○○しないと出られませんシリーズ
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毎回邪神の思いつきによって、閉じ込められる白い部屋。
扉に書かれたミッションを実行しないと出られないが、報酬が美味しい為、よっぽど無茶なミッションでもない限りはまぁ得な部類といえる。
さて、今回は…
「うーん…どうしよ?」
「どうしよう?」
レイスと二人、お互い棒立ちで顎に手を当てながら首を傾げる。
二人で目の前に書かれたミッションを眺めていた。
デカデカと扉に書かれているのは、
『二人で手を繋いで一曲分踊って下さい。(一瞬でも手を離せばやり直し)』
部屋の中には優雅なクラシックような音楽が流れ続けている。
いつも心音ドクドク緊張MAXの状態と真逆すぎて、落ち着かないことこの上ない…
「1曲踊るって言ってもなぁ…」
「うーん…」
レイスと一緒に頭を抱える。
「レイス踊れる?」
「まぁ何となく雰囲気くらいは分かるけど…やったことないよ。ネムリは?」
「うーん…美女と野獣のダンスシーンをめちゃくちゃ観てたくらいかなぁ…」
頭の中に思い出される、美しい黄色のドレスを纏った美女と、野獣に変えられた王子様が心を通わすめちゃくちゃ素敵なシーン。
この世界に連れてこられてから程遠いが、ああいう夢の国の世界がめちゃくちゃ好きだったなぁ…。
遠くを見つめるネムリを、パチパチと目を瞬かせてレイスが見つめる。
「それどんなやつなの?」
「あっ、えっとね…」
ネムリが身振り手振りを交えて美女と野獣のストーリーをレイスに伝えようと奮闘する。
話すに連れて、ネムリの目はキラキラと輝き、活きいきと楽しそうにレイスへと語りかけてくる。
そんなネムリをレイスは可愛いなぁ…と思いながら、ニコニコと話を聞いていた。
「っでね!!そんなお互いこう上手く噛み合わなかった二人が!ついに心を通わせたのがわかるのがあのダンスシーンなの!!」
「なるほどねぇ。たしかになんだかロマンチックで素敵だね!」
「でしょでしょ?レイスもやっぱりそう思う?」
ネムリが興奮冷めやらぬまま、ずい!とレイスに近寄る。
レイスは一瞬だけ目を大きく見開いてから、にっこりと笑った。
「素敵だなぁってボクも思うよ。」
そう言ってレイスはネムリの髪を撫でる。
ネムリは掌の暖かさに、幸せそうに目を細める。
「レイスもやっぱりそういうの憧れる?」
「うーん。そうだなぁ…」
首を傾げながらレイスはじっと、ネムリを見つめる。
「…?」
「憧れる、というよりは、幸せかなぁ?」
レイスの声はとても穏やかだった。
「幸せ?」
「だって、実際にボクとネムリって美女と野獣みたいなものでしょ?」
にっこりと言うレイスにネムリは慌てた。
「そ、そんなことないよ!私全然素敵な美女じゃないし!レイス全然野獣なんかじゃないし!」
「そんなことあるよ。ボクネムリのことすっごく好きだし、それにほら、ボクキラーだし怖いでしょ?」
「もう!嬉しいけど、私別にレイス怖くないけどなぁ」
「えぇ?なんかボク複雑だなぁ」
笑いながら二人は楽しげに話し続けた。
そんな二人の間に、ある音楽が流れてきた。
ネムリが弾かれたように顔を上げる。
「あっ!!!この曲っ!!!」
「この曲がどうかしたの?」
首を傾げるレイスの両手をグッと掴んで、ネムリは顔がぶつかるほど近くに詰め寄った。
「これ!!さっき話してたダンスシーンの曲!!」
「へぇ…あ!そうだネムリ!いいこと思いついた!」
レイスが掴まれていた手をそっと離して、手を繋ぎ直す。
そして、ネムリの腰に手を添えて軽く抱き寄せる。
「えっ?れ、レイス?」
どきり、と少し胸が騒いだ。
「ボクらでそのシーン再現してみようよ。そうしたら、部屋からも出られるかもしれないよ?」
「えぇ!?私たちで?」
ニコニコとレイスが頷き、ゆっくりと歩き出す。
私とレイスが美女と野獣?
どうしてこうなったんだろう?
