第14話
お名前は?
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「…そんな追い込まれた様な顔するな。何も1人で解決しろとは言ってない。雄英はヒーロー科だけじゃない。様々な専門分野が集ってるんだ」
余程追い詰められた表情をしていたのか、少し安心させるような相澤先生の言葉に顔を上げる。
「例えばサポート科。校舎1階にある開発工房なんかがそうだ。ヒーロー科も今コスチューム改良で世話になってる奴もいる。そこだったら、お前の個性を上手く扱えるサポートアイテムを作ってくれるかもしれんぞ」
『サポートアイテム…』
確かに…!
もしそんなアイテムが作れるなら、リスクを犯す事なく個性を使えるかもしれない。
行ってみる価値はあるかも!
少し希望が見えて意気込んでいると、相澤先生は真剣なトーンで言葉を続ける。
「お前達に今言い渡した課題がクリア出来なければ、今後ヒーロー活動は厳しいだろう。残りの時間、必ずクリア出来るようにしておけ。仮免取得が終わったら、今度はお前達に実地試験を行う」
『実地試験…⁉︎』
「……」
まさかの言葉に、私は驚いて思わず声が漏れる。
心操くんも口では何も言わなかったけど、その目は大きく見開かれていた。
「そこで今言った課題が出来ているかどうかを試す。
もし落ちれば……分かってるな?」
まるで脅す様な相澤先生の言葉に動揺しつつも、返す答えはもちろん決まっている。
『…必ずクリアします!』
「同じく」
「よし…。以上だ。もう戻っていいぞ」
相澤先生は私達の返事に納得したように頷くと、そう言い残してくるりと背を向けて教員寮へと戻って行った。
取り残された私達は、自然とお互い顔を見合わせる。
数秒の沈黙の後、意外にも最初に言葉を発したのは心操くんからだった。
「実地試験だってな…。ちょっと予想外だった」
『う、うん…。私もビックリした。……それより!心操くん、さっきの相澤先生とのやり取りは何だったの?
捕縛布の標的が何とかって…』
先程の発言を思い出し、少し詰め寄りながらそう尋ねると、心操くんは表情を崩す事なく「あぁ…」と思い出したように返事するが、その反応はかなり薄かった。
「アレはお前が合宿に行く前、相澤先生から機動力と戦闘力を上げるためにって、捕縛布の扱い方を教わってたんだよ」
『そうだったの⁉︎』
そう言えば…合宿の話しを相澤先生から聞かされた時に、"アイツの強化訓練はまず使い慣れてもらわん事には…"的な事を言ってたような…。
使い慣れるって、捕縛布の事だったんだ…!
……と、言うよりーーー、
『何でそんな凄い事してるのに、今まで教えてくれなかったの?』
「…別に。言う必要ないと思ったから」
『何その冷めた返し…⁉︎ そりゃ言うのは勝手だけど!
でもっ…、せっかくお互いヒーロー目指してるんだし…情報共有しておきたいというか何というか…』
私が
「最初に宣言しただろ。"お前とはライバルだな"って」
『!』
「俺は、お前にも負けたくないんだよ。前に進んでるのはお前だけじゃないって事だ。せいぜい追い抜かれない様に気を付けろよ」
心操くんは不敵に笑うと、
これ以上距離を離されないように…。
『私も負けないよ!だから残りの時間、お互い全力で挑もうね!』
「言われなくてもそのつもりだ」
私達はお互いやる気に満ちた瞳で視線を交わす。
そこには"負けないぞ! "という気持ちと"やってやろう!"という気持ちが混ざり合っていた。
ーーそうだ…。
私達は同じ道を歩む戦友であり、ライバルなんだ。
そしてお互い譲れないヒーローへの熱い想いがある。
だから今は、私をどう思っているだとか、そんな事は後回しにしよう。
今はただ、目の前の課題をクリアする事だけに全力で取り組むんだ!
そう新たに気持ちを入れ替え、その日は明日に備えて大人しく寮に戻り夜を過ごした…。