ワン!だふる事件簿
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京の街はいつもと変わらず賑わいを見せていた。
そんな中、寺田屋の一室は静けさに満ちていた。
部屋に入って一番奥、等間隔を開け立ち竦む志士四名。
その部屋の入り口には落ち着かないと犬特有のあくびを何度も繰り返し、不安そうに見つめるさくら犬の姿があった。
武市「用意は良いか?」
以蔵「はい。先生」
中岡「準備は万全っス」
龍馬「ズルは無しぜよ。武市」
武市「何故私なんだ。では、さくらさんが選んだ相手がお世話をするという事で依存はないな?」
中岡「はいっス」
以蔵「はい。」
龍馬「おう!」
それぞれ、等間隔を移動する事なく、行きよいよくうなづき、皆膝をついた。
龍馬「では、わしが号令をかけるぜよ!
準備は良いか?」
緊迫した空気の中、部屋の端でぷるぷると小刻みに震えるさくらを早く抱きしめたいと、それぞれ譲れない想いを胸に龍馬の号令を待った。
龍馬「始め!!!」
その号令にさくらに向かい想いをぶつけた。
中岡「姉さん!こっち!こっちっス!!」
武市「さくらさん。さぁ、僕のところへおいで」
岡田「おい。先生の元に来い!…そしたら、食べさせてやらん事も…ない」
龍馬「さくら~、さくら~!こっち!こっちじゃ~」
四人ともそれぞれのやり方で、手を叩いてみたり、手招きをしてみたり、目線を合わせてみたり、ありとあらゆる技を繰り出しさくらを呼び寄せる。
そんな志士達の技を受け、最初は戸惑っていたさくらも、小首を何度かかしげた後、短い足をちょこちょこと出した後一斉に駆け出した。
そして、志士達が腕を伸ばせば届きそうなところまで行きピタリとまた腰を落ち着かせた。
龍馬「かーんわいいのぉー。さくら!わしのところへ来るんじゃ!」
武市「さくらさん、龍馬ののところへ行ったら何をされるかわからない。その男の所へではなく、私の元へ来るんだ」
龍馬「なーにを言いよるか!こん助平が!」
岡田「龍馬!先生を馬鹿にするな!」
少し立ち上がった以蔵へ、さくらが数歩、以蔵の元へ近寄った。
岡田「!!?」
中岡「あー!以蔵君!姉さんが!!」
武市「まだだ!!腕の中へ来るまでだ!」
龍馬「ぬぁーー!!さくらさん!こっちじゃー!」
龍馬が叫んだ時だった。
さくら「はい?呼びましたか?……え。」
襖が開き、そこから笑顔をのぞかせたのは、小さくも毛むくじゃらでも、短い足でも、くるんとした尻尾でもない、本物のさくらの姿だった。
そして、さくらがみた姿は、必死に子犬を求め叫ぶ、龍馬、武市、以蔵、中岡の四名。
寝転がったり片肘をついていたり、手を叩いていたり。
自分が呼ばれたと思い、顔を出したさくらは、そんな皆んなの姿を見て、状況が理解出来ず、絶句しその場に立ち尽くしてしまった。
さくら「え…と。」
お登勢「さくらちゃん戻ったんやねー、皆さん朝餉に…って皆さん何してますの?」
龍馬「え?…さくら、おんし…何で?」
お登勢「あー、しろちゃん!ここにおったん?ご主人が探してたましたえ?帰ろかー?」
犬「わん!」
さくら犬は行きよいよく振り返ると、お登勢の胸へ飛び込んだ。
そうして、お登勢に抱かれ去っていったのだった。
さくら「え…と」
武市「さくらさん、今まで何処にいたんだい?」
さくら「え、と。時間があったので寺田屋の周りを掃除していました。皆さんは?」
岡田「なんだ、龍馬の早とちりか」
龍馬「何をーー!!そ、そんなこと!武市こそ!さくらさんじゃー言うて、鼻の下伸ばしとったじゃろが!」
武市「な!!!?僕はそんな事していない!」
中岡「姉さん!お、お疲れ様です!さ、朝餉にしましょう!」
さくら「慎ちゃん?大丈夫?凄い汗だよ?」
中岡「あ!あの、その!な!!なんでも無いっス!!」
龍馬「あーー!!中岡!おんしっ!抜け駆けとは卑怯ぜよ!」
中岡「な!!龍馬さん!?」
武市「さ、朝餉にしよう」
以蔵「はい、先生」
そんな賑やかな朝に、また一日が始まるのだと、廊下でクスリと笑うお登勢の姿があったのだった。
完
そんな中、寺田屋の一室は静けさに満ちていた。
部屋に入って一番奥、等間隔を開け立ち竦む志士四名。
その部屋の入り口には落ち着かないと犬特有のあくびを何度も繰り返し、不安そうに見つめるさくら犬の姿があった。
武市「用意は良いか?」
以蔵「はい。先生」
中岡「準備は万全っス」
龍馬「ズルは無しぜよ。武市」
武市「何故私なんだ。では、さくらさんが選んだ相手がお世話をするという事で依存はないな?」
中岡「はいっス」
以蔵「はい。」
龍馬「おう!」
それぞれ、等間隔を移動する事なく、行きよいよくうなづき、皆膝をついた。
龍馬「では、わしが号令をかけるぜよ!
