甘えさせて
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寺田屋の一室は、全員揃っているものの、何時もとは違う静けさに包まれていた。
さくらの額には濡れ手拭が掛けられていた。
かけられている濡れ手拭は、何度も中岡の手により、桶水に浸し絞るを繰り返されていた。
虚しくと感じる水音を感じては、額に乗せてはすぐに熱をとる手拭。
忌わしく思いながら、中岡は何度目かわからないその手拭を額に乗せた。
中岡「姉さん…」
苦しそうに繰り返される息に、中岡が声をかけた時だった。
さくら「………ん…」
中岡「姉さんっ」
反応する様に、声を漏らしたさくらをみんなで覗き込んだ。
ゆったりと目を開け、溢れるほどの水分が含まれた瞳がゆらゆらと揺れていた。
さくら「?………」
さくらの額に、武市が手を当て熱を測ると、パチパチと目を瞬き涙が一筋流れた。
武市が長い指で流れた涙を優しく拭い、甘やかすように優しく声をかけたのだった。
武市「大丈夫かい?何も心配いらないから、ゆっくり休みなさい。」
さくら「私…」
武市「熱が出たみたいだ。朝以蔵が起こしに行った時に気づいてね。疲れが出たのかもしれない。安静していれば問題ない。」
さくら「……以蔵?……」
岡田「……なんだ。……ここにいる。」
身体が重いのか視線だけで、岡田を探すさくらに、岡田は声をかけた。
思った以上に優しい声色に、さくらは首を少し傾け視界に岡田を捉え、微笑んだ。
さくら「以蔵ごめんね?…また助けてもらっちゃったね。……ありがとう。」
岡田「…余計な事は考えず、ゆっくり休め。」
さくら「……ありがとう。」
中岡「姉さん、大丈夫っスか?欲しいものあったら言ってくださいっス!何でも用意しますから」
さくら「……なんでも?」
中岡「はいっス!お任せあれっス」
そう言われ、さくらは目を閉じ少しして声を出した。
「慎ちゃん、手………」
「手っスか?」
さくらは差し出した中岡の指を捕まえると、その指に自分の指を絡ませ、弱々しく握ったのだった。
そしてゆっくり自分の方へ引き寄せ、顔の横まで引き寄せると、頬の横で大事そうにさらに握りしめたのだった。
中岡は引き寄せられるたびに、座っていた腰を上げることになり、更には膝を前へ進めた。
布団へ近づき倒れないようにしながら、さくらの行動が読めず、ただその行動に赤面し狼狽した。
最終的に中岡の指を握り、頬の横でうづくまるように大事そうに握られる事になった。
頰の柔肌と唇からの吐息と、動くとたまに触れる柔らかな唇に、中岡はこれまでにない狼狽えを見せ、赤面しまう姿に、岡田が笑った。
中岡「ね。ねねね、ねっ…ッ姉さん!?あ、あの!」
岡田「なんだ慎太。狼狽えすぎだろ。真っ赤じゃないか。」
中岡「ッ!」
武市「中岡、後で私の部屋に来なさい。」
中岡「ええ!?なんで!!?」
岡田「ははっ、茹で蛸慎太だからな。」
中岡「以蔵君だって、羨ましそうに見てたじゃないか!」
岡田「な!!み!見てない!」
中岡「見てたよ!それに、姉さん押し倒した上に着衣を乱してたくせに」
