あれからどんくらいたったか、泣き疲れたのかさくらはわしの腕の中でスヤスヤと可愛らしい寝息を立て寝てしもうた。
まっこと可愛らしい。


さくら「…お母さん…」


うなされている声の後静かに様子を見ていたら、お母さんと小さな声が聞こえた。
あん娘は母親を欲している。
胸が熱くなった。

綺麗な横顔で手の平を合わせ、月にする願い事は、お母さんに会いたいと願っておったんに違いない。


早く元の世界に……。


そう思えば思うほど、胸の奥が熱くなった。
答えは決まっておると言うのに…。

さくらの頬を指で謎ると、隠れていた気配が出て来たのがわかった。


武市「寝たのか？」

以蔵「まったくこいつは人騒がせな。」

中岡「姉さんの寝顔、可愛っすね！もう。龍馬さんズルいっス」

龍馬「にしし、役得ぜよ！」


安心して寝息を立てる可愛らしい寝顔をみんなで見つめた。
小さな身体で家族から離れた寂しさを、必死に抱えて耐えちょる姿に、わしは…自分を重ねた時もあったが、すぐにそれはこん娘に失礼じゃと思った。
年頃の女子一人で知らない土地での生活は想像以上じゃろう。

わしはこん娘の笑顔がみたい。
こん娘の幸せを叶えてやりたい。
わしはお月さんにこん娘がずうっと笑っちょれる世界を作ろうと誓ったんじゃった。





完