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06~07

パンパンっパン!

「うおっ!?」

「「「「悟/五条/五条先輩ハピバ〜!」」」」

俺が教室に入った瞬間飛び散る何か
微かに火薬の匂いがする
自分に降りかかったものを見ると何やら紙テープやら、キラキラしたやつ
あたりを見渡せば「Happy Birthday!!」と書かれていたり、風船やらなんやらで普段より彩られている教室
…なんだこれ

「悟、誕生日おめでとう」

はい付けてと手渡されたのは『本日の主役』と書かれたタスキのようなもの
え?何これ?

「五条なんか反応しろよ」

「もしかして誕生日間違えてたりして!?」

「そんなまさか、あれだけ自分で誕生日アピールしてた人ですよ?」

俺が何も反応しないからかそんな声が飛び交う
「何これ、どゆこと!?誕生日ってこんなんなの!?」

グワっと傑に飛びつく

「悟、重い」

「家以外で祝われたの初めて!!」

「だろうね。去年は1日中任務だったし…」

落ち着いてください、と七海に傑から離される

「まさかこんなに驚くとは。自分から『誕生日祝って!!』って言ってたくせに…」

「だって初めてなんだもん!家以外で祝ってもらえるの。で、家では欲しいもんだけもらって、あとはジジイ達が酒飲んでるだけだからさぁ…」

「流石五条家ですね!!欲しいものはなんでも揃ってそうですよね!」

「まぁな」

「流石っていうか怖い…」

「これだからボンボンは…」

なんか色々言われてるけどそれは置いといて
いつもとは違う装飾された教室にワクワクする
どこからか微かに甘い匂いも…

「悟、犬みたいに鼻クンクンさせてどうしたんだい?」

すると早速傑が俺の様子に気づく
さっすが親友

「犬みたいには余計だわ。それより、なんか甘い匂いしねぇ?」 

クンクンと教室の匂いを嗅ぎまくる

「流石五条さん!鼻も利くんですね!!」

「どこまで甘党なんですか…」

灰原に褒められ、七海にけなされる
その様子だと、本当になんかありそうだな
う〜ん、と考えてみる
誕生日だろ…
で、甘い匂い…

「あぁ!わかった、ケーキだ!!」

「正解」

傑がそう言うと同時にバサァっと布を取り払う
そこから出てきたのはまぁまぁデカいケーキ
直径30cmぐらい…いやもうちょいありそう

「すっごいおっきいですね!!」

灰原が涎を垂らしながら目をキラキラさせて言う
おい、今日の主役は俺だからな
ジロリと灰原を睨みつけると七海に怒られる灰原
七海、お前は灰原の親か?

「いやぁ、灰原が喰いつくのも仕方ない程に大きいね…」

「私そんな食えないぞ」

傑と硝子まで圧巻されている
ん?てかコレ誰が用意したんだ…?

「なんか皆んなびっくりしてっけど、コレお前らが用意したんじゃねーの?」

すると全員が首を揃えて横に振る

「え、じゃあ誰が…?」

「悟、誰か1人忘れてないか?」

え?
誰か1人…
ええっと、傑に硝子に、灰原、七海…
あぁ!