岡田「んな!!!変な言い方をするな!あれは倒れたコイツが着替えの途中だったからで!そもそも最初から着崩れてたんだ!み!み!乱してなどいない!みんなして駆け込んできた時の間合いが悪かったんだ!オレは何もしていないぞ!」
中岡「ははは、以蔵君こそ狼狽えすぎだよ!最初見た時は驚いたけど、わかってるよ。姉さんの着衣を素早く直してさ。やっぱり以蔵君は優しいよね。」
岡田「な!!からかったな!」
中岡「からかってなんていないよ。ま、勘違いした武市さんに叩かれた時は驚いたけど」
岡田「あ、あれは!先生の愛だ!」
中岡「………以蔵君、大丈夫?」
武市「そろそろ黙れ二人とも。……そして、二人とも後で私の部屋に来なさい。」
武市の一言に中岡は「ええ!?」と叫び、岡田は目を見開いたがすぐに「承知」と答え、2人は互いを睨み合っていた。
そんな中でもさくらは中岡の手を離す事はなく、丸くうずくまっていた。
そんなさくらの姿によし、と声をかけて行動に移したのが沈黙を通していた坂本だった。
ゆっくり腰を上げてさくらの枕元に胡座をかき座ると、さくらの寝ている布団ごと、力強くグイッと引っ張り抱き抱えた。
坂本の足の間に丸みを帯びた形に収まり、座ったままだが、布団ごと優しくお姫さま抱っこのように優しく抱き抱え、ゆりかごのように心地よい揺れにさくらは目をゆったりと開いた。
水分の多い大きな瞳が揺れ、坂本を捉え顔を見据えてはゆらゆらと更に瞳を揺らした。
そんなさくらを見て、坂本はその大きな手で頭を優しく撫でた。
そのあと頬に映り、額の濡れ手拭を優しく額へ押し当てたのだ。
その行動が嬉しいのか、子猫が親猫に甘えるように、坂本の手に擦り寄り甘える仕草を見せた。
甘えてくるさくらに坂本は布団ごと優しく抱きしめ返し、幾度となく頭をなでた。
坂本「こげな小さな身体で、知らぬ土地で、病に侵されたら…不安でワシじゃったら泣いちょる」
さくら「…………りょう、まさ…」
坂本「大丈夫じゃ、ずっとずーーっと側におるき。安心して眠るといい」
その言葉にさくらはポロポロと涙を流した。
その行動に志士達は狼狽えた。
坂本「ど、どうしたがや。どっか痛い所があるがや?」
さくら「ごめ、なさ。ごめん…なさ…」
坂本「どぉしたがや?なぁーんも謝ることないぜよ。」
さくら「私…みなさんにまた…迷惑かけちゃ…て…ごめん、なさい」
坂本「あははは!なんじゃぁ。そんな事気にしちょったんか」
大きな声で笑う坂本に、驚いたさくらの涙がピタリと止まった。
そして、苦しくない程度にさくらを抱きしめた。
坂本「さくらはなぁーんも気にすることはないき。むしろワシの方が迷惑をかけちょる!」
さくら「……え?かけてない、ですよ?」
坂本「それじゃ!その気持ちに救われちょる。早く元の場所へ返してやらんとと思いながら、側にいてほしいと矛盾する気持ちがあってのぉ。さくらに甘えちょるがよ。」
中岡「それはオレも同じで甘えてるっス!
姉さんが笑顔で居てくれるのが当たり前になってしまったっス。出先からの戻りに向かえ出てくれる姉さんの姿が見たくて、ここへ帰って来るっス」
さくら「…慎、ちゃん」
武市「君が元気で居ないなんて僕には耐えられない。でも、病弱な君を甘やかすのも悪くない。だからしっかり甘えなさい。」
さくら「武市…さん」.