ドギマギしながらちらりとレイスを見上げると、優しい眼差しがネムリの目に映った。
あ、この目…お話と一緒。
本当に好きな人を見つめる目だ。
むず痒いような、でも嬉しいような感じで、ネムリは無意識のうちに微笑んでいた。
ネムリはそっと繋いでた手を離し、レイスの腕を掴む。
されるがままのレイスの腕に自分の腕を重ねる。
そのまま寄り添うように歩き出す。
「レイス、足踏んじゃったらごめんね」
「それはボクもだよ。」
二人で笑ってゆっくりと動き出す。
何度もその場で回るように動いていると、だんだん動きに慣れてきたのか、レイスの方がリードするように踊り始めた。
ネムリはレイスに合わせて足を動かすだけで勝手に踊りになるくらいに自然に動けていた。
何だか段々楽しくなってきて、幸せなような、レイスがとても愛しいような堪らない気持ちが込み上げてきた。
ネムリは物語の美女のように、レイスの胸にそっともたれかかって、はにかむように笑った。
レイスは驚いて一瞬身動いだが、フッと笑うとぎゅっとネムリを抱きしめた。
二人だけのダンスパーティーにも、終わりの時間はやってくる。
けたたましい場違いなブザーの音が二人の耳をつん裂く。
「う、煩い…」
「耳が痛いね」
二人して抱き合ったまま、互いの身体に耳を押し付けて唸る。
どちらともなく顔を上げて、にこりと笑う。
「ねぇネムリ。美女と野獣みたいな話他にも知ってるの?」
「え?うん!色々知ってるよ。シンデレラとか、ラプンツェルとか!」
「ボクもっと話聞きたいな。ネムリさえよければ、この後ボクの部屋に遊びに来ない?」
ニコニコと楽しそうに話すレイス。
ネムリに断る気持ちも理由も何も無かった。
「ほんと?行く行く!」
「よかった。じゃあ行こうか」
二人は未だ互いを抱き寄せたまま、部屋の外へと歩き出した。
………その姿を大きなモニターで眺めている者がいた。
「なぁトラッパー…」
「…何だよゴーストフェイス」
「これさ、一曲踊るってそういう意味じゃなくね?何でこの二人部屋の中央にデカデカとあるベッドスルーなの?これベッドの上で踊るって意味だったんじゃね?」
「……だよなぁ」
「俺たち汚れてんなぁ…」
「…だなぁ…」
ニコニコと立ち去る幸せそうな二人の姿が、二人には眩しすぎて直視出来なかったら。
扉に書かれたミッションを実行しないと出られないが、報酬が美味しい為、よっぽど無茶なミッションでもない限りはまぁ得な部類といえる。
さて、今回は…
「うーん…どうしよ?」
「どうしよう?」
レイスと二人、お互い棒立ちで顎に手を当てながら首を傾げる。
二人で目の前に書かれたミッションを眺めていた。
デカデカと扉に書かれているのは、
『二人で手を繋いで一曲分踊って下さい。(一瞬でも手を離せばやり直し)』
部屋の中には優雅なクラシックような音楽が流れ続けている。
いつも心音ドクドク緊張MAXの状態と真逆すぎて、落ち着かないことこの上ない…
「1曲踊るって言ってもなぁ…」
「うーん…」
レイスと一緒に頭を抱える。
「レイス踊れる?」
「まぁ何となく雰囲気くらいは分かるけど…やったことないよ。ネムリは?」
「うーん…美女と野獣のダンスシーンをめちゃくちゃ観てたくらいかなぁ…」
頭の中に思い出される、美しい黄色のドレスを纏った美女と、野獣に変えられた王子様が心を通わすめちゃくちゃ素敵なシーン。
この世界に連れてこられてから程遠いが、ああいう夢の国の世界がめちゃくちゃ好きだったなぁ…。
遠くを見つめるネムリを、パチパチと目を瞬かせてレイスが見つめる。
「それどんなやつなの?」
「あっ、えっとね…」
ネムリが身振り手振りを交えて美女と野獣のストーリーをレイスに伝えようと奮闘する。
話すに連れて、ネムリの目はキラキラと輝き、活きいきと楽しそうにレイスへと語りかけてくる。
そんなネムリをレイスは可愛いなぁ…と思いながら、ニコニコと話を聞いていた。
「っでね!!そんなお互いこう上手く噛み合わなかった二人が!ついに心を通わせたのがわかるのがあのダンスシーンなの!!」
「なるほどねぇ。たしかになんだかロマンチックで素敵だね!」
「でしょでしょ?レイスもやっぱりそう思う?」
