第12話
お名前は?
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*轟視点*
ーー爆豪が敵に
俺達は駆け付けた救急隊によって、すぐに手当てを受けた。あの場に居た俺や障子達は比較的軽症だったが、腕を負傷した緑谷や、未だに意識が戻らない名前は重症者としてそのまま近くの病院へと搬送された。
名前の側にいてやれないのは辛かったが、明日になれば意識が戻っている事を願い、残った俺達は自宅へと帰らされた。
それから翌日。
俺は名前や他のみんなの様子を見るため、病院へと向かっていた。
…名前。
意識戻ってるといいんだがな。
気になる事はたくさんあるが、とにかく今は早くお前の声が聞きてぇ…。
「あー⁉︎ 轟なんでいんの⁉︎」
病院に着き、名前の病室に向かおうとしている途中、
後ろから威勢の良い声で呼び止められ振り返る。
そこには驚いた顔で俺を見つめる切島がいた。
「お前こそ」
「俺ァ…その…なんつーか…家でジっとしてらんねー…つうか…」
「……そっか。俺もだ」
そう言うと、切島は少しだけ安心したように微笑んだ。
「じゃあよ、せっかくだし一緒にみんなの病室見て回ろうぜ?」
「あぁ。そうだな」
俺達はそのまま病室に向かう途中で、オールマイトと警察が八百万と話している所に遭遇した。
話してる内容は、敵の1人に発信機を取り付け、居場所が分かる受信デバイスを創ったというモノだった。
それを聞いた俺達は顔を見合わせて頷き合う。
考えている事は同じだった。
オールマイトと警察が病室を出た後、俺達は八百万に爆豪救出作戦を持ち掛けたが、八百万は渋い顔をして俯く。
「………少し、考えさせて下さい」
「八百万…」
「まぁ、無理には言わねぇ。お前の考えもあるだろ。
答えが決まったら、明日の夜に病院前で待ってるから教えてくれ」
「轟さん…」
「病み上がりのおめーにこんな事言ってワリィーけど、来てくれると助かる。……取り敢えず今日はゆっくり休んでくれ。また明日な」
「えぇ。御二方ともわざわざ来て頂き、ありがとうございました」
八百万の病室から出て廊下を歩いていると、不安気な顔した切島がポツリと呟いた。
「八百万…来てくれっかな……」
「どうだろうな…。最終的に決めるのはアイツだからな」
無茶を承知でこっちも言ってるため、あまり無理強いは出来ない。
もし断られたとしても、その時はその時だ。
そのまま歩いて病室を見て回っていると、"苗字名前"と書かれたネームプレートを見つけて立ち止まる。
「お?苗字の病室ここか」
「……名前」
「……俺、先に他の奴らのとこ回ってるわ」
「どうしたんだ?」
「いや何となく、邪魔しちゃワリィ気がしてよ…」
そんなこと無いと言おうとするより早く、切島は淡々と話しを進める。
「お前ら仲良いもんな。幼馴染み…なんだっけ?だから2人でゆっくり話せよ!んじゃ俺、緑谷のとこ行って来るわ。また後で!」
そう言って尖った歯を見せながら気さくに笑うと、切島は背を向けて他の病室へと向かった。
…もしかして、この間の事気にしてたのか?
変に気ィ使わせちまったな。
別にそこまで気にしてなかったんだが…。
少し申し訳なく思いながら俺は目の前の扉に視線を戻す。
この扉の向こうに名前がいる…。
願うなら、目を覚ましたお前に "轟くん、心配かけてごめんね?" って、いつもみたいに少し困った様な顔をして笑いかけて欲しい。
そんな淡い期待を抱きながら、俺はドアノブに手を掛け、ゆっくり扉を開いた。