短編
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それは授業も任務もなく、木漏れ日を感じながら片手に本を持っていた時だったー
「な〜なみ!今暇?暇だよねぇ!?ちょっと付き合ってよ〜」
「暇ではありません。暑苦しい」
毎日のように授業に任務に追われ、到底普通の高校生とは比べものにならない生活を送る私達
そんな私の一時の安らぎをぶち壊してきたのはいつにも増して無駄にテンションの高い先輩だ
あの天上天下唯我独尊を絵に書いたような先輩の従兄弟だという彼女はまさに彼のように私に肩を回しダル絡みをし始める
「え〜、けちぃ。悟も傑も任務で出払ってて、硝子にも忙しからって相手にされなかった私を見捨てないでよぉ」
「知りませんよ。とりあえず離れてください」
全く、同年代の異性に易々とくっついてくるとは彼女の常識を疑う
まぁ、今さらではあるが…
「で、何ですか。あなた暇なんですか」
「うん暇。めっちゃ暇」
あっさり認めるその姿に思わず溜息が出る
「ねぇねぇ七海〜恋バナしよ〜よ〜」
「お断りします」
何を言い出すかと思えば恋バナと…
何で私があなたとそんなこと話さなきゃならないんですか
「そんなこと言わないでよ〜私の話聞いてくれるだけで良いからさ!」
「勝手にしてください」
「本当?じゃ、ちょっと聞きたいんだけどさ…
私って男癖悪いのかな?」
「は?」
彼女の口から出た言葉に耳を疑う
「急に何を言い出すんですか」
「いやぁ〜硝子にさ、『お前男癖悪いよな』って言われて、で、実は自分でも心当たりがいくつかあって」
「…夏油さんのことですか?」
途端に彼女の大きな瞳が更に大きく見開かれる
図星、といったところか
若しくはまさか私に気づかれてるなんて思ってもいなかった
はたまた両方か…
スッと身体が軽くなる
彼女は私の方に回していた腕を離し、どこか憂いを灯した瞳に私を映していた
「…七海は勘が鋭いよね」
「貴方が分かりやすいだけですよ」
本当、貴方は分かりやすい
きっと、その想いが本人にも気づかれているんじゃないかとゆう程に
「てことで、絶賛傑に片想い中なんだけども」
開き直ったように彼女はあっさり自白する
「傑ってクズだよね」
「それ自分でいいます?」
自ら好きな人をクズ呼ばわりするのはどうかとも思うが、それを咎める必要がないほど彼が良い男とは呼べないのは周知の事実だ
それに、私からも一応お世話になっている先輩の好きな人とはいえ、『クズ』という言葉を否定できない
かつては五条先輩や彼女のように、まだダル絡みされないだけマシだと思っていたこともあったが、時間が経てば経つほどどっこいどっこいと思わざる終えない
「いやさぁ、傑がクズなことは仕方ないとして、よくよく考えてみたら私、クズしか好きになったことないなって思って」
「それで男癖が悪いと」
「そゆこと〜」
だらんと机に寝そべる彼女
まるで全身の空気が抜けたかのように手足をプラプラとさせている
いじけたように口まで尖らさせて、まるで幼子のような彼女を横目に自分は本へ目線を戻す
「初恋は悟だし、初カレには浮気されるし、失恋して悟に泣きついたら悟の彼女にぶん殴られるし、その後付き合った男はタバコで退学してるし、高校上がったら生物担当の先生に好かれるし、今度は束縛激しい男と付き合っちゃうし…」
私が本に目を向けているというのに気にせず離し続ける彼女
呆れて耳だけ傾けるもその内容酷さにうんざりとする
「……何か呪われているのでは?」
「それ私も思った。でも悟には『なんも憑いてねぇよ』って」
「…ご愁傷さまです」
「助けてよ七海ぃー!」
はぁ…、と思わずため息が漏れる
六眼持ちの術師に『何も憑いてない』と言われてしまったら、もうどうしようもないだろう
その上で私に助けを求められても無理難題でしかない
強いて言えば、自分で碌な男に引っかからないよう気をつけるしか…
「とりあえず、夏油さんのことは諦めては?」
「えー…」
「このままではまた嘆くことになりますよ」
私としても、身近な先輩の傷心を横で眺めるのは気持ちよくない
それに、夏油さんを諦めるのは、私にとっても好都合であるし…
「私だってわかってるんだけど、そう簡単に好きって気持ちは消えないじゃん…?」
遠くを見つめながら言う彼女の姿に苛立ちを覚える
相談してきといてなんなんだ
諦める気なんてさらさらないんじゃないか
そのせいか、ついキツイ言葉を彼女に投げかけてしまう
「ならずっと苦しんでいればいいじゃないですか」
「七海の意地悪…」
「じゃあなんですか、共感でもすればいいんですか」
空気が静まり返る
そこでようやく私は、彼女へ放った冷たい言葉を後悔した
「…そうだね、七海の言う通りだ」