ネムリが興奮冷めやらぬまま、ずい!とレイスに近寄る。
レイスは一瞬だけ目を大きく見開いてから、にっこりと笑った。
「素敵だなぁってボクも思うよ。」
そう言ってレイスはネムリの髪を撫でる。
ネムリは掌の暖かさに、幸せそうに目を細める。
「レイスもやっぱりそういうの憧れる?」
「うーん。そうだなぁ…」
首を傾げながらレイスはじっと、ネムリを見つめる。
「…?」
「憧れる、というよりは、幸せかなぁ?」
レイスの声はとても穏やかだった。
「幸せ?」
「だって、実際にボクとネムリって美女と野獣みたいなものでしょ?」
にっこりと言うレイスにネムリは慌てた。
「そ、そんなことないよ!私全然素敵な美女じゃないし!レイス全然野獣なんかじゃないし!」
「そんなことあるよ。ボクネムリのことすっごく好きだし、それにほら、ボクキラーだし怖いでしょ?」
「もう!嬉しいけど、私別にレイス怖くないけどなぁ」
「えぇ?なんかボク複雑だなぁ」
笑いながら二人は楽しげに話し続けた。
そんな二人の間に、ある音楽が流れてきた。
ネムリが弾かれたように顔を上げる。
「あっ!!!この曲っ!!!」
「この曲がどうかしたの?」
首を傾げるレイスの両手をグッと掴んで、ネムリは顔がぶつかるほど近くに詰め寄った。
「これ!!さっき話してたダンスシーンの曲!!」
「へぇ…あ!そうだネムリ!いいこと思いついた!」
レイスが掴まれていた手をそっと離して、手を繋ぎ直す。
そして、ネムリの腰に手を添えて軽く抱き寄せる。
「えっ?れ、レイス?」
どきり、と少し胸が騒いだ。
「ボクらでそのシーン再現してみようよ。そうしたら、部屋からも出られるかもしれないよ?」
「えぇ!?私たちで?」
ニコニコとレイスが頷き、ゆっくりと歩き出す。
私とレイスが美女と野獣?
どうしてこうなったんだろう?
ドギマギしながらちらりとレイスを見上げると、優しい眼差しがネムリの目に映った。
あ、この目…お話と一緒。
本当に好きな人を見つめる目だ。
むず痒いような、でも嬉しいような感じで、ネムリは無意識のうちに微笑んでいた。
ネムリはそっと繋いでた手を離し、レイスの腕を掴む。
されるがままのレイスの腕に自分の腕を重ねる。
そのまま寄り添うように歩き出す。
「レイス、足踏んじゃったらごめんね」
「それはボクもだよ。」
二人で笑ってゆっくりと動き出す。
何度もその場で回るように動いていると、だんだん動きに慣れてきたのか、レイスの方がリードするように踊り始めた。
ネムリはレイスに合わせて足を動かすだけで勝手に踊りになるくらいに自然に動けていた。
何だか段々楽しくなってきて、幸せなような、レイスがとても愛しいような堪らない気持ちが込み上げてきた。
ネムリは物語の美女のように、レイスの胸にそっともたれかかって、はにかむように笑った。
レイスは驚いて一瞬身動いだが、フッと笑うとぎゅっとネムリを抱きしめた。
二人だけのダンスパーティーにも、終わりの時間はやってくる。
けたたましい場違いなブザーの音が二人の耳をつん裂く。
「う、煩い…」
「耳が痛いね」
二人して抱き合ったまま、互いの身体に耳を押し付けて唸る。
どちらともなく顔を上げて、にこりと笑う。
「ねぇネムリ。美女と野獣みたいな話他にも知ってるの?」
「え?うん!色々知ってるよ。シンデレラとか、ラプンツェルとか!」
「ボクもっと話聞きたいな。ネムリさえよければ、この後ボクの部屋に遊びに来ない?」
ニコニコと楽しそうに話すレイス。
ネムリに断る気持ちも理由も何も無かった。
「ほんと?行く行く!」
「よかった。じゃあ行こうか」
二人は未だ互いを抱き寄せたまま、部屋の外へと歩き出した。
………その姿を大きなモニターで眺めている者がいた。
「なぁトラッパー…」
「…何だよゴーストフェイス」
「これさ、一曲踊るってそういう意味じゃなくね?何でこの二人部屋の中央にデカデカとあるベッドスルーなの?これベッドの上で踊るって意味だったんじゃね?」
「……だよなぁ」
「俺たち汚れてんなぁ…」
「…だなぁ…」
ニコニコと立ち去る幸せそうな二人の姿が、二人には眩しすぎて直視出来なかったら。