黒の契約Re
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蝋燭の灯りだけで最低限に照らされる地下室の床に、得体の知れない魔法陣が描かれている。
人の言語ではない発音で読み上げられる呪文、注ぎ込まれた魔力で淡く反応する陣。
そして現れた闇に命ずる言霊、
それを実行されるべく滑る闇。
《自らの存在意義》
《使命》
それらの為だけに行動する《闇の獣》。
ーーそう、《彼女》に出会うまでは。
すべてを塗り替えていく、
眩しく輝く魂に《心》を奪われたのだ。
術師からの命たる支配に抗い続ける苦しみは、時に衝動を伴って、狂おしく脳を掻き乱した。
その度に湧き上がる殺意を押さえつける痛みでさえ、心から愛しい《彼女》を想えば何とか抑えられた。
だから、業を煮やした術師によって《彼女》が害されるなど…考えもしなかった。
術師は基本、呼び出したモノに命じるだけで自身で行動するだけのチカラを持っていないのが殆どだ。
けれど、獣を喚び出した術師はチカラを奮う道具としてではなく、コロシの手段の証拠隠滅のために悪魔を使っていた。
自身で手を下すことは、いつか必ず人の手によって追い詰められてしまうことを識っていたからだ。
なんとも狡猾な人間であろうか。
《彼女》が、もう生きていられない状態だったことは誰の目から見ても明らかだった。
あまりに甘く、そして弱くなった《悪魔》を、
《彼女》は受け入れて笑ってくれた。
せめて、その清らかな心に報いをーー
獣は、最初で最後だろう魔法を人間の為に使った。
ーー愛した人のために。
呪術師によってタヒんだ魂は、
穢され囚われて、決して成仏できない。
せめて《彼女》の魂が天国へ行き、未来ある世界に辿り着けるように。
願いながら。
その後、獣は術師の元へと向かった。
..
術「まったく、バカなことをしてくれたね。
キミのせいで僕の信用はガタ落ちだよ」
獣「…君の命に従いたくはありませんでしたから」
術「キミ、本気で《あの女》の魂が救えたなんて思ってるの」
獣「…何かしたんですか!?」
術「あっはっははははは!!
本当にバカな奴だね、
僕の呪いから逃げられる訳ないだろ。
カワイソウにね…
《あの女》の魂は、
この世界から完全に消え去ったよ!!」
獣「なぜ、何のために!!」
スンッ..と鎮まって術師は残酷に言い放つ。
術「僕の命令を無視したキミが悪いんだ」
獣「それだけで《彼女》を貶めたんですか…ボクにするだけなら何でもすれば良いッ」
術「キミに何かしても効果は薄い、それならばソイツが大切にしているモノを壊す方が効果的だよ」
獣「君は本当に人間ですか…ッ?」
術「人外に問われる筋合いは無い、もう消えなよ」
術師は足元の陣の一部を炎で掻き消した。
魔界に戻される強制力に抗いながら、悪魔は吼えた。
…
骸「…、」
《彼女》の魂は消滅してしまった。
それは、***の魂を視れば《生まれ変わり》などでは無いことぐらい分かる。
それでも似ているのだ、***の纏う雰囲気が《彼女》を思わせる程に。
重ねては失礼だとも思うし、本人も気にしてしまうだろうことも承知している。
本当に、***自身を愛しく想っているのだ。
なぜ、愛というものは、こんなにも不器用にさせるのだろう。
骸「(…そういえば、)」
何故だろう、
例の婿だという男に強く既視感を覚える。
あの漆黒の衣装、まるで過去の《術師》を思い出させる。
骸「…まさか、」
術師は、《彼女》には執着していなかった筈だ。
だとしたら、彼の目的は何だろうか。
《悪魔》か、それとも《***》か。
可能性が高いのは、どう考えても後者しかない。
骸「どうして、こうも立ち塞がるのでしょうね」
→
蝋燭の灯りだけで最低限に照らされる地下室の床に、得体の知れない魔法陣が描かれている。
人の言語ではない発音で読み上げられる呪文、注ぎ込まれた魔力で淡く反応する陣。
そして現れた闇に命ずる言霊、
それを実行されるべく滑る闇。
《自らの存在意義》
《使命》
それらの為だけに行動する《闇の獣》。
ーーそう、《彼女》に出会うまでは。
すべてを塗り替えていく、
眩しく輝く魂に《心》を奪われたのだ。
術師からの命たる支配に抗い続ける苦しみは、時に衝動を伴って、狂おしく脳を掻き乱した。
その度に湧き上がる殺意を押さえつける痛みでさえ、心から愛しい《彼女》を想えば何とか抑えられた。
だから、業を煮やした術師によって《彼女》が害されるなど…考えもしなかった。
術師は基本、呼び出したモノに命じるだけで自身で行動するだけのチカラを持っていないのが殆どだ。
けれど、獣を喚び出した術師はチカラを奮う道具としてではなく、コロシの手段の証拠隠滅のために悪魔を使っていた。
自身で手を下すことは、いつか必ず人の手によって追い詰められてしまうことを識っていたからだ。
なんとも狡猾な人間であろうか。
《彼女》が、もう生きていられない状態だったことは誰の目から見ても明らかだった。
あまりに甘く、そして弱くなった《悪魔》を、
《彼女》は受け入れて笑ってくれた。
せめて、その清らかな心に報いをーー
獣は、最初で最後だろう魔法を人間の為に使った。
ーー愛した人のために。
呪術師によってタヒんだ魂は、
穢され囚われて、決して成仏できない。
せめて《彼女》の魂が天国へ行き、未来ある世界に辿り着けるように。
願いながら。
その後、獣は術師の元へと向かった。
..
術「まったく、バカなことをしてくれたね。
キミのせいで僕の信用はガタ落ちだよ」
獣「…君の命に従いたくはありませんでしたから」
術「キミ、本気で《あの女》の魂が救えたなんて思ってるの」
獣「…何かしたんですか!?」
術「あっはっははははは!!
本当にバカな奴だね、
僕の呪いから逃げられる訳ないだろ。
カワイソウにね…
《あの女》の魂は、
この世界から完全に消え去ったよ!!」
獣「なぜ、何のために!!」
スンッ..と鎮まって術師は残酷に言い放つ。
術「僕の命令を無視したキミが悪いんだ」
獣「それだけで《彼女》を貶めたんですか…ボクにするだけなら何でもすれば良いッ」
術「キミに何かしても効果は薄い、それならばソイツが大切にしているモノを壊す方が効果的だよ」
獣「君は本当に人間ですか…ッ?」
術「人外に問われる筋合いは無い、もう消えなよ」
術師は足元の陣の一部を炎で掻き消した。
魔界に戻される強制力に抗いながら、悪魔は吼えた。
…
骸「…、」
《彼女》の魂は消滅してしまった。
それは、***の魂を視れば《生まれ変わり》などでは無いことぐらい分かる。
それでも似ているのだ、***の纏う雰囲気が《彼女》を思わせる程に。
重ねては失礼だとも思うし、本人も気にしてしまうだろうことも承知している。
本当に、***自身を愛しく想っているのだ。
なぜ、愛というものは、こんなにも不器用にさせるのだろう。
骸「(…そういえば、)」
何故だろう、
例の婿だという男に強く既視感を覚える。
あの漆黒の衣装、まるで過去の《術師》を思い出させる。
骸「…まさか、」
術師は、《彼女》には執着していなかった筈だ。
だとしたら、彼の目的は何だろうか。
《悪魔》か、それとも《***》か。
可能性が高いのは、どう考えても後者しかない。
骸「どうして、こうも立ち塞がるのでしょうね」
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