怪異-異世界-

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君の名前は?

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骸は慎重に、目を凝らしながら一階を探索する。


プチュ..

骸「うぇ」


三叉槍で刺し潰したのは、20cmはありそうな大きな蜘蛛だった。

カサカサと蠢いていたのは沢山の大きな蜘蛛だった。


骸「もう、帰って良いですかね…」


そう独り言ちた時、奥から一際大きな影が現れた。


蜘「あらぁ、餌がもう1匹」


女の上半身がついた巨大な蜘蛛。

女郎蜘蛛、嫌な感じはコイツからしていたのだ。


骸「まさか、こんな化け物が住み着いていたとは」

蜘「誰が化け物ですってぇ」


女郎蜘蛛の怒りを買ったようだ。


蜘「男の肉は硬いわ、お前たち!食ってしまいな」


女が叫ぶと一斉に何百という蜘蛛が骸に襲いかかる。


ゴオッ..

三叉槍と右目に召喚された地獄の炎が、蜘蛛を燃やし尽くす。繭も一緒に。


蜘「ひっ、炎!?」

骸「燃やされたくなければ彼女を返してください」

蜘「わ、分かったわ」


言い訳することなく、糸がスルスルと***を天井から下ろす。

骸の腕に届く瞬間、


蜘「油断したなッ、バカめ!」


キラッ..

骸の目が赤く光っている。


骸「それは貴様の方だ」

蜘「ひ、ひぃいいいいいいい!!!!!」


蜘蛛が業火に包まれた。


蜘「熱い、熱いぃい!!」


糸が燃え消えて、***が骸の腕に戻る。


骸「そのままシね」


蜘「あぁあ、私の…わたし、のぉおお…」


断末魔をあげて、蜘蛛は塵となって消えた。


骸「全く、なんていう日でしょうね。何とも奇妙な…それにしても」


骸は、腕に抱く少女を見下ろす。


骸「彼女の存在も全く奇異なものです、面白いですね」





.





_「…ん、あれ?」

骸「気が付きましたか」

_「…私、夢を見たのかな。大きな蜘蛛の夢」

骸「…そうかもしれませんね」


骸は、真実は打ち明けぬことにした。

誤解は解いておかなければならないが。


骸「恐らく君が探している人影は、僕らのことです。秘密基地といいますか。あと二人居ますが彼らと3人で、ボクはこの黒曜ランドに住んでいるんです」

_「え!秘密基地があるの?!」


目を輝かせる***に悪い気はせず、骸は黒曜ランドの自分たちの空間に招待した。


_「わぁー、凄い!!こんな所に住んでるなんて素敵ね!」


楽しそうに笑っている***に思わず笑みが溢れる骸。


骸「君だけだったら、いつ来ても良いですよ」

_「本当?嬉しい!絶対に、また来るね」


***は写真機で、骸と二人で撮った。

写真に映る骸の赤い目に、文字は浮かんでいなかった。





.





_「っていうことがあったんですよー、絶対に巨大蜘蛛が居たと思うんですけど」


***の話を聞いていた雲雀の顔色が変わる。


雲「キミ、黒曜に行ったの?」

_「え、はい、そうですけど」

雲「どうして、僕を誘わなかったの?」


雲雀の危機迫る様子に首を傾げる***


_「探したけど居なかったんですよー。それで仕方なく一人で行って来たんです。あ、その時に会った男の子が…」

雲「名前は!?」


雲雀の剣幕に少し引きながら、


_「骸くんって言う人で」


名前を聞いた途端、雲雀の表情が曇る。


雲「2度と黒曜には行くな」

_「えぇー、横暴過ぎません?」

雲「行ったら咬み殺す」


ドスの効いた声で言われて、***が縮こまる。


_「…分かりましたよ」

雲「はぁ…」


六道骸に接触していたのは誤算だった。

着いていくべきだった。

骸は、きっと特異な体質の***に、興味を持ったことだろう。


当面の間は、しっかり見張っておかなければならない。


雲「暫くオカルト調査は禁止」

_「えぇー?それは、ちょっと」

雲「今すぐ咬み殺されたいの?」

_「分かりましたよー」


残念そうに、しょぼくれる***

その隣に座って頭を撫でてやると、驚いた顔。


_「ど、どうしたんですか、雲雀さん」

雲「これで暫く大人しくしててよね」

_「はーい」


どこか嬉しそうになった***に笑み浮かべて、雲雀は窓から外を見下ろした。





ED...2024.01.12
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