第11話
お名前は?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
*轟視点*
「ちくしょう速ぇ!あの仮面…!」
「飯田くんいれば…!」
俺達は捕まった爆豪と常闇を取り返すため、仮面男を必死に追いかけていた。
しかし、距離が縮まる所か益々突き放されている。
このままじゃ追いつかねぇ…!
「諦めちゃ…ダメだ…!!っ…!追いついて…取り返さなきゃ!」
緑谷は作戦を練ると、俺達に人間弾になるよう指示を出す。急繕いだったが、中々理にかなった作戦だった。
「ーーいいよ、つゆちゃん」
「必ず2人を救けてね」
そう言って蛙吹に投げ飛ばされた俺達は、仮面男の元へと真っ直ぐに飛んで行く。
仮面男が驚いたように振り返った瞬間、俺達の体が衝突し、そのまま地面へと落下した。
ドォン!
仮面男を取り押さえるように地面へ着地した瞬間、前方から素っ頓狂な声が聞こえてきた。
「知ってるぜこのガキ共!!誰だ⁉︎」
「ーー⁉︎」
そこには3人の人物が驚いた様な顔でこっちを見ていた。恐らくコイツの仲間だろう。
けれどそれよりも1番驚いたのは、3人の足元で倒れ込んでいる見覚えのある姿。
ーー何で…、何でお前がここにいるんだッ⁉︎
「ーー名前⁉︎」
「
「ーー!、了解」
押さえ付けていた仮面男の実体が急に無くなったと思った瞬間、青い炎が俺達を襲う。
俺は寸前で炎を
「名前ッ!!」
だが、それを阻むように背後から全身タイツの様な格好をした男が襲いかかって来た。
「死柄木の殺せリストにあった顔だ!そこの地味ボロ君とお前!なかったけどな!」
「ーーチッ!!」
「熱っつ!!」
俺は氷結をかまして距離を取ると、そいつを睨みつけた。
「てめぇら、名前に何をした⁉︎」
「何もしてねぇよ!アイツが火を見て勝手に倒れたんだ!嬉しそうに喜んでたぜ!」
「ーー火…」
そういや前に名前から火事に巻き込まれた事があったと聞かされていた。
そして、親父に助けられたという事も。
知ってるのはその事実のみ。
後は詳しく聞いていなかった。
ーー名前…お前は一体、親父と何があったんだ?
俺はまた氷結をかまして氷の壁を隔てると、隙を見て再び名前に駆け寄った。
だが、今度は継ぎ接ぎ男がそれを阻止しようと名前に手を伸ばす。
「…触んな…」
パキパキ…と俺の右側に霜がおりる。
俺の底冷えした感情が溢れ出ているかのように。
「ーー名前に触んなって言ってんだッ!!!」
「ーー!!」
感情のまま氷結を繰り出すと、思っていたよりもスピードが出た氷結が男に襲いかかる。
男も予想外のスピードに少し焦ったのか、慌てた様子で飛び退いた。
2人を分断するように出来た氷結の壁が、間一髪名前に触れさせるのを阻止する。
「名前!しっかりしろッ!」
俺は名前を抱き起こし肩を揺らすが、首がカクカクと力なく
気を失ってるだけか?
とにかく、一刻も早くここから離れねぇと!
俺は名前を横抱きしたまま、距離を取ろうと走る。
その時、障子が仮面男から2人が閉じ込められた玉を取り返したらしく、目的を達成した俺達は急いでその場から離れようと全力疾走する。
…だが、突如目の前に現れたワープの存在により、事態は急展開を迎えた。
「かっちゃん!!」
「来んな、デク」
ワープが現れてからものの数秒の出来事だった。
仮面男が持っていた本物の玉を取り返そうとして、あと一歩の所で継ぎ接ぎの男に奪われてしまった。
俺を嘲笑う様な、あの男の顔が忘れられない。
目の前の爆豪は
「ーーっ…あ"あ"ぁ!!!」
緑谷の悲痛な叫び声が辺りに響き渡る。
ーー爆豪が、さらわれた…。
信じられない事が目の前で起きた。
まるで現実じゃないみたいだ。
俺は呆然とこの状況を眺めていると、ふと地面に仰向けになる名前の姿が視界に入る。
2人を取り返す時に咄嗟に地面に置いていたのだ。
そばに近寄ると名前を抱き起こす。
依然意識を失ったままだったが、名前から伝わる温もりだけが、唯一の救いだった。
俺は抱き起こした名前の頭を引き寄せ、自分の胸にそっと押し当てるように抱き締める。
これから先、もしかしたらまたお前に危険が迫るかもしれねぇ…。
けど、
どんな事があっても、俺がお前を守るからーー…。
第11話 おわり