怪異-異世界-

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君の名前は?

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_「雲雀さんが来てくれるなんて、もう勝ったも当然ですね!」


並盛駅から電車で4駅、歩いて15分の場所に、それはあった。

今や廃校となってしまったT小学校。

雲雀は、やや不機嫌そうに後をついて歩いている。


雲「キミが問題を起こさなかったことが無いから仕方なくだよ」


並盛中の新聞部、副部長***

将来の夢はオカルトジャーナリストとかいう迷惑な夢を押し付けられて、こうして同行することに、いつの間にかなっていた。

廃校に入ってから階段で3階を目指す。


_「よくあるトイレの花子さんなんですけど、今度は信憑性の高い噂なんですッ」


どこから聞きつけてくるんだか、
雲雀は溜め息を吐いた。


雲「僕はトイレには入らないから」

_「一応、女子トイレですからねー」

雲「…、」


廃校で女子も男子も意味あるのかと思いながらも、口には出さなかった。


_「良いロケーションですよね。廃校ゆえ電気は通ってないから薄暗く、更には雨が降りそうな空!

暗さに拍車がかかって、コレはもう出るしかないでしょ!」


一人で盛り上がっている***を余所に、雲雀はスタスタと歩いて行く。


_「待ってくださいよー! 雲雀さん、やる気満々じゃないですかぁ」

雲「さっさと終わらせて帰りたいんだよ、並盛に」


3階北側の女子トイレ、窓も板で適当に打ち付けられていてトイレ内は暗い。


_「うわー、お化け出そう」

雲「お化けに会いに来たんだろう?さっさと行け」

_「はいはーい。もし5分経っても出てこなかったら呼んでくださいね」


そんな風に笑いながら***は女子トイレに入って行く。

雲雀はドアの脇の壁に寄りかかった。




.




_「えーと、奥から2番目の…わぉ」


奥から2番目の例のドアには板が打ち付けられ、更には何処かのお札が貼られている。


_「んふー、これは本物…スクープ間違いなし!」


儀式として聞いてきた、
ドアを3回ノックして3回その場で回る、
そして再度ドアを3回ノックした。


_「はーなこさん、遊びーましょー!」


…反応を待つが、トイレ内は静まり返っている。


_「あれ…何も起きないか。もう一回、儀式を」


と思ってノックしようとすると、ギィとドアが開いた。

封印している物理的なものたちなど物ともせず、ドアは開いた。


_「あ、はな    …」





.





雲「…遅い」


スマホの画面を見ては、既に10分が経っている。

流石に待つのも限界だが、置いておくと後で煩いので一応、大きめな声をかける。


雲「***、」


反応はない。

仕方なく溜め息を吐いて、ドアを開けて中を覗き見る。


雲「***? 隠れてるなら噛み殺すよ」


トイレへと踏み入って個室を除く。

ドアが閉まっているのは奥から2番目だけだ、
いや、少し開いている。

板は剥がれ床に落ち、ドアを封印していたらしき札は破れている。


個室にはチカチカと光る、***の携帯だけが残されていた。

雲雀は、スマホを拾って握る。


雲「まったく、これだから」


***本人には霊感は無いくせに、怪異には好かれる体質だということを、最近の雲雀は感じていた。


雲「遊び場と言えば、体育館か」


雲雀は上着を翻して、校内へと飛び出した。




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