準備は良いか?」
緊迫した空気の中、部屋の端でぷるぷると小刻みに震えるさくらを早く抱きしめたいと、それぞれ譲れない想いを胸に龍馬の号令を待った。
龍馬「始め!!!」
その号令にさくらに向かい想いをぶつけた。
中岡「姉さん!こっち!こっちっス!!」
武市「さくらさん。さぁ、僕のところへおいで」
岡田「おい。先生の元に来い!…そしたら、食べさせてやらん事も…ない」
龍馬「さくら~、さくら~!こっち!こっちじゃ~」
四人ともそれぞれのやり方で、手を叩いてみたり、手招きをしてみたり、目線を合わせてみたり、ありとあらゆる技を繰り出しさくらを呼び寄せる。
そんな志士達の技を受け、最初は戸惑っていたさくらも、小首を何度かかしげた後、短い足をちょこちょこと出した後一斉に駆け出した。
そして、志士達が腕を伸ばせば届きそうなところまで行きピタリとまた腰を落ち着かせた。
龍馬「かーんわいいのぉー。さくら!わしのところへ来るんじゃ!」
武市「さくらさん、龍馬ののところへ行ったら何をされるかわからない。その男の所へではなく、私の元へ来るんだ」
龍馬「なーにを言いよるか!こん助平が!」
岡田「龍馬!先生を馬鹿にするな!」
少し立ち上がった以蔵へ、さくらが数歩、以蔵の元へ近寄った。
岡田「!!?」
中岡「あー!以蔵君!姉さんが!!」
武市「まだだ!!腕の中へ来るまでだ!」
龍馬「ぬぁーー!!さくらさん!こっちじゃー!」
龍馬が叫んだ時だった。
さくら「はい?呼びましたか?……え。」
襖が開き、そこから笑顔をのぞかせたのは、小さくも毛むくじゃらでも、短い足でも、くるんとした尻尾でもない、本物のさくらの姿だった。
そして、さくらがみた姿は、必死に子犬を求め叫ぶ、龍馬、武市、以蔵、中岡の四名。
寝転がったり片肘をついていたり、手を叩いていたり。
自分が呼ばれたと思い、顔を出したさくらは、そんな皆んなの姿を見て、状況が理解出来ず、絶句しその場に立ち尽くしてしまった。
さくら「え…と。」
お登勢「さくらちゃん戻ったんやねー、皆さん朝餉に…って皆さん何してますの?」
龍馬「え?…さくら、おんし…何で?」
お登勢「あー、しろちゃん!ここにおったん?ご主人が探してたましたえ?帰ろかー?」
犬「わん!」
さくら犬は行きよいよく振り返ると、お登勢の胸へ飛び込んだ。
そうして、お登勢に抱かれ去っていったのだった。
さくら「え…と」
武市「さくらさん、今まで何処にいたんだい?」
さくら「え、と。時間があったので寺田屋の周りを掃除していました。皆さんは?」
岡田「なんだ、龍馬の早とちりか」
龍馬「何をーー!!そ、そんなこと!武市こそ!さくらさんじゃー言うて、鼻の下伸ばしとったじゃろが!」
武市「な!!!?僕はそんな事していない!」
中岡「姉さん!お、お疲れ様です!さ、朝餉にしましょう!」
さくら「慎ちゃん?大丈夫?凄い汗だよ?」
中岡「あ!あの、その!な!!なんでも無いっス!!」
龍馬「あーー!!中岡!おんしっ!抜け駆けとは卑怯ぜよ!」
中岡「な!!龍馬さん!?」
武市「さ、朝餉にしよう」
以蔵「はい、先生」
そんな賑やかな朝に、また一日が始まるのだと、廊下でクスリと笑うお登勢の姿があったのだった。
完