はじまりは
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
暖かな日差しに心地よさを感じた。
初めてというものは、どうしてこうも気分が高揚するものなのだろうか。
新社会人
そう。今日から私、社会人デビューです!!
朝から騒がしく人が行き来している。
人波にのまれながら、肩がぶつかりながら、人々は足早に目的の方向へ進んでいく。
同じ朝だというのに学生時代に感じた通学と、社会人になってから感じる通勤はこうも違うものなのか。
私は少し戸惑いながらも、その波に負けじと会社を目指した。
あと二駅。
さくら「きゃっ」
どっと人が流れ込み、これでもかと車内の奥へ奥へと押入れられる。
窓の外にはまたまだ行列が見えゾッとした。
それを一生懸命に押し込む駅員さん。
入りきらない事はわかってはいるが、この電車に乗りたいお客さん。
引越しの際、洋服をパンパンにいれ、ガムテープで無理やりいれたダンボールの光景を思い出し、今の自分はあの時の洋服と同じだと思うと滑稽で笑えてきてしまった。
覚えておこう。
ここは、確かに電車や地下鉄、バスターミナルもある大きな主要ターミナルだった。
だと言え、皆様。
いえ、社会人の先輩方に学生の皆様。
もう少し、時間の余裕を…もっぐぇ、いたた…持って行動した方がよいのでは?と私思うのです。
あと、満員時のリュックを背負っての乗車も辞めましょう。
手に持つか、棚の上ってポスターや車内放送もしてるじゃん!
マナー大切!!
新社会人代表、さくら。
私は頭の中で、そんな事を言いながら、持っていかれそうになるカバンを抱きかかえ、届かない手すりは諦め、足を踏ん張るのが精一杯だった。
大丈夫。あと二駅。あと二駅。
「あと二駅か。」
「そう。あと二駅の我慢…え?」
ハッとして、声のした方を見ると、綺麗な青い髪。切れ長の目に、整った顔つき。
いかにも仕事が出来そうなオーラをまとい、長身でスーツ姿が似合う男性が私を見下ろしていた。
顔を上げるとちょうど胸板のあたりに視線がいった。
質の良いネクタイにネクタイピンが光り、どれも一流を漂わせていた。
見惚れていると、最後の一押しを駅員さんが押し込め、その流れに押されて声が出てしまった。
「わっ!」
「こちらへ。」
そう言うと、スルリと長身のイケメン男性が私と入れ替わってくれた。
あ、手すり側だ。掴める。
私は必死にその手すり棒に捕まった。
顔を上げお礼を言わなきゃと口を開こうとすると、カーブが来て所々で悲鳴があがる。
あれ??でも私、なんかさっきよりも苦しくない。
明らかにさっきよりも息がしやすく、押しつぶされるほどではなかった。
前を見ると顔が触れそうなほどの距離に、素敵なネクタイピンが光った。
何かの家紋だろうか。
見入ってしまう。
その時ハッと思い、この人の後ろを見てみるとギュウギュウのすし詰め状態が目に入ってきたのだった。
そうか、この人が流れを少し止めてくれているんだ。
どうしよう…ドキドキしちゃう。
そうこうしている間に、下車する目的地の駅名が響いた。
私はハッとして、その方にお礼をいった。
「あ!あの。いろいろとありがとうございました!助かりました。」
頭を下げ、もう一度顔を見たくて上を向くと、顔に血液が一気に集まった気がした。
それはなんとも言えない、心境と鼓動に目眩がした。
切れ長の優しい眼差しが、柔らかい弧を描き、私を見ていた。
まるで時が止まったようだった。
暖かい何かが胸を締め付けた。
まさに、そう。
恋に落ちた瞬間だったのだ。
.
初めてというものは、どうしてこうも気分が高揚するものなのだろうか。
新社会人
そう。今日から私、社会人デビューです!!
朝から騒がしく人が行き来している。
人波にのまれながら、肩がぶつかりながら、人々は足早に目的の方向へ進んでいく。
同じ朝だというのに学生時代に感じた通学と、社会人になってから感じる通勤はこうも違うものなのか。
私は少し戸惑いながらも、その波に負けじと会社を目指した。
あと二駅。
さくら「きゃっ」
どっと人が流れ込み、これでもかと車内の奥へ奥へと押入れられる。
窓の外にはまたまだ行列が見えゾッとした。
それを一生懸命に押し込む駅員さん。
入りきらない事はわかってはいるが、この電車に乗りたいお客さん。
引越しの際、洋服をパンパンにいれ、ガムテープで無理やりいれたダンボールの光景を思い出し、今の自分はあの時の洋服と同じだと思うと滑稽で笑えてきてしまった。
覚えておこう。
ここは、確かに電車や地下鉄、バスターミナルもある大きな主要ターミナルだった。
だと言え、皆様。
いえ、社会人の先輩方に学生の皆様。
もう少し、時間の余裕を…もっぐぇ、いたた…持って行動した方がよいのでは?と私思うのです。
あと、満員時のリュックを背負っての乗車も辞めましょう。
手に持つか、棚の上ってポスターや車内放送もしてるじゃん!
マナー大切!!
新社会人代表、さくら。
私は頭の中で、そんな事を言いながら、持っていかれそうになるカバンを抱きかかえ、届かない手すりは諦め、足を踏ん張るのが精一杯だった。
大丈夫。あと二駅。あと二駅。
「あと二駅か。」
「そう。あと二駅の我慢…え?」
ハッとして、声のした方を見ると、綺麗な青い髪。切れ長の目に、整った顔つき。
いかにも仕事が出来そうなオーラをまとい、長身でスーツ姿が似合う男性が私を見下ろしていた。
顔を上げるとちょうど胸板のあたりに視線がいった。
質の良いネクタイにネクタイピンが光り、どれも一流を漂わせていた。
見惚れていると、最後の一押しを駅員さんが押し込め、その流れに押されて声が出てしまった。
「わっ!」
「こちらへ。」
そう言うと、スルリと長身のイケメン男性が私と入れ替わってくれた。
あ、手すり側だ。掴める。
私は必死にその手すり棒に捕まった。
顔を上げお礼を言わなきゃと口を開こうとすると、カーブが来て所々で悲鳴があがる。
あれ??でも私、なんかさっきよりも苦しくない。
明らかにさっきよりも息がしやすく、押しつぶされるほどではなかった。
前を見ると顔が触れそうなほどの距離に、素敵なネクタイピンが光った。
何かの家紋だろうか。
見入ってしまう。
その時ハッと思い、この人の後ろを見てみるとギュウギュウのすし詰め状態が目に入ってきたのだった。
そうか、この人が流れを少し止めてくれているんだ。
どうしよう…ドキドキしちゃう。
そうこうしている間に、下車する目的地の駅名が響いた。
私はハッとして、その方にお礼をいった。
「あ!あの。いろいろとありがとうございました!助かりました。」
頭を下げ、もう一度顔を見たくて上を向くと、顔に血液が一気に集まった気がした。
それはなんとも言えない、心境と鼓動に目眩がした。
切れ長の優しい眼差しが、柔らかい弧を描き、私を見ていた。
まるで時が止まったようだった。
暖かい何かが胸を締め付けた。
まさに、そう。
恋に落ちた瞬間だったのだ。
.
1/3ページ