3-4の教育実習 ~another story ~
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《出張中の為、席を外しています。体調の悪い方は勝手に休んでいってください》
「嘘でしょ…?」
うぅ、頭痛い…
ガンガンするし、吐き気もするし…
昨日生徒会室で叫びまくってたバチが当たったかな…
朝から体調が優れない
まだ未久が立ち直れてないし、本人の耳に事実が届いてしまうんじゃないかってヒヤヒヤする毎日
頑張って学校来たけど、2限目早々にリタイアです
それで保健室に来たのはいいものの…
「ごめんね、今は入らない方がいいかも」
「えっと…、何で?」
私より頭1つ分低い身長
真っ黒な髪は艶があり、綺麗に肩あたりで切り揃えられている
色白で、細く、今にも折れそうな手足
一重だけど透き通るようなちゅるんとした大きな瞳
血色感の薄い小さな唇
「ん〜っとね…、なんて言うか…」
モゴモゴさせながら中々切り出そうとしない彼女
ふと学校用スリッパを見ると、私達と同じ学年の色
え、同級生?
こんな子いたっけ…?
「お前、何してんの?」
「ひッ…!」
低く、殺意がこもった男の人の声が背後から聞こえる
一瞬、どこかで聞いたことあるような声だと思うも、自分に向けられた言葉が胸に刺さる
こ、怖い…
身体が震え出すのがわかる
「ちょっと佐久間くん!何勘違いしてんの!?」
「……え?」
「さ、佐久間くん…?」
彼女の言葉により、さっきまでの緊張感がさっぱりなくなる
凄いな、この子
一瞬にして、空気が変わった…
「あぁ!?本当に涼川さんじゃん!え、ごめんね、本当に。てっきり、柚月を虐めてるのかと思って…」
佐久間くんが必死に謝ってくる
1年生のときに同じクラスで、おとなしめな彼とは、男の子が苦手な私が唯一普通に話せる男友達だ
さっきのあの声には、びっくりしたけど…
初めて聞いたな、佐久間くんのあんな声
「ううん。実際、言いにくいことを言ってくれようとしてたみたいだし、悪い気はさせちゃってたから…」
「そんなことないよ!むしろ気使わせちゃってごめんね」
この場にいる全員が、謝る絵面となる
いや、何だこれ
私はただ、保健室で休みたくて…
「てか顔真っ青じゃん!あ、やっぱ久しぶりだし、俺と話すの抵抗ある?」
「そういうわけじゃ…、あたま、いたくて…」
ていうか佐久間くんはなぜここに?
あと、彼女も
何だか、佐久間くんがあんなに怒ってたし、仲良さげだけど…
「ど、どうしよう…大介くん、今保健室、ちょっとダメで…」
「ん?出張中…?勝手に休んでいいって書いてあるよ?」
「違うの…中、こっそり見てみて?」
そーッと扉を開ける佐久間くん
私の角度からは全く見えないのだけど、何かあるのだろうか?
なんだか、しばらく同じ姿勢のまま固まっているようにみえるけど…
あ、閉めた
「……ダメだ」
「でしょ?」
なぜか顔が真っ赤っかな佐久間くん
どういうこと?
何か保健室に不味いものでもあるの?
「とりあえず!一旦座ろう。体調悪いのに怒っちゃったり、訳わかんないことしてごめんね?」
「それは、だいじょうぶだから…」
「大丈夫じゃなさそうだけど?」
え…?
この声って、もしかして…
「えっと…、どちら様?」
「2トップ…」
困り顔の彼女と、引き攣る佐久間くん
「授業抜けてからちょっと経つけど、気になって様子見に来たんだよね。で、何で保健室入らないの?」
宮舘くんが私達の間に入って話を始める
なんか、怒ってる…?
体調悪いのに、休んでないからかなぁ…
「わざわざごめんね、宮舘くん。保健室は、なんというか…」
「宮舘くん、中見てもらえるかな?で、追い出してもらえるとありがたいんだけど…」
なんて答えていいか迷っていると、佐久間くんがおずおずと間に入って来る
結局、保健室の中には何があるんだ?
私には入らないようにするのに、宮舘くんには見せようとする、何なら追いだして欲しいって…何事?
検討がつかないんだけど
宮舘くんも、よくわかっていなさそうな顔をしながら言われ通りに中を覗く
「……ごめん!」
バッと身体をふたつに折り曲げて謝る宮舘くん
え?何、どういうこと?
私だけが状況を把握できてないんだけど…
「宮舘くんは悪くないんだけどね…、どうにかできないかな?俺はともかく、この2人は本当に保健室に用があるからさ…」
佐久間くんがただでさえ身長差があるのに、さらに腰を低くして頼み込む
宮舘くんも、何だか複雑そうな顔をしてて…
「そうだよね、使えないと困るもんね…わかった。行ってくるよ」
「本当にありがとう!!」
何?だから何のこと?
しかし、この数分後、全てを理解する
「体調大丈夫?私、身体が弱くてほとんど毎日保健室にいるの。分からないことがあったら何でも聞いてね」
「あ、そうなんだ。だから見かけない顔…でも何で佐久間くんが?」
「あー、彼、よく来るんだよねぇ」
その瞬間、佐久間くんが慌て出す
「いや!決してサボりとかじゃなくて!なんていうか、馴染めないっていうか…」
「それをサボりって言うんじゃ?」
冷静なツッコミを入れる彼女
「うぅ、柚月が寂しいかなぁって思って毎日来てるのに…」
「何だか、楽しそうだね佐久間くん」
普段はおとなしい佐久間くんが、この子といると楽しそうだ
表情がコロコロ変わるし、2人にしかない空気感、みたいなのが…
「翔太、ちゃんと場所は弁えて」
「へいへい」
「本当に使いたい人がいるんだから」
「涼太くん、ごめんね…」
えっ…?
保健室から出て来たのは、渡辺翔太と、女の子が1人
そして、宮舘くん…
「あんたっ…!」
「落ち着いて、莉音!」
咄嗟に身体が反応する
積もり積もった感情が爆発するかのように殴り掛かろうとした
が、宮舘くんに止められた
「あ、お前、未久の友達じゃん?」
「そうだよ!あんた、未久のことどんだけ傷つけたわかってんの!?」
叫ぶことによってズキズキする頭がさらに酷くなるのがわかる
でも、自分の感情が止められない
「お前さ、こないだも言ったよな?元から俺は本気じゃないの。愛でるだけじゃ満足できないっつー「翔太、やめな」
宮舘くんが間に入って私達を止める
その瞬間視界が薄暗くなるのがわかる
やばい、と思った時には、崩れ落ちていて…
「莉音!」
「ひえッ…!?」
「涼川さん!」
気づいた時には、真っ白な天井だった…