すっと頬を何かが伝う。
目尻からこぼれ落ちていく水痕を辿るように、トラッパーの指が頬を撫でる。
「あれ?私…なんで」
「……悪ぃな。」
「っえ?」
ギュッと、トラッパーが強く、強くネムリを抱きしめてきた。
息が詰まりそうで、胸が苦しくて、ネムリの目からまた涙が落ちる。
「嫌いな野郎に抱かれるなんてお前もついてねぇよな。あと少しだけ我慢してくれ」
「別にっ嫌、なんかじゃ、ないですよ…」
「無理しなくていい。…この部屋を出たら忘れてくれ」
トラッパーが耳元でそっと囁いた。
「俺はずっと、お前のことが好きだったんだよ」
ネムリは目を見開いた。
あまりにも、都合のいい言葉が聞こえてきたような気がする。
「いま、…なんて…?」
「俺はお前が好きなんだよ。…たく。二度も言わせるな」
自嘲気味な笑いを浮かべて、トラッパーが呟く。
嘘じゃない…?
ネムリの目から再び涙が流れた。
「やっ、なんでっ…だって、全然、照れたりしてなかったじゃないですか…」
「照れるような柄じゃあねぇよ。それより、ミッションとは言え好きな女と二人きり、ましてや抱き合えって言われて、嬉しくないわけないだろ?」
ー俺はどっちでも構わないぞ?ー
トラッパーの言葉がフラッシュバックする。
あの言葉は、からかいでも何でもなく、文字通りの意味だったなんて。
ネムリは顔を上げ、トラッパーを見つめる。
普段はマスクで隠れている彼の素顔は、今はなんだか叱られるのを身構えて待つ、子供のような心細さが伺えた。
「っトラッパーさん…」
「…何だ?」
「わたしも…わたしも好きです。トラッパーさん」
また涙がポロリと落ちた。
目の前のトラッパーが目を見開いていた。
初めてみたトラッパーの驚く顔。
最初の余裕が嘘のように、動揺している様子がありありと伺えた。
「…本気か?」
「日本人は、ううん。わたしはっ、嘘で告白するほど、器用じゃないですっ」
「じゃあ、……本当なんだな?」
何度も疑うように尋ねるトラッパーの胸元に、ネムリは頬をすり寄せる。
「好きですっ…大好きです。トラッパーさん」
涙を零しながら、ネムリが微笑んだ。
堪らずトラッパーはうっすらと微笑むその唇を塞いだ。
ネムリは驚いて一瞬目を見開くも、すぐにゆっくりと目を閉じた。
けたたましいブザー音と共に、部屋の扉が開いていく。
「…開いたな」
「開きましたね。」
少しだけ身体を離して見つめ合う。
「なぁ」
「…なんですか?」
「このまま連れてっていいか?」
口調は尋ねながらも、トラッパーの腕はまるで離さないというように、腰と背中を抱き寄せていた。
ネムリはクスリと笑う。
「トラッパーさんとなら、どこへでも」
「おっ?言ったな?」
「っきゃっ!?」
にやりと笑ったトラッパーが起き上がりネムリを抱き上げる。
驚いたネムリは咄嗟にトラッパーの首に腕を回して抱きつく。
逞しい腕に抱え上げられて、なんだかとても安心してしまった。
「まぁ任せろ。後悔させるようなことはしない」
「ふふっ。はいっ!」
幸せそうに部屋を出ていく二人。
まさかこのあとすぐにベッドに直行することになり、三日三晩部屋から出られなくなるなど、ネムリは全く知る由もなかった。