「[#dn=1#]!!」

「悟ハピバっ!!」

そう言ったのは同時だった

「うわめっちゃ忘れてた!!てかなんかボロボロじゃね?」

ガラッ、と勢いよく扉を開け、そこにゼーハー言いながら立ち尽くしているのは我らが同期、[#dn=1#]
その姿をみてもしや…と思う

「今日、俺が任務ないのって…」

「私と夜蛾センでやってきた…!」

フラフラと硝子に助けを求めながら俺に対して返答する
なるほどな、そりゃいくら同じ等級とはいえ、俺と[#dn=1#]じゃ流石にキツイか

「で?夜蛾センは?」

「報告書とか、なんか色々あるみたい。なるはやで終わらせてくるって」

「うぉ!マジかっ」

なんて会話をしているうちに硝子が[#dn=1#]の怪我を治していく

「まぁまぁボロボロだね。やっぱいくら同じ等級とはいえ五条の任務はキツイか」

「キツイよ!!なんなら一体特級いたんだよ!?」

「あ〜あるねそう言うこと。私達上層部から嫌われてるから」

「傑が行ってくれればよかったのに!!」

「それじゃ、意味ないよ!!五条さんにとって夏油さんのいない誕生日会なんて…!」

「落ち着いてください[#dn=2#]先輩…灰原も…」

なるほどそういうことかと納得する
こればかりは[#dn=1#]に感謝だな
ケーキのことも、任務のことも…

「はい、終わったよ」

「ありがとう硝子ー!!はいっ、てことでハッピーバースデー歌ってさっさとケーキ食べましょう!!硝子ライターよろしく」

「ん」

ごく自然のように硝子のポケットからライターが出てくる

「いやなんですぐ出てくんだよ。普通女子高専生のポケットの中にライターなんて入ってねぇんだよ」

なんてツッコミながらも無視して黙々とろうそくに火を付けていく硝子
そしてそれを手伝う[#dn=1#]
お前ら揃いも揃っておかしいだろ
まぁ、呪術界にまともな奴がいる方がおかしいけど
…てかなんかろうそく多くね?

「ちゃんとろうそく17本準備したからね。[#dn=1#]、硝子、お疲れ様」

火を付け終わった2人にそう声かける傑
なるほど、17歳だから17本
よくそんなに揃えたな

「さっさとやろう。火消える」

[#dn=1#]の声と共にカチッと電気が消える
え、何?どゆこと?

「Happy birthday to you〜 🎶Happy birthday to you,〜🎶Happy birthday, dear 悟/五条/五条
先輩〜🎶Happy birthday to you〜🎶」

「はい、消して!」 

「へ?」

「ろうそくの火を消すんだよ」

「うん?」

[#dn=1#]と傑の指示に従って火を消してみる
するとまた電気がパッとついたと同時に皆んなからの拍手

「もしかして五条さん、happy birthdayの歌、初めてですか?」

「おう。初めてやったわ…」

これが普通なのか?
やっぱ、家の祝い方とは違うんじゃね?とは思ってはいたけど思った以上だったわ

「はいっ、ケーキ食べましょ〜」

灰原同様目をキラキラさせながら丁寧に切り分けていく[#dn=1#]

「ケーキ担当[#dn=1#]にして正解だったね…」

「だな。私、少なめで」

「[#dn=2#]先輩、私も…」

非甘党達が[#dn=1#]のもとに交渉しに行く
甘いの苦手だなんてもったいねぇな〜

「悟っ!遅れすまない。happy birthdayだ」

[#dn=1#]と同じように急に扉をガラッと開けて入ってきたのは…

「遅いよ夜蛾セン〜」

「いや、だいぶ早いですよ。お疲れ様です。夜蛾先生」

ケーキを切り分ける手を止めずに夜蛾に文句を言う[#dn=1#]と、フォローする七海
いやどっちが先輩だよ

「夜蛾〜、任務変わってくれたんだって?」

「今日は誕生日だから多めに見るが先生を付けなさい。任務は[#dn=1#]と片付けてきた」

「ホント大変だったんだから!夜蛾っちいなかったら私死んでた!!」

「[#dn=1#]!!お前もちゃんと先生を付けろ!!」

はーいと言いながらもケーキを配っていく[#dn=1#]

