第10話
お名前は?
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「着いたぞ。全員降りろ」
1時間程走った先でバスが停車し、私達は相澤先生の指示に従って全員バスから降りた。
「休憩だーー…」
「つか何ここ。パーキングじゃなくね?」
降りた先にあったのは、山の
…ん?
この意味ありげな車は一体…。
そう思っていた矢先、車の両扉が勢い良く開かれ、
中から見覚えのある2人組のヒーローが姿を現した。
「よーーう、イレイザー!!」
「ご無沙汰してます」
この人達、見たことあるかも!
確か、物心ついた時から結構活躍していたような…?
「
「キュートにキャットにスティンガー!」
「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!」」
「今回お世話になるプロヒーロー"プッシーキャッツ"の皆さんだ」
『そうだ、プッシーキャッツだ…!』
バッチリ決めポーズを決めるプッシーキャッツに興奮気味の緑谷くんを尻目に、私は少し離れた場所に帽子を被った小さな男の子が居るのに気が付いた。
何なんだろう、あの子…?
小さいのに妙に表情が大人びているというか
何と言うか…。
ちょっと冷めてる…?
じっと見つめていると、その子は私の視線に気付いた様子であからさまに敵意剥き出しで睨んでくると、フイっとそっぽを向かれた。
『…?』
一瞬恥ずかしがり屋さんなのかなと思ったが、睨まれた事に何処となく引っ掛かっていると、みんなの慌てた声が耳に入って来てようやく我にかえる。
「バスに戻れ!!早く!!」
「12時半までに辿り着けなかったキティはお昼抜きね」
『…え?』
あれ?話しが全く飲み込めてないんだけど…。
何でみんなそんな慌ててバスに戻ってくの?
1人完全に話しに乗り遅れた私は、取り敢えずみんなにならってバスに戻ろうとした所で、後ろから襟首をグイッと誰かに掴まれ阻止される。
「お前は危ないからここに居ろ」
『あ、相澤先生…⁉︎今から一体何が始まるんですか?』
「まぁ、見てりゃ分かるさ」
相澤先生はそう言うと、バスに戻るみんなに向けて口を開く。
「悪いね諸君」
バスに向かうみんなの前にプッシーキャッツの1人が阻むように現れると、そのまま地面に両手を這わせる。
「合宿はもうーー…始まってる」
次の瞬間、地面の土が盛り上がると、巨大な波に飲み込まれるかの様に土砂がみんなに襲いかかり、そのまま展望台の下へと落とされる。
その光景を目の当たりにした私は、サァーと全身の血の気が引いて行くのを感じた。
『みっ…みんなぁーーー!⁉︎』
本当に崖から突き落としたぁーー!!
嘘でしょ⁉︎ 冗談じゃなかったの!⁉︎
『相澤先生!大丈夫なんですか⁉︎ 誰か死んだんじゃないんですかコレ!⁉︎』
「言っただろ、怪我必須だって」
『いや、怪我で済みませんって!死人出ますって!』
「大丈夫だ。アイツらはこれくらいでくたばる玉じゃない。でなけりゃヒーローなんざ勤まらん」
慌てて崖下を覗くと、みんな無事に着地したみたいで怪我人は居なさそうだった。
『えぇっ⁉︎ みんな、良く無事だったな…』
「私有地につき"個性"の使用は自由だよ!今から3時間!自分の足で施設までおいでませ!この…"魔獣の森"を抜けて!!」
"魔獣の森"⁉︎
何か、某勇者ゲームに出て来そうなネーミングセンス…!
「……ところで、君は参加しなくていいの?」
『えっ?あ、私はーー』
「コイツは今回生徒のサポート役で来てもらいました。ほら、あいさつ」
『はいっ!1年C組普通科の苗字 名前です。1週間お世話になります』
相澤先生に背中をポンっと叩かれ、私は慌ててあいさつをしてお辞儀すると、プッシーキャッツは「へぇ〜?」と意外そうな声で返事した。
「こういう形は初めてだよね?イレイザー。何か意図があって?」
「えぇ、まぁ…。今回は苗字の将来性も見るために特別参加させました」
「フーン…?随分その子に思い入れがあるみたいだね」
『えっ…?』
意外な言葉に少し驚く。
プッシーキャッツはそんな私と相澤先生を見比べて、
クスッと意味ありげに笑っていた。
「…そんなんじゃありませんよ」
「あはは、冗談だって」
ウンザリした顔でそう答える相澤先生を見て、プッシーキャッツはおかしそう笑うと、今度は私に頼もしい笑顔を向ける。
「私は"マンダレイ"あっちが"ピクシーボブ"よ。もし手が空いてたら裏方仕事も手伝ってくれると助かるな。1週間よろしくね」
『はいっ!喜んでお手伝いさせていただきます!』
その後私達はみんなが向かっているとされる合宿先へ、一足先にバスで向かって行った。