○○しないと出られませんシリーズ
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この世界にはデイリーリチュアルという、日毎に変わるミッションのようなものがある。
邪神の気まぐれで行われるこのミッションは、サバイバー、キラーともに美味しい報酬が用意されている。
今日も今日とて、邪神による余興に付き合わされることになる被害者たちが選ばれたのだった。
「どうなってるのよ…これ…」
「…」
ため息を溢して隣を窺うネムリ。
隣のマイケルは無言のまま、こてっと首を傾げた。
何度めかわからないため息をまたこぼす。
真っ白な部屋。出入り口らしき鉄の扉には手を掛けるところなど一切なく、押そうが蹴ろうがネムリの力ではびくともする様子はない。
「ねぇ、マイケル。マイケルもちょっと試してくれない?」
「…」
「マイケルの力ならワンチャン開くかもしれないでしょ?」
「…」
扉同様、さっきから何度語りかけても、隣のマイケルはうんともすんとも言わない。
いつもそうだ。ネムリには彼が一体何を考えているのか、どういう感情なのか、そもそも感情があるのかすら全くわからない。
ただただいつも、真っ直ぐにネムリを見つめてくる。
「もう!一体全体なんなのよー!」
八つ当たりのつもりで、力任せに扉を殴ろうと右手を振り上げた。
しかし、いざ殴りつけようとしたら、右手が動かなかった。
思い切り力を入れているのに全く動かない。
振り向いた先では、マイケルがネムリの右手をしっかりと掴んでいた。
「な、なに?」
「…」
「殴るなって、いいたいの?」
こくり、とマイケルは頷いた。
初めて意志の疎通が取れたことに驚いてしまい、ネムリの右手から力が抜ける。
すると、マイケルも手の力を抜いた。そのまま、手首を掴んでいたマイケルの掌が、するりと滑り、ネムリの掌を握りしめた。
「え?な、なに?」
「…」
何度も握り締めてくるマイケルの掌。本当になにを考えているのかわからないが、掌から伝わる温もりに、彼もまた自分と同じ人間なのだと感じた。
マイケルの手って、こんなおっきいんだ。男の人らしいゴツゴツした手。でも、意外に手荒れてなくて綺麗なんだな。
って、私ってばなに考えてるんだろう!
不思議と繋がれた手に意識がいってしまう。
掌の熱が顔に移ってきたような、なんだか暑いなぁと思っていると、不意に繋いだ手を引っ張られた。
「え、な、なに?マイケル?」
よろけた拍子に背後のマイケルの胸に頭を預ける形になった。
頭の後ろに感じる、硬い胸板。逞しい男らしさと、もたれ掛かる安心感に思わず目を閉じたくなった。
すっ、と視線を何かが横切る。
ネムリの背後から、マイケルが扉の上を指差していた。
指差す先に視線をやると、扉の上にデカデカと文字が表示されていた。
「ミッション、お互いの気持ちを、告白、せよ?」
「…」
どちらともなく、ギュッと強く手を握った。
いやいやまてまて。なにを考えているんだあの邪神?
「こ、告白って?なによ!」
「…」
文字に向かって声を張り上げても、なにも変わらなかった。
目の前にはずっと、「お互いの気持ちを告白せよ」の文字が浮かび続けている。
「告白って言ったって…」
ちらりと視線を送ると、マイケルがじっとこちらを見つめていた。
いつもと変わらず、まっすぐ射抜くように、ネムリの目を見つめ続けている。
「あの、マイケル?」
マスク越しにこちらを凝視するマイケルの目。
目を逸らさず、じっと見つめ続けてると、マイケルの顔が近づいてきた。
マスクの奥の荒い息遣いがだんだん大きく聞こえてくる。
冷たいゴム製のマスクの奥、かすかに柔らかい感触がネムリの唇を包んでいた。
息も忘れてただ硬直していると、なにを思ったのか、マイケルの左手が後頭部に添えられる。
流石にハッとなって、ネムリは慌ててマイケルの胸を押した。
「な、なにしてんのマイケル!なんで急にき、キス?なんか…」
僅かな空いた隙間。その隙間を埋めるかのように、左手がネムリを再び抱き寄せた。
かろうじて滑り込ませた手がマイケルの唇を押しとどめている。
しかしなおも抱き寄せようとしてくる。
このままじゃらちがあかない。
ネムリは一度目を瞑り、よし、と心のなかで呟いてからマイケルを見つめた。
「ねぇ、マイケル。どういうつもりかわからないけど、私あなたの事好きなのよ?」
「…!」
マイケルの動きが止まった。