そう言う彼女は、グッと涙を堪えたように笑っていた
その表情に胸がグッと締め付けられる
ちがう
そんな表情をさせたかったんじゃない
私はただ、彼女が笑っていてくれてたら、それでいいと
彼女が幸せであるならそれでいいと
思っていたはずなのに…
「付き合わせちゃってごめんね、七海。じゃ、私はこのへんで…」
いつものテンションは何処へやら、すっかり大人しくなった彼女が私の視界から遠ざかっていく
その距離は、今、私達の間でできてしまっま溝のように
小さくなる背中を見つめて、私は気づけば叫んでいた
「待ってください!」
たった2人しかいないガランとした教室
大声なんて出さなくても、十分引き止められただろうに、気づけば叫んでいた
「七海…?」
何もわかっていない顔で私を見つめる彼女
その揺れる瞳に私はまっすぐ向かい合う
「私じゃ、ダメなんですか」
「…え?」
「私では、貴方の彼氏は務まりませんか…?」
ずっと、押し込めていたものが、積を切るかのように押し寄せてくる
「な、なみ?何言って…」
貴方のせいです
私をこんな気持ちにさせたのは
私の想いを溢れ返されたのは…
「ずっと、好きでした。貴方のことが。まさかそんなに男癖が悪いとは思ってませんでしたが、私と付き合うならばそれも解決です」
「いやいや、何言って…」
「それとも、貴方にとって私は、今までの碌でもない男達と同じですか?」
「そんなわけないじゃん!」
彼女が叫ぶように言う
その姿に少し自分の口角が上がるのがわかる
「なら、大人しく私と付き合ってください」
「でも…」
この期に及んでまだ逃げるつもりなのだろうか
彼女はチラリと後方を確認するも残念ながらそこはただの壁だ
こうなってしまった私から逃げられるなんて思うなよ…?
「夏油さんへの気持ちを忘れ去るくらいには貴方を愛する自信はあります。いえ、私が夏油さん含め、今までの過去の記憶を吹き飛ばしてみせます」
「七海、何言って…」
「いいですか?貴方は大人しく…」
コレでもかと言うくらいに距離をグッと引き寄せる
おでことおでこがくっつくのではないかというほどに…
「私に幸せにされてください」
ボンッと効果音が出るかのように彼女の顔が真っ赤っ赤になる
まるで茹でダコのように
その姿さえ愛らしいと感じてしまう
ほら、早く…
私の手を取ってください
貴方にもう後悔なんてさせません
呪うくらいに、貴方を愛してみせますー
to be continue…?
「な〜なみ!今暇?暇だよねぇ!?ちょっと付き合ってよ〜」
「暇ではありません。暑苦しい」
毎日のように授業に任務に追われ、到底普通の高校生とは比べものにならない生活を送る私達
そんな私の一時の安らぎをぶち壊してきたのはいつにも増して無駄にテンションの高い先輩だ
あの天上天下唯我独尊を絵に書いたような先輩の従兄弟だという彼女はまさに彼のように私に肩を回しダル絡みをし始める
「え〜、けちぃ。悟も傑も任務で出払ってて、硝子にも忙しからって相手にされなかった私を見捨てないでよぉ」
「知りませんよ。とりあえず離れてください」
全く、同年代の異性に易々とくっついてくるとは彼女の常識を疑う
まぁ、今さらではあるが…
「で、何ですか。あなた暇なんですか」
「うん暇。めっちゃ暇」
あっさり認めるその姿に思わず溜息が出る
「ねぇねぇ七海〜恋バナしよ〜よ〜」
「お断りします」
何を言い出すかと思えば恋バナと…
何で私があなたとそんなこと話さなきゃならないんですか
「そんなこと言わないでよ〜私の話聞いてくれるだけで良いからさ!」
「勝手にしてください」
「本当?じゃ、ちょっと聞きたいんだけどさ…
私って男癖悪いのかな?」
「は?」
彼女の口から出た言葉に耳を疑う
「急に何を言い出すんですか」
「いやぁ〜硝子にさ、『お前男癖悪いよな』って言われて、で、実は自分でも心当たりがいくつかあって」
「…夏油さんのことですか?」
途端に彼女の大きな瞳が更に大きく見開かれる
図星、といったところか
若しくはまさか私に気づかれてるなんて思ってもいなかった
はたまた両方か…
スッと身体が軽くなる
彼女は私の方に回していた腕を離し、どこか憂いを灯した瞳に私を映していた
「…七海は勘が鋭いよね」
「貴方が分かりやすいだけですよ」
本当、貴方は分かりやすい
きっと、その想いが本人にも気づかれているんじゃないかとゆう程に
「てことで、絶賛傑に片想い中なんだけども」
開き直ったように彼女はあっさり自白する
「傑ってクズだよね」
「それ自分でいいます?」
自ら好きな人をクズ呼ばわりするのはどうかとも思うが、それを咎める必要がないほど彼が良い男とは呼べないのは周知の事実だ
それに、私からも一応お世話になっている先輩の好きな人とはいえ、『クズ』という言葉を否定できない
