「青海さーん、ちょっといい？」

「え？」

体育終わり、着替えるものもないため、そのまま教室へ向かう
すると4人の女の子に囲まれて…

「え？っじゃねーよ」

「拒否権なんてないんだよ」

「ちょ、ちょっと？！」

腕を掴まれ、力ずくで連れていかれる

「やだ！やめて！」

「うるっさい！」

抵抗するも虚しく、腕を掴む力が強められる
こんな時、運動神経が良ければ、抵抗できたのになぁ
なんて思ってるうちに校舎裏まで来ていた
人気のない、薄暗い場所
まって、これやばいんじゃ…
なんて思った時には遅かった

「気持ち悪いんだよっ！」

ドンっ…！

「いたっ…」

思いっきり突き飛ばされ壁に体を打ちつける

「うちらはもっと痛いの！」

キーンと耳がなるほどの金切り声

「気がないなら誑かすな！うちらの気持ちも考えてよ！」

「……」

「なんか言えよ！」

ドカっ！

「いっ…！」

腹部を殴られ声にならないほどの激痛が走る
同じ女の子なのに、何故こんなにも力があるのだろう

「岩本先生だけでもムカつくのに、他の先生にまで手出すなんて！」

「サイッテー！」

「純粋ぶってるくせに結局は男好きなんでしょ！」

「この八方美人！」

止まらない、罵詈雑言
そっか、この子達も、岩本先生のこと…
もしかして、陸上部？
だから、岩本先生と仲良くする私を…

「ねぇ、聞いてんの？！」

「……気失ってない？」

「え、嘘？」

「もう行こ」

バタバタと走り去っていくのが音でわかる
気は、失ってない
でも、動けない…
全身痛いし、きっと身体中にあざができてる
こんな状態で、戻れるわけ…

🔔キーンコーンカーンコーン
🔔キーンコーンカーンコーン

あ〜、HR始まる…
また、結ちゃんに迷惑かけちゃう…
でも、私がいない方がいいんじゃないかな
結ちゃんにまで、被害が広がらないうちに…

「あ”、う”ぅ…」

無理やり体を起こし、壁を使って立ち上がる
今日はもう、帰ろう
裏道使えば誰にも見つからないはず
荷物はそのままでいいや…

「い”ったぁ…」

ゆっくり校外へと歩き出す
皆んながHRしている間に
少しでも、見つからないように…

痛みが走る体を、無理やり引きずるように帰路につくー