かすかに震えた身体に、マイケルが、あのマイケルが多少なりとも動揺したのを感じた。
「あなたとの儀式が一番胸が高鳴って、追いかけられるのも、痛いけど殺されるのだってあなたなら嫌いじゃない」
「あなたとの儀式で、あなたが誰よりも真っ先に私を見つけて、追いかけてきてるの知ってるから」
「あなたがどう思ってるのか、わからないけど、私は好きなのよ?期待しちゃうような事、軽々しくするのは悲し」
それ以上はいえなかった。
マイケルが両手でネムリを抱きしめていた。
強く強く、ギュッと1mmも隙間が出来ないくらい、マイケルの身体と密着していた。
熱くて、暑くて、息苦しくなって思わず顔を上げる。
自分の肩に乗せられたマイケルの頭がそっと耳元へと頬擦りしてくる。
耳のすぐ横、荒々しい吐息に混じって、微かに音が聞こえた
-…愛してる。君の全部が、僕は欲しい。-
「…ほんと?」
都合のいい幻聴でも聴いたんじゃないかと思った。微かに聞こえた、低い男性の声。
今まで聞いたことのあるどんな声よりも、ネムリの心と身体を震わせた。
首筋に、柔らかくて、熱い感触。
驚いて目をやると、端正な口元が見えた。
初めてみたマイケルのマスクの下の口元は緩く弧を描いて、まるで優しく啄むみたいに、何度も何度もネムリの首筋に、頬に口付けてくる。
熱い感触に、頭の奥が蕩けたような心地がする。
ネムリもまた、微かに見えるマイケルの喉にそっと口付けた。
「…ほんとなら、名前、呼んで?」
擦り寄るネムリの耳元に熱い吐息がかかる。
くすぐったさに思わず目を閉じる。
-… ネムリ。ネムリ。-
-…僕の全部、君にあげる。君の全部を、僕だけに頂戴-
鼓膜を震わせる心地いい声音に、ネムリはうっとりしながらうなづいた。
その後はどちらともなく唇を重ね合わせていた。
熱く、柔らかい感触に溺れていると、耳障りなブザーの音が響いた。
驚いて顔を離す二人。
扉の上にはデカデカと「ミッションクリア」の文字。
拍子抜けしていると、いつのまにかマスクを被り直したマイケルがネムリの腰に手を回す。
「え?きゃっ!何?」
儀式でもよくやる担がれ状態になったネムリ。
なんとなくマイケルがマスクの下でにやりと笑った気がした。
そのまま歩き出すマイケルに、とりあえず落ちないように掴まるネムリ。
意気揚々と歩き出したマイケルに、この後美味しく頂かれるとも知らず、ネムリはただ首を傾げるのだった。
邪神の気まぐれで行われるこのミッションは、サバイバー、キラーともに美味しい報酬が用意されている。
今日も今日とて、邪神による余興に付き合わされることになる被害者たちが選ばれたのだった。
「どうなってるのよ…これ…」
「…」
ため息を溢して隣を窺うネムリ。
隣のマイケルは無言のまま、こてっと首を傾げた。
何度めかわからないため息をまたこぼす。
真っ白な部屋。出入り口らしき鉄の扉には手を掛けるところなど一切なく、押そうが蹴ろうがネムリの力ではびくともする様子はない。
「ねぇ、マイケル。マイケルもちょっと試してくれない?」
「…」
「マイケルの力ならワンチャン開くかもしれないでしょ?」
「…」
扉同様、さっきから何度語りかけても、隣のマイケルはうんともすんとも言わない。
いつもそうだ。ネムリには彼が一体何を考えているのか、どういう感情なのか、そもそも感情があるのかすら全くわからない。
ただただいつも、真っ直ぐにネムリを見つめてくる。
「もう!一体全体なんなのよー!」
八つ当たりのつもりで、力任せに扉を殴ろうと右手を振り上げた。
しかし、いざ殴りつけようとしたら、右手が動かなかった。
思い切り力を入れているのに全く動かない。
振り向いた先では、マイケルがネムリの右手をしっかりと掴んでいた。
「な、なに?」
「…」
「殴るなって、いいたいの?」
こくり、とマイケルは頷いた。
初めて意志の疎通が取れたことに驚いてしまい、ネムリの右手から力が抜ける。
すると、マイケルも手の力を抜いた。そのまま、手首を掴んでいたマイケルの掌が、するりと滑り、ネムリの掌を握りしめた。
「え?な、なに?」
「…」
何度も握り締めてくるマイケルの掌。本当になにを考えているのかわからないが、掌から伝わる温もりに、彼もまた自分と同じ人間なのだと感じた。
マイケルの手って、こんなおっきいんだ。男の人らしいゴツゴツした手。でも、意外に手荒れてなくて綺麗なんだな。
って、私ってばなに考えてるんだろう!