岡田「………。」
さくら「……以蔵。頬…なんか赤い?」
中岡「それは、武市さんから貰った栄誉の証
っス」
岡田「慎太!!だまれ!!」
またじゃれ始めた中岡と以蔵にさくらはクスリと微笑んだ。
坂本「それじゃ!やっぱりおまんは笑顔が似合う!そじゃから今はゆっくり休むとええ。早く良ぉなって、その笑顔を見せてほしい」
さくら「……はい。ありがとうございます。」
何度目かとなるさくらの頭を撫でると、ニコリと微笑み、坂本の膝で甘えるように蹲った。
さくら「龍馬さん………。」
坂本「なんじゃ?」
さくら「……頭…あの……」
少しだけ布団から顔を出し、甘えるように坂本を見るさくらに、太陽な笑顔を見せさくらの頭を撫でた。
坂本「ずっと、ずっと側におるき。」
その言葉を聞いて心地よい眠りにさくらは落ちだのだった。
完
さくらの額には濡れ手拭が掛けられていた。
かけられている濡れ手拭は、何度も中岡の手により、桶水に浸し絞るを繰り返されていた。
虚しくと感じる水音を感じては、額に乗せてはすぐに熱をとる手拭。
忌わしく思いながら、中岡は何度目かわからないその手拭を額に乗せた。
中岡「姉さん…」
苦しそうに繰り返される息に、中岡が声をかけた時だった。
さくら「………ん…」
中岡「姉さんっ」
反応する様に、声を漏らしたさくらをみんなで覗き込んだ。
ゆったりと目を開け、溢れるほどの水分が含まれた瞳がゆらゆらと揺れていた。
さくら「?………」
さくらの額に、武市が手を当て熱を測ると、パチパチと目を瞬き涙が一筋流れた。
武市が長い指で流れた涙を優しく拭い、甘やかすように優しく声をかけたのだった。
武市「大丈夫かい?何も心配いらないから、ゆっくり休みなさい。」
さくら「私…」
武市「熱が出たみたいだ。朝以蔵が起こしに行った時に気づいてね。疲れが出たのかもしれない。安静していれば問題ない。」
さくら「……以蔵?……」
岡田「……なんだ。……ここにいる。」
身体が重いのか視線だけで、岡田を探すさくらに、岡田は声をかけた。
思った以上に優しい声色に、さくらは首を少し傾け視界に岡田を捉え、微笑んだ。
さくら「以蔵ごめんね?…また助けてもらっちゃったね。……ありがとう。」
岡田「…余計な事は考えず、ゆっくり休め。」
さくら「……ありがとう。」
中岡「姉さん、大丈夫っスか?欲しいものあったら言ってくださいっス!何でも用意しますから」
さくら「……なんでも?」
中岡「はいっス!お任せあれっス」
そう言われ、さくらは目を閉じ少しして声を出した。
「慎ちゃん、手………」
「手っスか?」
さくらは差し出した中岡の指を捕まえると、その指に自分の指を絡ませ、弱々しく握ったのだった。
そしてゆっくり自分の方へ引き寄せ、顔の横まで引き寄せると、頬の横で大事そうにさらに握りしめたのだった。
中岡は引き寄せられるたびに、座っていた腰を上げることになり、更には膝を前へ進めた。
布団へ近づき倒れないようにしながら、さくらの行動が読めず、ただその行動に赤面し狼狽した。
最終的に中岡の指を握り、頬の横でうづくまるように大事そうに握られる事になった。
頰の柔肌と唇からの吐息と、動くとたまに触れる柔らかな唇に、中岡はこれまでにない狼狽えを見せ、赤面しまう姿に、岡田が笑った。
中岡「ね。ねねね、ねっ…ッ姉さん!?あ、あの!」
岡田「なんだ慎太。狼狽えすぎだろ。真っ赤じゃないか。」
中岡「ッ!」
武市「中岡、後で私の部屋に来なさい。」
中岡「ええ!?なんで!!?」
岡田「ははっ、茹で蛸慎太だからな。」
中岡「以蔵君だって、羨ましそうに見てたじゃないか!」
岡田「な!!み!見てない!」
中岡「見てたよ!それに、姉さん押し倒した上に着衣を乱してたくせに」
岡田「んな!!!変な言い方をするな!あれは倒れたコイツが着替えの途中だったからで!そもそも最初から着崩れてたんだ!み!み!乱してなどいない!みんなして駆け込んできた時の間合いが悪かったんだ!オレは何もしていないぞ!」
