ど、どうしよう…

「ねぇ、聞いてるの？」

普段の優しい表情とは似つかわない、怖い表情で詰め寄られる
聞いてる
聞いてるんだけど〜！

時は数時間前に戻りー

「あら、怜ちゃんじゃない？久しぶりねぇ〜」

「おばさん…お久しぶりです」

仁那の家に向かうと、ちょうどドアのところでおばさんと白石さんがしゃべっているところだった
なんで、白石さん…
困惑していると、白石さんを目が合う
その瞬間、鋭く睨みつけられて…

「もしかして、怜ちゃんも仁那の様子見に来てくれたの？あの子は良い友達に囲まれてるのね〜」

「あ、はい…」

おばさんはニコニコしながら私に話かける
良い、友達…

「仁那ちゃんに、お大事にってお伝えください」

「わかったわ。結ちゃん、仁那の調子が治ったら、遊びに来てちょうだいねぇ」

「もちろんです！」

どうやら、仁那は体調を崩している程になっているよう
白石さんは初めておばさんと会ったはずなのに、すっかり打ち解けていている
何回も来たことのある、私と同じように…

「怜ちゃんも、仁那まだ調子悪いみたいでね…またいつでもいらっしゃいねぇ」

「ありがとうございます…」

ペコリっと一礼し、その場から去る
白石さんと一緒に
チラリと仁那の家の方を見ると、中へ入ろうとするおばさんと目が合う
おばさんはニッコリと微笑んでくれて、微笑み返すが…

「よく易々と出向いて来たよね」

「白石さん……」

最近よく見る白石さんの睨み顔
互いに足を止めて道路の真ん中向き合う

「確かに、白石さんの言う通り、私は仁那に酷いことした。でも、それは、私の醜い嫉妬で…！」

「言い訳なんてどうでもいい。酷いことしたのは事実でしょ？その事実は変わらない」

「それは……」

白石さんの言っていることは、正しい
でも、だからこそ、私は仁那と仲直りしたくて…！

「噂のことも、梅田さんが絡んでるんじゃないの？まぁ、コレは推測にすぎないけど…」

違う！
って言いたいところだけど…

「ねぇ、聞いてるの？」

ジリジリと壁際へ追い詰められる
否定しきれない事実と、白石さんの顔によって言葉が出なくなる
そんな私を見て、はぁぁぁ〜っと大きく息を吐いて…

「2度と仁那ちゃんの友達面なんてしないで！」

はぁ？
何を言うかと思ったら…
私が押されて黙ってることをいいことに！

「そんなの、貴方に決められる権利ない！」

「友達を裏切るような人にそんな権利なんてあるわけないでしょ！」

裏切る……
その言葉に反応し、再び声が出なくなる

「とにかく、私は貴方を許さないから」

プイッと顔を背け、去っていく
私は、ただ呆然とその背中を見つめることしかできなかった…