不思議と繋がれた手に意識がいってしまう。
掌の熱が顔に移ってきたような、なんだか暑いなぁと思っていると、不意に繋いだ手を引っ張られた。
「え、な、なに?マイケル?」
よろけた拍子に背後のマイケルの胸に頭を預ける形になった。
頭の後ろに感じる、硬い胸板。逞しい男らしさと、もたれ掛かる安心感に思わず目を閉じたくなった。
すっ、と視線を何かが横切る。
ネムリの背後から、マイケルが扉の上を指差していた。
指差す先に視線をやると、扉の上にデカデカと文字が表示されていた。
「ミッション、お互いの気持ちを、告白、せよ?」
「…」
どちらともなく、ギュッと強く手を握った。
いやいやまてまて。なにを考えているんだあの邪神?
「こ、告白って?なによ!」
「…」
文字に向かって声を張り上げても、なにも変わらなかった。
目の前にはずっと、「お互いの気持ちを告白せよ」の文字が浮かび続けている。
「告白って言ったって…」
ちらりと視線を送ると、マイケルがじっとこちらを見つめていた。
いつもと変わらず、まっすぐ射抜くように、ネムリの目を見つめ続けている。
「あの、マイケル?」
マスク越しにこちらを凝視するマイケルの目。
目を逸らさず、じっと見つめ続けてると、マイケルの顔が近づいてきた。
マスクの奥の荒い息遣いがだんだん大きく聞こえてくる。
冷たいゴム製のマスクの奥、かすかに柔らかい感触がネムリの唇を包んでいた。
息も忘れてただ硬直していると、なにを思ったのか、マイケルの左手が後頭部に添えられる。
流石にハッとなって、ネムリは慌ててマイケルの胸を押した。
「な、なにしてんのマイケル!なんで急にき、キス?なんか…」
僅かな空いた隙間。その隙間を埋めるかのように、左手がネムリを再び抱き寄せた。
かろうじて滑り込ませた手がマイケルの唇を押しとどめている。
しかしなおも抱き寄せようとしてくる。
このままじゃらちがあかない。
ネムリは一度目を瞑り、よし、と心のなかで呟いてからマイケルを見つめた。
「ねぇ、マイケル。どういうつもりかわからないけど、私あなたの事好きなのよ?」
「…!」
マイケルの動きが止まった。
かすかに震えた身体に、マイケルが、あのマイケルが多少なりとも動揺したのを感じた。
「あなたとの儀式が一番胸が高鳴って、追いかけられるのも、痛いけど殺されるのだってあなたなら嫌いじゃない」
「あなたとの儀式で、あなたが誰よりも真っ先に私を見つけて、追いかけてきてるの知ってるから」
「あなたがどう思ってるのか、わからないけど、私は好きなのよ?期待しちゃうような事、軽々しくするのは悲し」
それ以上はいえなかった。
マイケルが両手でネムリを抱きしめていた。
強く強く、ギュッと1mmも隙間が出来ないくらい、マイケルの身体と密着していた。
熱くて、暑くて、息苦しくなって思わず顔を上げる。
自分の肩に乗せられたマイケルの頭がそっと耳元へと頬擦りしてくる。
耳のすぐ横、荒々しい吐息に混じって、微かに音が聞こえた
-…愛してる。君の全部が、僕は欲しい。-
「…ほんと?」
都合のいい幻聴でも聴いたんじゃないかと思った。微かに聞こえた、低い男性の声。
今まで聞いたことのあるどんな声よりも、ネムリの心と身体を震わせた。
首筋に、柔らかくて、熱い感触。
驚いて目をやると、端正な口元が見えた。
初めてみたマイケルのマスクの下の口元は緩く弧を描いて、まるで優しく啄むみたいに、何度も何度もネムリの首筋に、頬に口付けてくる。
熱い感触に、頭の奥が蕩けたような心地がする。
ネムリもまた、微かに見えるマイケルの喉にそっと口付けた。
「…ほんとなら、名前、呼んで?」
擦り寄るネムリの耳元に熱い吐息がかかる。
くすぐったさに思わず目を閉じる。
-… ネムリ。ネムリ。-
-…僕の全部、君にあげる。君の全部を、僕だけに頂戴-
鼓膜を震わせる心地いい声音に、ネムリはうっとりしながらうなづいた。
その後はどちらともなく唇を重ね合わせていた。
熱く、柔らかい感触に溺れていると、耳障りなブザーの音が響いた。
驚いて顔を離す二人。
扉の上にはデカデカと「ミッションクリア」の文字。
拍子抜けしていると、いつのまにかマスクを被り直したマイケルがネムリの腰に手を回す。
「え?きゃっ!何?」
儀式でもよくやる担がれ状態になったネムリ。
なんとなくマイケルがマスクの下でにやりと笑った気がした。
そのまま歩き出すマイケルに、とりあえず落ちないように掴まるネムリ。
意気揚々と歩き出したマイケルに、この後美味しく頂かれるとも知らず、ネムリはただ首を傾げるのだった。
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