かつては五条先輩や彼女のように、まだダル絡みされないだけマシだと思っていたこともあったが、時間が経てば経つほどどっこいどっこいと思わざる終えない
「いやさぁ、傑がクズなことは仕方ないとして、よくよく考えてみたら私、クズしか好きになったことないなって思って」
「それで男癖が悪いと」
「そゆこと〜」
だらんと机に寝そべる彼女
まるで全身の空気が抜けたかのように手足をプラプラとさせている
いじけたように口まで尖らさせて、まるで幼子のような彼女を横目に自分は本へ目線を戻す
「初恋は悟だし、初カレには浮気されるし、失恋して悟に泣きついたら悟の彼女にぶん殴られるし、その後付き合った男はタバコで退学してるし、高校上がったら生物担当の先生に好かれるし、今度は束縛激しい男と付き合っちゃうし…」
私が本に目を向けているというのに気にせず離し続ける彼女
呆れて耳だけ傾けるもその内容酷さにうんざりとする
「……何か呪われているのでは?」
「それ私も思った。でも悟には『なんも憑いてねぇよ』って」
「…ご愁傷さまです」
「助けてよ七海ぃー!」
はぁ…、と思わずため息が漏れる
六眼持ちの術師に『何も憑いてない』と言われてしまったら、もうどうしようもないだろう
その上で私に助けを求められても無理難題でしかない
強いて言えば、自分で碌な男に引っかからないよう気をつけるしか…
「とりあえず、夏油さんのことは諦めては?」
「えー…」
「このままではまた嘆くことになりますよ」
私としても、身近な先輩の傷心を横で眺めるのは気持ちよくない
それに、夏油さんを諦めるのは、私にとっても好都合であるし…
「私だってわかってるんだけど、そう簡単に好きって気持ちは消えないじゃん…?」
遠くを見つめながら言う彼女の姿に苛立ちを覚える
相談してきといてなんなんだ
諦める気なんてさらさらないんじゃないか
そのせいか、ついキツイ言葉を彼女に投げかけてしまう
「ならずっと苦しんでいればいいじゃないですか」
「七海の意地悪…」
「じゃあなんですか、共感でもすればいいんですか」
空気が静まり返る
そこでようやく私は、彼女へ放った冷たい言葉を後悔した
「…そうだね、七海の言う通りだ」
そう言う彼女は、グッと涙を堪えたように笑っていた
その表情に胸がグッと締め付けられる
ちがう
そんな表情をさせたかったんじゃない
私はただ、彼女が笑っていてくれてたら、それでいいと
彼女が幸せであるならそれでいいと
思っていたはずなのに…
「付き合わせちゃってごめんね、七海。じゃ、私はこのへんで…」
いつものテンションは何処へやら、すっかり大人しくなった彼女が私の視界から遠ざかっていく
その距離は、今、私達の間でできてしまっま溝のように
小さくなる背中を見つめて、私は気づけば叫んでいた
「待ってください!」
たった2人しかいないガランとした教室
大声なんて出さなくても、十分引き止められただろうに、気づけば叫んでいた
「七海…?」
何もわかっていない顔で私を見つめる彼女
その揺れる瞳に私はまっすぐ向かい合う
「私じゃ、ダメなんですか」
「…え?」
「私では、貴方の彼氏は務まりませんか…?」
ずっと、押し込めていたものが、積を切るかのように押し寄せてくる
「な、なみ?何言って…」
貴方のせいです
私をこんな気持ちにさせたのは
私の想いを溢れ返されたのは…
「ずっと、好きでした。貴方のことが。まさかそんなに男癖が悪いとは思ってませんでしたが、私と付き合うならばそれも解決です」
「いやいや、何言って…」
「それとも、貴方にとって私は、今までの碌でもない男達と同じですか?」
「そんなわけないじゃん!」
彼女が叫ぶように言う
その姿に少し自分の口角が上がるのがわかる
「なら、大人しく私と付き合ってください」
「でも…」
この期に及んでまだ逃げるつもりなのだろうか
彼女はチラリと後方を確認するも残念ながらそこはただの壁だ
こうなってしまった私から逃げられるなんて思うなよ…?
「夏油さんへの気持ちを忘れ去るくらいには貴方を愛する自信はあります。いえ、私が夏油さん含め、今までの過去の記憶を吹き飛ばしてみせます」
「七海、何言って…」
「いいですか?貴方は大人しく…」
コレでもかと言うくらいに距離をグッと引き寄せる
おでことおでこがくっつくのではないかというほどに…
「私に幸せにされてください」
ボンッと効果音が出るかのように彼女の顔が真っ赤っ赤になる
まるで茹でダコのように
その姿さえ愛らしいと感じてしまう
ほら、早く…
私の手を取ってください
貴方にもう後悔なんてさせません
呪うくらいに、貴方を愛してみせますー
to be continue…?
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