中岡「ははは、以蔵君こそ狼狽えすぎだよ!最初見た時は驚いたけど、わかってるよ。姉さんの着衣を素早く直してさ。やっぱり以蔵君は優しいよね。」
岡田「な!!からかったな!」
中岡「からかってなんていないよ。ま、勘違いした武市さんに叩かれた時は驚いたけど」
岡田「あ、あれは!先生の愛だ!」
中岡「………以蔵君、大丈夫?」
武市「そろそろ黙れ二人とも。……そして、二人とも後で私の部屋に来なさい。」
武市の一言に中岡は「ええ!?」と叫び、岡田は目を見開いたがすぐに「承知」と答え、2人は互いを睨み合っていた。
そんな中でもさくらは中岡の手を離す事はなく、丸くうずくまっていた。
そんなさくらの姿によし、と声をかけて行動に移したのが沈黙を通していた坂本だった。
ゆっくり腰を上げてさくらの枕元に胡座をかき座ると、さくらの寝ている布団ごと、力強くグイッと引っ張り抱き抱えた。
坂本の足の間に丸みを帯びた形に収まり、座ったままだが、布団ごと優しくお姫さま抱っこのように優しく抱き抱え、ゆりかごのように心地よい揺れにさくらは目をゆったりと開いた。
水分の多い大きな瞳が揺れ、坂本を捉え顔を見据えてはゆらゆらと更に瞳を揺らした。
そんなさくらを見て、坂本はその大きな手で頭を優しく撫でた。
そのあと頬に映り、額の濡れ手拭を優しく額へ押し当てたのだ。
その行動が嬉しいのか、子猫が親猫に甘えるように、坂本の手に擦り寄り甘える仕草を見せた。
甘えてくるさくらに坂本は布団ごと優しく抱きしめ返し、幾度となく頭をなでた。
坂本「こげな小さな身体で、知らぬ土地で、病に侵されたら…不安でワシじゃったら泣いちょる」
さくら「…………りょう、まさ…」
坂本「大丈夫じゃ、ずっとずーーっと側におるき。安心して眠るといい」
その言葉にさくらはポロポロと涙を流した。
その行動に志士達は狼狽えた。
坂本「ど、どうしたがや。どっか痛い所があるがや?」
さくら「ごめ、なさ。ごめん…なさ…」
坂本「どぉしたがや?なぁーんも謝ることないぜよ。」
さくら「私…みなさんにまた…迷惑かけちゃ…て…ごめん、なさい」
坂本「あははは!なんじゃぁ。そんな事気にしちょったんか」
大きな声で笑う坂本に、驚いたさくらの涙がピタリと止まった。
そして、苦しくない程度にさくらを抱きしめた。
坂本「さくらはなぁーんも気にすることはないき。むしろワシの方が迷惑をかけちょる!」
さくら「……え?かけてない、ですよ?」
坂本「それじゃ!その気持ちに救われちょる。早く元の場所へ返してやらんとと思いながら、側にいてほしいと矛盾する気持ちがあってのぉ。さくらに甘えちょるがよ。」
中岡「それはオレも同じで甘えてるっス!
姉さんが笑顔で居てくれるのが当たり前になってしまったっス。出先からの戻りに向かえ出てくれる姉さんの姿が見たくて、ここへ帰って来るっス」
さくら「…慎、ちゃん」
武市「君が元気で居ないなんて僕には耐えられない。でも、病弱な君を甘やかすのも悪くない。だからしっかり甘えなさい。」
さくら「武市…さん」.
岡田「………。」
さくら「……以蔵。頬…なんか赤い?」
中岡「それは、武市さんから貰った栄誉の証
っス」
岡田「慎太!!だまれ!!」
またじゃれ始めた中岡と以蔵にさくらはクスリと微笑んだ。
坂本「それじゃ!やっぱりおまんは笑顔が似合う!そじゃから今はゆっくり休むとええ。早く良ぉなって、その笑顔を見せてほしい」
さくら「……はい。ありがとうございます。」
何度目かとなるさくらの頭を撫でると、ニコリと微笑み、坂本の膝で甘えるように蹲った。
さくら「龍馬さん………。」
坂本「なんじゃ?」
さくら「……頭…あの……」
少しだけ布団から顔を出し、甘えるように坂本を見るさくらに、太陽な笑顔を見せさくらの頭を撫でた。
坂本「ずっと、ずっと側におるき。」
その言葉を聞いて心地よい眠りにさくらは落ちだのだった。
完