「…デカくないか?」

「悟の誕生日だよ?私と灰原もいるし、こんなの朝飯前だよ」

ね〜!と俺ら3人で顔を合わせる
ピチピチの高専生舐めんなよ
こんなの楽勝だ

「にしても…[#dn=1#]、量が多い」

「残していーよ?食べる人はいるから」

「先生、無理しちゃダメですよ」

少ない量のケーキを持った硝子を恨めしそうに見る夜蛾
もうちょい早くきてれば硝子達みたいに量調節できたのにな

「残ったら俺食う」

「えぇ!?僕も食べたいです!!」

「私も〜」

はーいと手を挙げながら俺ら甘党3人で夜蛾の元に集まっていく

「落ち着けお前ら、できるだけ食うから…。無理だったときは、悟、頼む」

「よっしゃぁぁぁぁぁぁ!」

「あぁぁ、負けた…」

「まぁ、今日の主役だしね」

落胆する灰原を七海が慰める

「灰原…貴方そんなに甘党でしたっけ?」

「甘党っていうか、食べ物だったらなんでも食べるよ!!食べることが好きだからねっ!」

「これは灰原の誕生日ケーキも同じやつだな…」 

「また任務調節しなちゃいけないの!?」

「まぁ、灰原の任務なら俺のでる幕はなくて済むな…」

「本日は本当にお疲れ様でした…」

そんな夜蛾と[#dn=1#]と七海の会話をよそに、俺は傑にちょっかいをかける

「傑ぅ〜、俺のことだ〜い好きだなっ!」

「私だけじゃないよ。ここにいる皆、悟のこと大好きなんだよ」

「おい、夏油、勝手に巻き込むな」

「そんなこと言わないでよ硝子ちゃぁ〜ん♡俺のこと大好きなくせにぃ〜」

「キモい。大人しく祝われとけ」

誕生日だと言うのに硝子には冷めた目で見られる
まぁ、そっちの方が硝子らしいっちゃらしいけど

「ねね!早くケーキ食べよっ」

「落ち着け甘党共。焦らなくてもケーキは逃げない」

硝子はそう言うが、俺も流石そろそろ食べたい

「そろそろ食っていい?」

「まぁ主役がそう言うなら」

「ん〜!流石[#dn=1#]先輩!とってもおいひいでふ!」

「灰原、食べながら喋らないでください」

灰原食うのはえぇよ
俺が言った瞬間食ってんじゃん

「私の誕生日のときもこんくらいの大きさでお願いね。あとでお店教えるから」

そう言う[#dn=1#]も口いっぱいにもぐもぐさせてケーキを頬張っている
食いながらなのになんでそんなうまいこと喋ってんだよ
腹話術か?

「[#dn=1#]、お前どうやって喋ってんだよ。てかその場合、ケーキ係は私か?」

「そだねっ!硝子まかせた!!」

「まぁ、[#dn=1#]の願いならしゃーないかぁ…」

[#dn=1#]も相当な甘党だからな
硝子お疲れ様だな
と思いつつ、まだまだ残っているケーキの山に向かう

「悟…食べるの早すぎないか?」

「んなことねぇよ。[#dn=1#]と灰原の皿も見てみ?ほぼねぇよ」

傑の言葉に応えつつ、残ってるケーキを自分の皿へと移していく

「見ているだけで胃もたれするよ…」

「おじいちゃんか?」

傑おじいちゃ〜ん、と声かけてみると傑に睨まれる

「君の方がおじいちゃんじゃないか」

「はぁ?ほんの数ヶ月だけだろ?それに心身は俺の方が若いわ!」

ふふんっ、と俺がドヤ顔をする
すると傑から呪霊の気配が…

「外で話そうか、悟…」

「寂しんぼか?おじいちゃんだもんな?」

「おい!お前ら!何やってんだ!」

「誕生日にまで喧嘩するんじゃないよ」

「流石仲良しですね!!」

「何故そうなるんですか…」

「誕生日くらい大人しく祝われときなよ…」

結局はいつも通りの展開になっていったけど…
こうして俺は初めて家以外で誕生日を祝ってもらえた
いわゆる一般的な誕生日会ってやつ?
来年も、再来年も…皆が揃うのは難しいかもしれないけど、こうやって祝ってもらいたい
なんて、照れくさくて言えねーけど
傑も、[#dn=1#]も、硝子も
灰原も、七海も、夜蛾も

「ありがとうな…」

隣にいる[#dn=1#]だけがクスッと笑ったー
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