「怜！アイツやばいよ！」

「……何？どーしたの」

机をバンッと叩きながら迫ってくる友達
朝からうるっさ
こちとら仁那の件で寝不足なんだよ…

「仁那！アイツ教育実習生達誑かしまくってるみたい！」

「……はぁ？」

何だそれ
私が昨日まで、仁那に思ってたことじゃん？
主に深澤先生だけど
ていうか多分それ…

「何か、放課後に渡辺先生と宮舘先生といて、今朝は阿部先生と、目黒先生と、佐久間先生と、ラウール先生と仲良さそうにしてたらしい！」

いや、多！
今朝どんだけ喋ってんだよ
まだ渡辺先生と宮舘先生はまだしも…
ん？
何で放課後に渡辺先生と宮舘先生？
放課後は、深澤先生じゃ…

「はい、席付け〜」

タイミング悪く、先生が入ってくる
もちろん深澤先生も一緒
って、アレ？
何か深澤先生顔色悪い？
いつも白いけど、今日は特に…

「日直、号令」

「起立！礼！」

チラッと仁那を見る
何事もないように振る舞う彼女
あぁ、本当に自分が情けないなぁ
仁那は悪くないのに…
ん？
どこからかの鋭い視線を探す
めっちゃ痛いんだけど
誰だよ…
って、え？

「梅田ー、いつまで立ってんだ〜？」

「あ、すみません」

急いで椅子に座る
そして、さっきの視線の主に目を向ける
今はもう、前を向いているけど…
さっきめっちゃ怖かったなぁ
あんな睨む子だと思ってなかったから…

「じゃあ、私達行くね」

「え？」

「ちょっ！仁那！」

行っちゃった…
“今の状況で簡単に貴方達に仁那ちゃんをどうぞってすると思う？”か…
それもそうだよね…
でも、白石さんが思ってることじゃないんだよ
確かに、この数日に仁那にしたことは最低なことだけど…
私は、仁那の口から直接聞きたいの
誑かしてるつもりなんてないでしょ？
深澤先生にも、他の先生達にも…
私だって、ずっとわかってたはずなのにね…

「あ〜あ…」

どうしよっかなぁ
あんな感じだと、白石さんのガード強くて仁那と話せないよ…
今までのことも、噂のことも…


“これからどうするか、が大事なんだよ”


今、私に出来ることって…
話せなくても、仁那をこれ以上傷つけないためにも…

「仁那……、行動で、示すから」

見ててね
仁那…！